試作文A
チューブアイスが美味しい季節ですね。
英雄
優れた才知、実力を持ち、非凡な事を成し遂げる人
某百科事典より参照。
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俺は何故ここに立っている?
数秒前まで唐突な自殺衝動に駆られて車に轢かれに行ったはずなのに、何故この真っ白な空間に立っている?
「お前が死んだからだ。」
死んだ?死んだらこんな妙なところに立たされるのか?てかお前誰?
「ああ、お前は死んだ。そして大偉業を成した。」
偉業?こんな自殺常習犯がか?冗談はやめてくれ。あとお前誰?
「信じられないようならその内容を教えてやろう。」
ああ、やってみろよ。どれだけ面白い嘘か聞いてやる。ところでマジでお前誰?
「……………お前は、お前の住んでいた町の交差点Aで死んだ。その際に男子小学生を歩道へと弾き飛ばしたな。」
ああ、唐突な自殺衝動に駆られたから飛び込んだ。ちょうどそこにガキがいたので邪魔だったから弾き飛ばした。それがどうかしたか?
「そのガキの死が、お前の前世で起こる終末の主な原因だった。そしてそのガキは、お前の目の前で死ぬはずだった。そういう因果になるはずだった。しかし綻びが生じたのだ。お前という特異点がその先の時代を守り、数えきれぬほどの人々の死を避け、人類史を存続させたのだ。」
…………………ちょっと待て。何?そのご都合主義もびっくりするようなの。
てかその前にお前が誰か教えろよ!
「ああ、名乗るのが遅れたな。私は神だ。それも人間的表現でいう大神というやつだ。この世の全ての神の統率者だ。
北欧ではオーディーン、ギリシャではゼウス、エジプトではアトゥムとも呼ばれていた。」
おいおい、随分とメジャーな名前じゃないか。
最近のゲームでも引っ張りだこな大神さんかよ。そりゃすげえ。
で、前世で偉業を成した俺はなんであんたの下にいるのかねぇ?
「お前に、人類を守ったお前に、ある世界で生きる権利を与えようと思ったのだ。人類を守りし英雄よ。」
はい!一つ質問。ある世界って前世と同じ感じ?
「いや、お前の前世のお前の時代より少し前の時代と同じくらいだ。ただし前世にはない神秘があるとだけ行っておこう。」
簡単に言うと?
「『異世界転生』というやつだ。」
わーお。
「ついでに言っておくが、人類史を存続させた偉業により、お前の魂には既に多くの神から加護が与えられている。いわゆる『チート』で異世界無双というやつだ。」
神様、意外に現代文学知ってるね。なんかラノベとか読んでた?
「人の知とは回り回って神の下へと辿り着くものだ。知らぬことの方が少ない。」
神の頭脳は万能であったー。
「さて、お前は異世界に転生する。それは決定事項だ。覆せない。まあとりあえず楽しめ。そろそろ時間だからこの辺で切るとしよう。」
うわー、適当なこと言って逃げようとした矢先にこれか。ま、決定事項なら仕方ない。面倒な人生にならないようにしよう。
あ、なんか…………………意識……………………………………きれ……………………………………………て……………………。
モナカアイス……どうして砕けるんだ……………中のアイスだけ残るなよ!!!!