第9話 ファイナルバウト
投稿期間がめちゃくちゃ空きました、すいません
……前期終わってからあまりにも勉強が捗らなさすぎてヤバいっす。
そんなこんなで第9話書いちゃったんで今回もよろしやす
前回のあらすじ
ナギサの発言から突破口を見出し、ナイフを突き刺し乾坤一擲の勝負に出た士。
「祝え!18の体を遂に取り戻し、最強となった朔晦士!」
「……おっと、随分先の未来までお見せしてしまったようです。忘れてください。しかし自身にナイフを突き立て、どうなってしまうのでしょう?前回ラストの頃に戻りましょう」
……いやぁあらすじパクってて思ったけどウォズってヤバいよね(他作品のことを話すな)
「男は度胸ォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
ナイフは体へ深く刺しこまれると同時に世界は光に包まれた。
体全身が沸き立つように熱く、そして力が漲るのを感じる。
「遂に戻って来たぞーーー!!」
光が消え去った時、そこに立っていたのは……
「………何……………だと……?」
身長176cm、体重77kg、どこからどう見ても幼児からはかけ離れた姿、18歳の朔晦士、ここに復活である…………下半身が一糸纏わぬ姿である事を除いては。
「……あっ、ごめんちょっとまってて、カバンに着替え入ってるし……」
カバンに入っていた衣類や靴を取り出し、急いで履いた。
今度こそズボンも履いてちゃんとした身なり、「大人」に戻ったのだ。(浪人してるけど)
今なら誰にも負ける気がしない。
「……さて、続きを始めようぜ」
「みっ、認めない……そんなの許さない!無かったことにしてやる!!『θ』」
「?どういう能力かは知らないが、全ッ然効かないな!」
予想通りだ。ナイフが刺さっているので能力を無効化出来ているらしい。
これならいける、そう確信した。
「ならこれはどうだ、『ω』!」
突然大地が砕け始め、途端に足場は消滅した。
そして、目下には真っ暗な、何もない空間が存在している。
驚いた事に、足場は崩れ去ろうとも体は落ちていないのだ。
「なっ、なんだと?!」
「……ナイフを刺せばその人間に特別な力が発現する、既に能力が宿っていた俺に新たな能力がさらに宿るのもおかしくはないんじゃないか?」
「……なるほど、とても興味深い仮説だね?新たな研究材料になりそうだ。やはり僕の判断は正しかったんだな、だからこそ僕は君をここで倒し、さらなる能力の研究をするしかないね!」
「いいや、違うな。倒されるのはお前の方だ。超能力者を増やして何がしたいのかは知らんが、お前の野望はここで潰す」
未だ発現した新たな能力の全容はわからない、しかし何が出来そうなのかはなんとなくわかる気がした。
手始めに元の世界に戻れるよう念じた。
すると今いる世界は一瞬にして粉々に砕け散り、元いた自宅へと戻った。
しかしながら自宅で戦闘はすごくまずい、自宅からほど近いところでどこか戦いやすいところは……
「おお神よ、僕を助けてくれ……『χ』」
手遅れだった、考えている暇に奴は動き出してしまった。
窓の外から何やら馬鹿でかい何かが見えるここはマンションの7階だが、それなのにもかかわらず巨人の腰くらいしか見えないのだ。
高さにしておよそ40mの、『神』が現れた。
またも一瞬にして世界が目まぐるしく変わるのを感じた。今度はこの世界のままらしい。
そしてどうやら空の上に飛ばされたようだ。高層ビルが立ち並び、少し向こうにはスカイツリーが見える。
下には……やはり沢山の人がいる、突如現れた巨神に慌てふためく者や、少し離れた場所から動画を撮る者など様々である。
「オーディエンスは用意した。さあ、最終ラウンドといこうじゃないか……」
空に暗雲が満ちた。
巨神が腕を振り上げ、それに呼応し雲が雷を帯びる。
雷を落とすつもりなのだろう、いくら能力を無効化出来るとはいえこれは空から落ちるただの雷なのではなかろうか?となると防げる確証はない、咄嗟に液体を真上に噴射し即席のバリアを張る。
巨神が腕を振り下ろし、同時に数多の雷が降り注ぐ。
防いだ感覚からしておそらく雷は防げなかっただろうと感じられた。
「『δ』……再現完了、『α』そして『β』」
ナギサの周りに士のものと同じ液体が創り出された。
「君は自身にナイフを刺したことにより直接の僕の攻撃を無効化する事に成功した、しかしその能力から発動した二次的な攻撃は君は防げないのではないか?」
ナギサは勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「……それよりいいのかな?この汁が視界に入る事、それが君の能力の発動条件だったんじゃなかったかな?」
「しまった……!」
今まで自分だけが使えた能力、ナギサが使うなど完全に想定外だった。
瞬間、体の至る所に鋭利なナイフが突き刺さった。
「ッ、がァァァァァァァァァァァァ」
咄嗟にナイフを引き抜かねばと身体中のナイフを引き抜いていった。
あるナイフに手を掛けそれを引き抜いた。
途端に身体から力が抜け落ち、それと同時にナギサの術中にまんまと嵌った事に気付かされた。
体は再び縮み始めた。刺さっていたナイフは風化したように溶けて消えていき、今握っているナイフだけが手元に残った。
体を浮かぶ力を無くし地面へと落ちてゆく。逆転の一手すら遂には逆転の一手足り得なかった。
絶望と共に鈍い音と共に大地へ激突した。
「……ってのがお前のシナリオか?」
勝利の余韻に浸ったナギサの背後から聞こえるはずのない声が聞こえる。
「何故ッ?!今まさに死んだはずじゃ……」
「人の十八番で出し抜こうなんて、なかなか邪悪な事考えるよなぁ、でもな、ツメが甘いんだよ」
ナギサは唖然としたままだ、そのまま勝利宣言を続ける。
「お前が操ったその汁よ、お前の能力で直接操ったよな?だったらそれを解除し俺が操作権を握ることは容易い。俺のと全く同じ汁なんだからよ。そうとは知らずお前はこの汁の対策を怠りまんまと俺がやられる妄想をしてヘラヘラ笑ってた訳だな。」
「ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう……これでどうだ、『σ』!」
巨神はさらにその体を膨らませた。
もはや頭は遠すぎて見えやしないくらいだ。
「絶対に僕が勝つ!!」
「もう既にチェックメイトなんだよ」
凄まじいスピードで無限に拳が振り下ろされる。
しかし一発たりともその拳は届かない。
それどころか逆に巨神の体は士に触れるほどに砕け散っていく。
「ああっ……そんな……嫌だ……僕が最強なんだ、この能力で僕は頂点に…………」
「お前の天下も今日で終いだよ」
ナギサの周りを汁で覆い、気絶したのを確認して能力を解いた。
「……さて、コイツをどうすればいいのやら」
今回はケッチャコ着けるのにめちゃくちゃ苦労しましたね。
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムよろしく(ナイフで刺すってのがモロそうだし)逆転からこのまま無双コースか、或いはセルゲームみたく油断して悟空が死に、セルもより戦闘力を増して帰ってくる的な一筋縄ではいかない展開がいいかな、なんて感じで色々こねくり回してたりとかしてたらめっちゃ時間が経っちゃいました……(2/25までは前期試験あったのが大きいけども)
まあラストを見たら察しはつくかと思いますが一応続きます。
多分次回が最終話ですね。そう思うとなんだか少し感慨深い気持ちになるようなならないような……そんなわけで読んでいただきありがとうございました!