表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

追う者Ⅱ

私は捜査本部の扉を開けた。

「桐島さん!何してたんですか⁉︎ 探してましたよ」と突然私の視界に入ってきた男 捜査熱心 正義心の塊の板倉は、腐れ縁というものであろうか。高校、大学、そして今の職場まで俺について来た後輩で、同僚からは運命的だと揶揄される男だ。私は運命などの宗教的な事を信用しないのだが.....


「桐島さん、この動画ですよ。今回の緊急招集の理由となった新しいヤマです。今、資料と動画を送りますね」と彼のreadingから私のreadingに送ってきた。

そこで、私は目の前に出たアイコンから送られてきた動画を再生する..........



2014年4月12日PM9:46 秋葉原駅前

永田竜文は錯乱していた。この男は不運にも5日前にSNS殺人予告された者であった。

彼は何かに怯えた様子で「俺が何をした 何をしたいんだ この覚めない夢から目覚めさせてくれ」などと叫び、暴れまわっていたが、次第に落ち着いていき(怯えていき)、遂には動かなくなった。動かなくなって、しばらくして『生の罪』とつぶやき、ゆっくりと確実に車道に歩き出し自殺をした。



動画を見終わった私の心に残ったのは不気味さだけであった。それを際立てたものは、周囲の人間の行動であった。永田の行動をただ傍観し、動画を撮るだけで誰も話かけず、警察も呼ばない、自分のことしか見えない人間ばかりだったからだ。

急激な情報化が残した副作用はインターネットへの極度の依存であった。

人の死さえも圧倒してしまうものであった。





*readingとは2020年東京オリンピックの際に各国の言語に対応するため、肥大化する情報を外部で保管するために開発された対人外部記憶装置の通称名である


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ