第4話 念動力者(サイキック・マジシャン)
大変遅くなってしまいました。
そして書いてて気づいたんですが、この人洋服どうしたんだ、ってこと何も考えてませんでした。
そのため、急遽考えました。
ぶかぶかのTシャツを被っており、下半身に関しては小さめのパンツを履いてなんとかなってる状態。靴は履いてなくてサイズの合ってない靴下をなんとか履いてるだけ。
そしてリュックサックにはスマホやモバイルバッテリー、財布なんかを、そして大きくなった時のためにズボンや靴を入れているという設定にしました。
前のといいこの辺ガバってて恥ずかしい限りです、先が思いやられる……
前回のあらすじ
汁を研究して実戦にたえうる力を身につけたのち、切符売り場のお姉さんに顔射した……はいそこ冒頭のネタに困ってとりあえず安直に下ネタぶち込んだらいいんでしょ的なノリで下ネタ入れたんでしょ?とか言わない!そーいうことって言っちゃダメなんだからねっ!
ついに東京に到着した。
途中バッキーからは『今日東京のLa compétence de Dieuって店で手品するんだってよ』とのメッセージを貰っていたので、そこへ向かう必要がある。(実は割とノープランで東京に来てしまったが、特に動向をつかめなければ最悪東京に下宿してる友人をなんとか説得したらいけるかな程度の甘いノリだったのは内緒だ!)
体がちびっこいのもあり徒歩で目的地まで向かうのは難しいと思われたので、素直にタクシーを使うことにした。
この短い間に割と何人にもぶっかけてきたのでコントロールなどははほぼ完璧なのだが、やはり変な汁を初対面の人にかけるのはなかなか気がひけるなとは思いつつもこんな体してるのでやらざるを得ない。やはり一刻も早く体を取り戻さねばという思いは募るばかりである。
目的地に到着しお金を払って外を出たのち、スタッフ専用の裏口を探した。さっき入り口にいるスタッフを見かけたのであのイメージを他の人に刷り込めば裏口から入ってもつまみ出されることはないだろう。
そして休憩室の扉の隙間を覗けばそこに奴はいた。
呑気にスマホを触っていやがった。幸いこちらには気づいていないので今しかチャンスはない。扉を開きちらっとこちらを見た瞬間に顔に向けて発射、刷り込むイメージはもちろん「ナイフを突き立てられたイメージ」、こいつで仕返ししてやるほかないだろう。
扉を勢いよく開け、振り向いた高岡めがけて思い切り顔射した。
「俺と同じ目に遭って苦しみやがれこのクサレ短小野郎!」
作戦は成功し奴はナイフで刺された痛みを感じ悶える光景が広がる。
……はずだった。
「誰だか知らねぇが能力者かテメェ?不意打ちのつもりだったらしいが残念だったなぁ!俺にゃそんな小細工効かねえよ」
汁が反射でもされたようにあたりに飛び散っていった。
「そこに潜んでんのが気づかれねぇとでも思ってたのか?笑わせやがって。テメェは俺に向かって汁を飛ばした、しかも俺が振り返った時を狙って。てことは俺の目に入れたら能力の発動条件が整うといったところか?ガキのちっせぇ脳ミソで考えたそんなチンケな小細工お見通しなんだよボケ。その汁を俺の念動力で止めてさっさと散らしちまえば終いなんだよマヌケが。ガキはさっさと家にでも帰んだな」
「……はぁ。能力の副作用で短小になって彼女に振られた馬鹿のセリフは一味違うねぇ?いかにもなチンピラだな、見てて痛いわ。てかさ、振られた苛立ちをこんなチビにぶつけてて恥ずかしくない?そしてそんなドヤ顔の間違い解説どうもありがとう、お前の視界に入った瞬間から既に出来上がってんだよバーカ」
これでヤツにはナイフで刺された痛みが体中を駆け巡る、どんな御託を並べようがこの激痛に勝てるわけがない。
「痛ってぇっ!!……だがよ、俺の能力で痛みを止めることなんざ容易いんだよ。これが俺の『念動力』。テメェがペラペラとアホみたいにネタばらししてくれたから話が早い。視覚を通して発動する能力なら視神経を伝わる伝達物質を一時的に遮断しちまえば終いなんだよ。」
どうやらコイツは『念動力』こそが俺の汁能力みたいに発現した能力らしい……ストレートに強そうなのがちょっと腹立つな。
「……そうかそうか、無駄にそのあたり詳しいっつーことは俺の同級生か、となるともしかして俺に刺されて一浪したブタ野郎くんかな?本当哀れだなよぁ!そして人を煽って気持ちよくなってるとこすまないが俺にゃもう副作用はねぇよ?まあ教えられなきゃ知るはずもねえわな、テメェは一生ガキのまま暮らすこった。もしかしたらもう老けることもねぇんじゃね?良かったなぁ!」
優越感に浸りながらペラペラとおしゃべりをしているが、アイツにも弱点は存在するはずだ。今のところ体に直接触れたもののみしか操っていない、となると触れたものしか動かせないのではなかろうか。……念動力としてはちょっと不便そうだな。
それはさておきアイツの話が長過ぎたおかげで作戦は思いついた。
「随分色々言ってくれるな、だがそれもこれまでだ。お前に勝利し、能力の秘密について知ってること洗いざらい全て吐いてもらおうか!」
言い終わる前に俺は行動を開始した。
やることは単純明快、側にあったテーブルの上に立ってから手からありったけの汁を出すだけだ。
「おいおいその手は通じないっつてるだろ?ガキになって頭も馬鹿になったんじゃねぇのか?日本語理解出来てんのか?」
汁を出している以上はアイツは視界を封じられたとはいえ、何をやってくるかわからないというのも事実。なんとかならないかと頑張ってみたら足先や口や目からもなんか汁が出るようになった。ありがたいといえばありがたいがなんか嫌な気分だ。
足先が水浸しになっていることに気づき焦ったのか手当たり次第に色々なものを触って動かし始めた、普通にヤバい。とはいえ動かし方が雑なお陰でなんとか回避出来るのがありがたいところだが、そのうち回避できないほどの物を動かしてくる可能性もある。
そのため体感的にはお風呂のお湯が溜まるよりも早いとはいえ予断を許さない状況である。
そうこうしてるうちにテーブルあたりまで汁で満たされてきた。その時にはすでにボールペンや時計や本やペットボトル、色んなものがあたりを飛び回っていてさっきからいくつか当たってて痛い。
「クソッ、どこだ、どこにいやがる?」
さっきから随分色々と(視界が封じられており心なしかビビりながら)探していたアイツもあろうことかついにこのテーブルに辿り着き、触るや否やテーブルが動き出した。
「うおわあああゴボボボボボボボ……」
息ができない。
しかし既にアイツも胸あたりまで浸かっている、あとはこっちの息が尽きるか、あっちが溺れるのが先かの勝負だが、こちらは既に溺れているため俄然不利であるが、咄嗟にアイデアが思いついた。
(今ここで自分が呼吸できていると自身を誤認させたらなんとかなるかもしれない……!)
このたった一つの勝ち筋に全てを賭けるしかない。そうすると苦しみがスッと消えた、しかし呼吸が出来ているわけではないので最悪の場合脳に障害が起こるかもしれない、1秒でもはやく終わらせなければ。そして液中である程度動けるように上着や靴を脱ぎ捨てた。
が、アイツはこともあろうに顔の周りの液体を押しのけまるで巨大な泡のような空間を作り上げていた。
となればこれを利用する他ない。
幸いアイツはこちらに近づいていたのでなんとか到達することが出来た。
「ぷはぁっ!」
息継ぎで発生したその声で俺に気づいたみたいだがもう遅い。
鼻めがけて頭突きをかましてやった。
「痛っ」
鈍い音と共に鼻血が吹き出した。
そして、思わずアイツは目を開けた。
一瞬の好機を逃さなかった。刷り込んだイメージは水没による窒息だ。
「はっ、能力が途切れた、マズっ……
本当は能力は持続していたはずが、そのイメージに囚われ本当に途切れてしまった。
そのままアイツは気絶した。
前回のあとがきに数日間隔&ギャグ多めで行くつもり的なこと書いてましたが、なんも守れてないっすね……
リアル浪人生なので時間があんまり取れなかったみたいなところはなきにしもあらず(見苦しいいいわけ)
次回はもうちょいはやく書けたらなと思いながら、ここで一旦筆を置かせていただきたいと思います。
ここまで読んでくださった方には多大なる感謝を。本当にありがとうございます。