ダンジョン攻略4回目
俺のサボり対策ということで、三浦さんが付いてくることになった。
で、俺たちのやり方を見てお怒りだ。
「戦ってないですよね? 戦ってなかったですよね? これ、戦闘行為って言えないですよね!?」
「敵がいて、攻撃可能な状況があって。安全確実に倒すのは普通だろ? 戦い方は人それぞれ。直接挑む理由がどこにあるよ?」
「そうですけど……そうですけど……っ!」
見つけたとたんに攻撃し、倒しているので、敵は視界に入らない事も多い。
魔法は敵をターゲットにする必要が無く、見えていなくても場所を指定するだけでいい。多少のずれは自動補正。『ブレタク』の魔法は外れないのだ。
そんな魔法を多用する戦いは、可能な限り接触しない戦闘スタイルは三浦さんには不評の様子。
攻撃できる瞬間があるなら、攻撃するべきだろう? どこぞの騎士じゃあるまいし、戦闘不可避の相手であれば俺のやり方の方が正解だと思う訳だが。
「はぁ。では、次は私にやらせてください」
どうしても納得できない三浦さんは自分1人に任せろという。
「却下。リスク背負ってどうするよ。無駄だろ?」
「私の経験値になります!」
戦闘系スキルは使う機会が少ないけど、熟練度稼ぎであれば普段の戦闘訓練でも構わないはずだけど。
それにそこまで戦闘訓練を重視する必要があるのか?
「人に向かって、全力で殺しにいく技を使えるわけないじゃないですか。全力で戦う経験はここでしか積めませんよ。訓練と実戦は違うんです。
それに、「いざ」って時がいつ来るかは分かりませんし。戦えるようになるならやれる事はやっておきたいです。それとも、四方堂さんは私達を絶対に守りきれますか?」
俺が甘いのか、みんなの想定が厳しいのか。
ただなぁ。
「最近、村の空気が悪いのは理解しているか? 間違いなくダンジョンに潜るようになってからだぞ?
敵と戦う力は手に入るかもしれないけど、その前に村が駄目になるぞ」
村社会っていうのは、農耕民族だ。
ダンジョンに挑む冒険者っていうのは、狩猟民族だ。
この二つは基本的に相容れない。
協力関係を作ることは不可能じゃないけど、それは互いが歩み寄った、妥協や譲歩の結果だ。何もなしで上手くいくわけじゃない。
今の村は、今まで農耕民族でまとまっていた村が狩猟民族を交えたことで起こる対立をはらんでいる。
そのあたりの危機意識がみんなには欠けている。
「村でも狩猟をする人はいましたよね?」
「シビリアンコントロールと同じで、狩りに出る人間が少ないから成り立つ話なんだよ。戦える人間っていうのは脅威なんだ。今まではそれを示す機会が無かったから良かったけど、それを示しちゃえば今迄通りとはいかないし。
仲のいい友達がいたとして、いきなり相手が銃火器で武装してみろ。友達だと分かっていても、武装したままじゃ結構恐いぞ?」
「私たちが、怖くなったっていうの?」
「ああ。そりゃそうだろ」
というか、そこに意識がいっていなかったというのが凄い。てっきり知っててやっているとばかり思っていた。
村人みんなの態度が変わりだしたのはダンジョンに潜り始めてすぐのことだし、最近は子供と遊んでないだろ、お前ら。
ほとんどダンジョンに潜らない俺の方によってくるんだぞ。春香もいつも以上に大人気だ。
このへん、身内とか仲間とかとは別の「逆らったら殺されかねない」って意識が働くんだよ。
しかも戦った後の殺気立っているところを見られようものなら。そりゃあ避ける。一般人に勇気を求めるな。
そしておまいら。本当に日本で一般人だったんだろうな? 元戦闘民族と言われてもしょうがないぞ。グンマーか? 三河武士か? 鬼島津か?
思う所があったのか、三浦さんが落ち込んだ。
三浦さんは見た目で言えば子供の面倒を見るお姉さんではなく同年代だから、たまに子供だけで遊んでいるようにも見えたけど、よく子供と一緒に居たのを見かけた。
だと言うのに怖がられるというのは、相当ショックなのだろう。
ショックを受けた三浦さんを見て、少しは意識が改善。されればいいと思った。
これで少しは状況が変わると良いんだけど。
ま、無理だな。




