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クロスオーバー・ゲームズ  作者: 猫の人
3章 傀儡世界のマリオネット
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ノース村への帰還

 王都から脱出し、赤井たちを回収し、ノース村へと俺たちは戻った。

 道中はさしたるトラブルも無く、一度目よりも食事が豪華だったおかげで同行者から不満は出ず、召喚モンスターたちの頑張りもあり、7日でノース村へとたどり着いた。


 ずいぶんあっさりしているけど、この場にいる全員を編成画面で仲間に組み込み、戦力を増強しているのだ。人数増加に加え、一緒にいるのは戦闘訓練をしてきた連中である。全員が戦う力を持っていた事もあり、何があっても大丈夫なのだ。

 気にしていた王都側からの追撃なども無かった事を付け加えておこう。





 約10日の間離れていたノース村は、また様変わりしていた。

 なぜか近代建築の建物が立ち並び……発電所!? 電柱!? 風力発電所らしき建造物に加え、太陽光発電施設らしきものまである。

 えーっと、何がどうなってこんなことに?

 というか、ここまで近寄らないと分からなかったけど、なんで分からなかった?


「あ、四方堂! おかぁエリー!!」

「嘘!? ほんとだ! お帰りー!!」


 門のところで思わず立ち止まってしまった俺たちに、村にいた女子が気が付いた。


「みんな居るよ!!」

「宴会だね!」

「宴会だよ! 準備急いで!!」


 俺の現在位置と到着予定については、毎日連絡していた。

 ストレージにあるアイテムは共有している。つまり、現在位置を書いた紙を毎日放り込めば村の誰かがそれを回収して読むというメールのようなやり取りが出来るのだ。

 だから俺たちに気が付いた彼女らはお出迎えなんだろうけど。

 宴会?

 んー、俺はともかく、他のメンバーと合流するのは50日ぶりぐらいだから、騒ぎたくなるのも仕方がないか。


 それはさておき、互いの近況については手紙に書いて教え合っていた。

 だが、村が一気に近代化しているなんて情報は貰っていない。どういうことか、誰か捕まえて説明してもらおう。

 これはさすがに「驚かせたかったから」で済ませていい話じゃない。報連相の重要性についてお話が必要だ。誰の能力で、どんなゲームが元か、何が出来るのかを知る必要がある。

 能力によっては帰るまでの期間短縮につながるかもしれないし。



 門をくぐり、村の中に入る。

 馬車は馬房の横にある発着場に片づけておく。


 全員馬車から降り、それぞれの住居へ案内をしようと思うのだが、ここまで様変わりしているとどこに案内すればいいか分からない。

 馬房の近くは馬糞の臭いや家畜特有の獣臭さでいい環境とは言い難いので、みんなを引き連れて食堂を目指した。


「しほーどー、ひっさしぶりー」

「四方堂さーん」


 食堂に入ると冬杜と三浦さんの二人が俺のところに小走りで寄ってきた。

 だから俺がいない間、この村でリーダーをやっていた冬杜の頭を掴む。


「なぁ、俺がいないほんの数日の間に村の様子がずいぶん様変わりしたと思うんだ。なのにさ、なんで連絡がねぇのかな?」

「ちょ、四方堂! マジ痛い! 耳からなんか出る!!」

「その前に口から誠意を出そうなー?」


 騒ぐ冬杜、呆気にとられる周りのみんな。

 付いて行けないのは仕方がない。俺だってこんな事になるとは思わなかったし、こんな事をする必要があるとか考えてなかったし。


 微笑みながらも手加減しない俺のアイアンクローで、冬杜のHPが2割ほど削れたところで解放する。

 そして現状を説明させようとしたところで、なぜか赤井が前に出た。


「瑶子ちゃん、久しぶり」

「楓、久しぶり」


 背筋が、凍った。

 周りのみんなの顔もひきつった。


 赤井の顔は穏やかな微笑を湛えているが、表情通りであるとはだれも思っていない。怒り狂っているようにしか見えない。

 しかし、三浦さんは平常運転だ。ニコニコと笑っている。怯えを隠しているといった様子ではない。それどころか赤井に対し、軽く手を振っている。


「「ちょっとお話ししましょう」」


 2人の台詞がハモった。

 そしてこの場を離れる三浦さんと赤井。


 どんな話をするかは分からないが、きっと俺にとって悪い話だろう。


「不幸だ」


 俺はがっくりと項垂れる。


「自業自得にゃー」


 冬杜の軽い突っ込みが胸に突き刺さった。

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