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クロスオーバー・ゲームズ  作者: 猫の人
5章 迷宮世界のエトランジェ
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ダンジョン攻略1回目

 押し切られた。

 ダンジョンを資源にするタイプの話を読んでいたのは俺だけでなく、クラス全体に「ダンジョンはレアアイテムを入手する場所」という認識が広まった。

 俺が現地人、村民を戦闘用に鍛える気が無いのは知っていたので、俺たちの帰還に合わせてダンジョンを潰すという流れになった。


 勝手につぶすことも考えたけど、今このタイミングでそれをやったら俺の立場が危うい。疑われるのは必至、そうなると村での発言力が無くなる。

 それは俺にとって好ましくないので、民主主義の原理に従い、俺は自分の考えを曲げる事にした。



 そうなると、ダンジョンに潜るメンバーに俺と古藤がいるのはあまり良くない。どう考えてもオーバーキルになるし、短期決戦でないなら片方は常に村にいるべきだ。戦力の分散・逐次投入を愚策という意見もあるが、俺たちの生存能力を考えてしまえば過剰戦力の投入を無駄と見るべきだと思う。というか、本陣(ノース村)を手薄にする方がよっぽどの愚策だ。


 第一陣のメンバーは俺、赤井は絶対条件。あとは三加村。

 赤井を連れて行かないとダンジョンがどんなものか分からなくなるかもしれない。古藤は赤井と仲が悪いので必然的に俺が組むことになる。三加村は連絡役だ。リアルタイムの通信能力は三加村の召喚術に頼るしかない。

 他のメンバーは手すきの物から順番に連れて行くという事で、手の空いている者を3人と言うつもりだったが、冬杜がやる気を見せているのでそれを承諾。他の連中も異論はないようだ。

 あとは冬杜と仲の良いのが2人選ばれた。連携を考えれば最初から仲の良い奴で固めた方が無難だし、文句を言う奴はいなかった。





「最初から殺意が高いね」

「三加村、壁から離れた方がいいよ。手を付くと発動する罠が仕掛けられてる」

「うげ。心友、感謝」

「三加村も罠関係のスキル持ってただろ? それは使えない?」

「あー、ちょっと意識が散漫だった。壁まで注意してなかった」

「おいおい、頼むよ……」


 ダンジョン内部は結構広い。そして地下なのになぜか明るい。

 石造りの通路は幅8m、天井5mと普通に歩くにも戦うのにも不便を感じない設計だ。赤井のダンジョンみたいに広いフィールドになっているとかではなくて助かったと思う。

 たまにある部屋はモンスターハウスで、ゴブリンやオークといった定番の魔物が待機していた。……部屋の外から問答無用で潰したので、3時間の探索のうちまともに戦った回数は0だが。


 殺しにくる罠が多く、落とし穴+鉄槍のコンボとか、吊り天井で部屋一つ潰すとか、落石通路とか。引っ掛かったら死ぬような罠が最初からある。

 今のところ俺が対処できる範囲なので問題ないが、いなかったら大惨事確定コース。死人が出ても不思議じゃない。


 先頭を歩くのは俺と三加村の召喚モンスター、ワルキュリアが務めている。

 俺は死なないので(おとこ)探知できるし、索敵能力や罠発見能力もメンバー随一だ。相方のワルキュリアは自力で空を飛べるし、数々の魔法を扱える。三加村によりバランスよく戦えるよう育成されているので、汎用性の高さで前衛に選んだ。

 隊の中には赤井と冬杜の友人らを置き、最後尾には三加村と冬杜を並べている。純粋な戦闘能力を考えれば、残った中でも特に戦える二人を後ろに持っていくのが正解だろう。


 スキル構成は戦闘用ではなく敵や罠を探るための物を中心にセットさせているので、何度もダンジョンに来るならそっち方面のスキルも使い慣れてていくだろう。こんな機会でも無ければずっとそのままだったスキルだからな。

 本当は、あまり成長させてほしくないスキルなんだけど。戻った時の事を考えると、そっち系の熟練度を稼ぐのは不味そうな気がするんだ。



「四方堂さぁ、過保護すぎね?」

「生きるか死ぬかの選択肢、突きつけるような真似ができるか」

「うわー、アンタ誰のお母さんよ? ないわー」

「はいはい、言ってろ。罠一つまともに探れないひよっこが」


 ダンジョン内、意欲のあった冬杜であったが、戦闘行為が発生しないと一気にテンションが下がった。どうやら戦いたいらしいが、俺としては戦闘は最低限に抑えて安全最優先で行きたい。アメリカの某PC企業が掲げる「安全(safety)(is)常識だ(value)」みたいに。

 それを過保護と言われようと、一回目から戦闘というのもどうかと思うのだ。せめて攻略手順を確認してからにしてほしい。というか、スキルの熟練度は稼いでいるんだし、そこで満足しておけと言いたい。


 冬杜はわりと戦闘訓練とかも積極的にやっている。そっち系の熟練度は俺に次ぐ2位で間違いない。

 でもなぁ。人間は簡単に死ぬ。首をある程度深く切られたら死ぬし、眼球から脳に至る刺突を喰らっても死ぬ。呼吸できなきゃ死ぬ。体の表面7割に火傷を負っても死ぬ。下手すると、傷の痛みでも死ぬ。

 チートで死なない俺や古藤とは違うんだ。その俺たちだって呼吸できなきゃそのうち酸欠で行動不能に陥るし、無敵ってわけでもない。実験で確認したから間違いない。俺が全力でかばっても、絶対に安全とは言えないんだ。

 冬杜はそれを分かっていない。自分能力を過信しているのか?


 珍しく愚痴を漏らす冬杜の相手をしつつ、俺たちはダンジョン最下層まで潜った。

 階層(フロア)は5つ、探索にかかった時間は潜ってから6時間程度。赤井の話ではレベル最大を100として、レベル50相当の難易度だったという。


 罠を破壊し、モンスターを殺し。途中の宝箱は全てダミー。モンスタードロップはほとんど無い。

 しかし最奥の宝物庫には少量の金貨といくつかのマジックアイテムが収められており、残念ながらタダ働きにはならなかった。

 これでタダ働きだったらダンジョンを潰す口実になったんだけど……。


「できればみんなにはダンジョン攻略なんて(こんな事)してほしくないんだけど」


 俺は嫌な予感を拭いきれないのだった。

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