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クロスオーバー・ゲームズ  作者: 猫の人
3章 傀儡世界のマリオネット
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閑話 乙女たちの内緒話(赤井 楓)

 瑤子ちゃんは、回りくどいんだよ。


 こうちゃんの事を危険視してるって雰囲気は隠そうとしないのに。理解者の顔をして、私を責める。普通の女の子同士って、こういうのが面倒なんだよ。

 そこに助けられている部分もあるんだけどね? 私がこうちゃんにアプローチしているから、他の女の子は遠慮してくれるわけだし?


 でもね、やっぱり面倒なの。


 ――だって 瑤子ちゃん

 こうちゃんが「人殺し」で、「良心の呵責を感じていない」だけで

 危険な人扱いなんだもの――





「助けてくれるこうちゃん相手に、それは無いんじゃないかなぁ?」


 こうちゃんは分かり難いようで分かりやすい。

 夏奈ちゃんと春香ちゃんは「分かっている」側だから今日はほとんど何も言わないね。橘さんは自分の意見を持っていないのかな? 一般論、みんなの言葉だけを言っているね。


 だから、()は瑤子ちゃんだけ。


「瑤子ちゃん、ううん、たぶん奥に控えているのは静音ちゃんかな? 『村組』――先に村に来たみんなの事だよ――の総意ってことは無いみたいだけど。

 こうちゃん、危険人物認定されたみたい。


 分かるよ?

 人殺しが、殺人鬼が近くにいたなら落ち着かないもん。


 でもね?

 こうちゃんは無差別殺人鬼じゃないんだよ。

 ちゃんとルールに則って行動してるの。

 日本の法律と常識、国際ルールを守っているだけなんだよ」

「ちょっと待ってください。殺人は歴とした――」

「正当防衛、だよ? 殺されそうになったんだよね。だったら反撃、自分の命を守るのは、『普通』の事だよ」

「な……」


 平和ボケしてるよね、みんな。

 『勇者組』――初日に城に行った私たち――は、実戦を含む戦闘訓練を受けたから、あれぐらいの話は誰も気にしていなかったけど。

 殺すのって、慣れる事なのに。『村組』はお姫様扱いだったんだろうなぁ、こうちゃんだし。


「襲われて、どれだけ戦えるか分からなくて。何もしなきゃ殺される状況で反撃したら危険人物? さすがにそれは、不義理って言うんじゃないかな?」


 この一点については、法的にも問題ないんだよ。


 王都でいろいろやったみたいだけど、そっちだって合法の範囲なんだよ。

 私達って、国家規模の集団拉致被害者なんだよね。

 救援が見込めない以上は自助努力で故国に帰ろうとするのは当たり前だし、なにより拉致した側とは敵対関係になるよね。それこそ、宣戦布告(・・・・)されたみたいに。

 戦争中なら、敵国の兵隊さんや大物政治家を攻撃対象にするのが普通なんだよ。一般市民に被害を出すのはマナー違反だけど。

 捕虜の拷問、たぶん召喚の方法を聞き出すときにしたと思うけど、ジュネーヴ条約に加入していない相手に通用しないから、これも問題ないよね。

 戦闘方法についてもハーグ陸戦条約にゲーム能力は記載されていないし? 毒を使ってはいないんじゃないかな?

 そもそも国際ルールを適用できる場でもないし、相手だって知らないんだから守らないよね。


 逆に知っているみんなについては、ちゃんと守ろうとしてきたんだと思う。

 非戦闘要員の人道的な扱い、個人の人権を尊重して自由を与えてきたことを考えれば、たぶん間違ないないよ。

 だって、こうちゃんだもん。



「ですが、人を殺すことに忌避感を感じない精神性の危険性は、無くなっていません」

「ん? 何か問題あるのかな?」

「当たり前です! どんな理由で人を殺すか分からないんですよ!?」

「自分を含めクラスメイトの命の危機、村民二人以上の人を殺した時、放火をした時、だよ」

「え?」

「日本の法律で殺人が正当化されるのはそれぐらいだから、それだけだよ? 戦時下の敵国人は別だけど、私達に限って言えばそれだけ。それだけ守れば、絶対に殺されないよ」


 瑤子ちゃん、「怖い」が先行しすぎて冷静じゃないよね。

 逆に「ルールに従った考え方」で動いて融通が利かないところがあるけど、これ以上分かりやすい話も無いのに。

 一般道徳としては例外であっても、「死刑」を許容するのが法律なのに。



 ううん。

 ちょっと誤魔化してる、騙してる。主に自分を。


 こうちゃんが人を殺しても気にしない理由を、私は知ってる。

 こうちゃんは、人の命に価値を見出していないから。

 こうちゃんは、人の傍にいる事に安らぎを感じない。

 こうちゃんの常識(タイセツ)は、他人(ヒト)のそれと随分違うんだよ。


 法律を根拠に行動するのは、自身の中にある価値観が他人(ヒト)のそれと違うから。

 皆を守るのは、それが日本にいた頃の、自分の環境だから。



 ただ。

 こうちゃんが恐れているのは、異端と白眼視される事じゃなくて――

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