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海辺の貴女に伝えたい  作者: 霞 彩蓮
1/4

10年の月日がたった

初投稿です。

誤字脱字や誤文があった場合教えていただけると幸いです。よろしくお願い致します。


高二の冬、俺は一生消えることの無い傷と朽ちることの無い想い出を「彼女」に貰った。


あの日からもう丁度10年も経つ、いつのまにか俺も当時の彼女と同齢になってしまった。今あの人はどこにいて何をしているのだろうか、恋人のような関係にもなれず友達にさえなれやしなかったというのに、そんなたわいも無いことが今でも頭をよぎる。


彼女とあの時語り合った夜はとても幻想的な情景だった。空気が澄んでいて、雲ひとつ無い空に白い月が海を優しく照らし、数多の星々が瞬くそんな夜。


あの時の俺は「幻想的」とか「綺麗」とかいう飾った言葉すら口に出せないほどに、目に映る全てのものをただひたすら目に焼き付けるように食入って見ることしか出来なかった。


あれから社会人になった俺はまたあの時と同じような景色を見るために高校時代からずっと貯め続けていた金銭を投じ、大学で知り合った友達に海の見えるこの別荘を安く譲ってもらった。

それから夏と冬はこちらの別荘にいつも来ている。Webデザイナーという職業柄、やろうと思えばどこでもパソコンがあればできるのでいつでもここに来ることが出来る。


女々しいことだが27にもなってまだ俺は彼女に1目でいいから会いたいと思っている。というか、この別荘を買ったのも彼女に会えるかもしれないという願望に基づいている。そう考えると我ながら自分の彼女に対してのいざと言う時の行動力を恨めしく思ってしまう。

しかし、残念ながらここを買ってから早1年経つが、未だに1度も彼女にあったことは無い。


冬は人肌が恋しくなるというが、未だに彼女はいたことも無ければ、性的な関係にも一切手を出したことがないのでそういった気持ちがよくわからない。けれど、今また彼女を想ってしまうのはこの季節のせいなのだろうか。


彼女に俺は恋をしていた。

叶わぬものとは知っていた。だから俺は心の隅にひっそりと忍び込ませておくだけしか出来なかった。

けれど抱いた恋心の存在さえ彼女は明確に拒んだ。

人間という生き物はどうしてこう、上手くやれないんだろうか。

だが、もっとあの時こうすれば上手くいったかもしれない。という後悔とともにこれで良かったのだと思わないわけでもない。


全くもって人間の想いはとても複雑で歪だ。だからこそ今でもこの想いはきれいに澄んでいるのかもしれない。


感想などありましたらコメント下さると幸いです

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