再会
……
プルルル……プルルル…
スマートフォンが鳴っている。
瞼をうっすらと開けると強い光で目が眩む。
目が光に慣れないので目を閉じたままスマートフォンをポケットからまさぐり出し感覚を頼りに画面をスライドさせた。
耳にスマートフォンを当てるが何故か上手く聞き取れない。
すぐにイヤホンを付けてることに気がついた。
スマートフォンを太ももの上に置き、イヤホンを外しウォークマンをポケットから出した。ウォークマンの本体にコードをぐるぐる巻きにしてまたポケットに戻し、置いておいたスマートフォンを手に取り耳に当てる。
「もしもし?」
欠伸をしながらだったので呂律が回らなかった。完璧に『も』の発音が『を』なっていたと思う。
「よぉ。久しぶりだな。今どこいる?」
スマートフォンからは低く落ち着いた声が聞こえた。
「爺ちゃん!?」
思わず声を上げてしまった。
「おうよ。今寝てたのか?声がくぐもってるぞ?」
上機嫌な声から画面の向こう側で爺ちゃんの嬉しそうに笑う顔が容易に想像出来た。
俺はと言うと、久しぶりに聞いた爺ちゃんの声に嬉しく思い、返答するのに声が弾んでしまいそうだったが子供っぽいと思い、出来るだけ平静さを装った返事をした。
「今行くよ。いつものロータリーだよね」
「待ってるぞ」
電話はすぐに切れた。
急いでバックに手をかけ忘れ物がないか椅子の周囲を確認すると駅のホームの階段を1弾飛ばしで駆け上がった。通路を少し小走りで行き、改札で駅員さんに切符を手渡しロータリーに向かう。改札を出るとすぐに声が聞こえた。
「おーい、こっちだー」
小型のトラックのそばで筋肉の凄い右腕を上げてブンブン手を降っている。
すぐに走って爺ちゃんのそばまで行った。
爺ちゃんは「久しぶりだな」と一言いった。
爺ちゃんはこれから船に釣りでも行くのかという格好だ。いつも思うが低く太い声と筋肉の発達した力強い体はとてもマッチしている。
「久しぶり、また少し白髪が増えた?」
「相変わらず可愛くねぇなぁ」
口ではそうは言うが爺ちゃんはとても嬉しそうに金歯と銀歯の混じった歯を見せながらニカッと笑った。
俺も久しぶりに顔を合わせると頬が緩んでしまい自然と笑みが零れる。
「よし、とりあえず車に乗れ。ここで喋っても暑いだろ。車の中は冷えてるからな」
爺ちゃんは運転席に乗り込み、俺もつられて助手席に座った。
爺ちゃんの言った通り車内は寒いと思えるくらいに冷えていた。
「さてと、そんじゃ家に行くか。それともどこか寄っていきたいとこはあるか?」
爺ちゃんはフロントガラスのそばにあったサングラスをかけながらそう聞いてきた。
「あー、じゃあコンビニよってくれる?なんか喉が乾いてきちゃった」
「よし。だったら新しくできた近くのとこに寄るとすっか」
そして俺は途中コンビニによりながら家へと向かった。