表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロスオーバー・ゲームズ  作者: 猫の人
6章 箱庭世界のリターナー
92/122

リアクション

 記者会見を終えた翌日。

 「異世界の存在、証言される」「異世界行きの手段が存在する」というニュースで世界中が盛り上がった。

 動画配信サイトで生中継していたので当日の段階でも騒ぎになっていたのだが、やはりこの手の情報が広まるには新聞やTVの方が影響力がまだ大きい。ニュースで特番が組まれ、新聞の一面を飾り、世間は「異世界」関連一色になっていた。

 俺はその騒ぎをネットで確認している。





 海外主要報道機関の紙面の過半数は俺へのバッシングがメインだった。主にヨーロッパとお隣さんの国3つ。

 要約すると「異世界への渡航手段という人類が共有すべき財産を独り占めしている強欲な愚者」と言いたいらしい。

 他にも「日本政府の傀儡」「妄想論者」「詐欺師」「社会を知らない子供」など。おおよそ想定の範囲内だ。

 と言うか、あれだけ挑発的な物言いをしたのだ、敵対的でないと、困ってしまう。これ以上変な事をしたくないのだ。


 彼らは異世界で何をしたいのか。世論を味方につけ、外交圧力で戦おうとしている。個人相手に? 馬鹿じゃないの?



 逆に俺を擁護する動きもあり、「個人で核廃絶へ訴えかける聖者」「愛国者」「大国相手に喧嘩を売った勇者(笑)」など。

 ……擁護されている気がしないのはなんでだ?

 東南アジア圏に多くある、某ご近所さん国家に対して思う所がある国々はこちらに味方し、庇護と利権のおこぼれを狙っていく方針を打ち立てている。


 異世界関連で利益は欲しい。だが「異世界に直接行く権利など必要無い」と考えているとも言える。



 静観の構えを取ったのは太平洋の向こうにある大国。

 日本がこんなことをしている、その程度に報じた上で、「いずれは他国の協力が必要になるだろうから、それから手を貸せばいい」といった論調で「魔法使いのお手並み拝見」と言い放っていた。

 あの国は、本当にやりにくい。こっちの思惑の一つが完全にバレている。出来ればその意見はこっそりと胸の内に仕舞い、裏で動いてほしかった。



 そして国内。

 意外も意外、俺への評価は好悪半々といった所。


 広島、長崎の被爆地では「核兵器根絶を最低条件」と言った事が高評価に繋がった。

 そして俺の暴言の数々をあえて無視して、国内に発生する利益を予想する形で社説を述べる新聞社が意外と多かった。他にも俺の発言の裏を読もうとする連中が多く、失礼だが意外と冷静、それが俺の感想だ。


 否定的なのは、「これで外国を敵に回した。どう責任を取るんだ」などという主張をする方々。

 いや、まったくもってその通り。

 だけど止める気は無いので、もっと酷いことになるぞ。諦めろ。


 あとはやっぱり、言葉を額面通りに取らない論説が多い。

 「俺が暴言で記者の思考を誘導し、会見の流れをコントロールしていた」「本当の事しか言っていないけど、隠している事が必ずある」と断言し、その隠し事を推測しているわけだ。

 特にネット記事のコメント欄は侮れない。本命の切り札に言及していたコメントをいくつも見つけた。自由に発言している分、本職よりも真実を口にしやすいという事かね?



 総評としては、思った様に事が進まない、だ。

 煽れば簡単に炎上すると思っていたけど、本社のライターは会見の記者ほど沸点が低くないようで。

 大衆もそれに倣え、なので思ったよりも表面上は落ち着いている。


 まだ本当に異世界の品々が出回っていないという事が騒ぎにならない理由の一つか?

 そもそも、一般開放されないから、自分たちには関係ないと割り切っているのか?


 爆弾、投下するか?

 要検証だが、俺が寿命で死なない可能性が有る、とか。





 思っていたのとは違う反応が返ってきた記者会見の結果に、俺は頭を悩ませた。

 「もう本職(政治家)に任せてしまえばいいか」と割り切るまで1時間以上悩んでいた。


 そんな俺に、『ストレージ』経由で一通の手紙が届く。



『四方堂、冬杜が逃げた。

 おそらく日本に逃げたはずだ。予定通り、後は任せる』



 こちらでまいた種が芽吹いたと。

 異世界から最後の一押しになる相手が来たと、俺に告げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ