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クロスオーバー・ゲームズ  作者: 猫の人
3章 傀儡世界のマリオネット
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再会

 赤井は俺に同行することを決めたが、すぐに俺と一緒に行動するわけではない。

 王都にいるメンバーと合流する前から一緒に動けば、王国の連中を刺激するからな。


 そんなわけで赤井も『ブレタクⅢ』のパーティ編成に組み込み、昼まで時間を使って一気にレベル上げを行ってから王都を目指した。





 王都には夕方にはたどり着き、俺は再び王城に潜入する。

 王城の警備はザルであり、見つからずに潜り込むのも簡単だ。三加村に連絡を取り、王都のクラスメイト全員と会う事になっている。

 みんなには餌付けというか、米の飯で懐柔を三加村にお願いしてある。


 だけど、全員を集めて話をするのはそれが本命ではない。

 彼らの中に、スパイが混じっているからだ。



 王国は、俺たちよりも前に召喚を行っている。

 そして、王国内には俺たちのようなギフト(ゲーム能力)持ちの子孫がいる。

 そんな彼らの中にはギフトを一部だが受け継いでいる奴がいたのだ。


 強力な力を持つ俺たちを受け入れたのも、そんな奴らが居たからこそ。ちゃんと勝算があったのだ、奴らには。

 ついでに、俺たちの数を減らそうとしたのは、数が多ければ管理が大変だったから。盗賊をけしかけたのも考え無しではなく、ちゃんと考えた末の行動だったわけだ。



 問題の能力者は王国貴族の一人で、公爵家の次男だという。

 過去に召喚されたギフト持ちは王家がその血を取り入れており、王家の娘を下賜された公爵家に(くだん)のギフト持ちが生まれたらしい。


 能力は洗脳。自殺すら命令できる強力な能力らしい。

 細かい情報は無いが、操られる側にはその自覚が無く、極めて自然な状態を保つため、誰が操られているか古藤には分からなかったという。


 だから全員集めて、操られている奴を一気に炙り出す。

 古藤をはじめとした何人かを操っていないことを考えれば、相手の能力には何らかの制限や条件があるはず。そこを突くつもりだ。






 クラスメイトが集められたのは王城の一室。

 誰かの私室では狭すぎるため、ちょっとした広さの会議室を貸し切っている。監視の目をかいくぐるなど出来ないので、そこは目立っても構わないと割り切っている。


「四方堂!本当に生きてたんだな!!」

「ひっさしぶりー! おにぎり、ありがとうねー!! 美味しかったよ」

「みんなは? 静音は無事!?」


 会議室に俺が姿を見せると、クラスメイトが一斉にこちらを向き、口々に何か言う。おいおい、いっぺんに言われても分からねーよ。


「とりあえず、久しぶり」


 軽く手を上げ、みんなに挨拶。


「つーかお前、今まで何してたんよ!?」

「おにぎり、どうやって作ったの? お米はどこから? 梅干しってこの国でも売ってたの?」

「なぁ、逃げるのはいいんだけどよ、そこって安全なん?」


 みんな全然落ち着かねぇ。言いたい事を叫ぶだけかよ。

 というか、詰め寄られ掴みかかられてしまう。


「まあ待て、みんな」


 俺が騒ぐ連中の対応に苦慮していると、三加村がみんなの抑えに回った。すぐに抑えに回っても収まりがつかなかったからしばらく騒がせ、ある程度勢いがそがれるのを待っていたようだ。


「まずは飯でも食って、落ち着こうぜ」


 三加村はそう言ってストレージからおにぎりを取り出すのだった。



 全員で食事をする中、俺はこっそりとマップ画面を開く。どうせ他人にはマップ画面は見れないので、こっそり開かなくてもいいのかもしれないが念のためだ。


 マップ画面上の表示で敵味方を判別する。

 すると洗脳状態の女子が一人だけ。



 「藤村(ふじむら) (まい)」、ショートカットでスポーティな部活少女。バスケ部で活躍する長身のセンター。

 モンスターをハンティングするゲーム能力なので装備が無い現状では戦闘能力が低い。ただ、薬草を採取し回復薬などを作っていたらしい。

 目立った行動は無く、ここにいる面子の中では地味という印象が強い。


 状態異常の欄には「洗脳」の文字があり、敵対中の赤表示ではなく、中立の黄色表示。

 本人の意思にかかわらず敵対しているので、完全に敵扱いしないイベントキャラ扱いって事かね?


 他のクラスメイトにはそういった表示が無いし、操られているのは藤村さんだけか。

 洗脳された奴を判別できるのも分かったし、さっさと用を済ませるかね。



 俺はみんなをノース村に連れて行く約束をするが、場所については詳しい説明をまだしないことにした。

 スパイがいる事は説明してないが、城内には監視者がいるだろうから城の外で説明すると言ってある。その説明だけでも十分な説得力があり、みんなも納得してくれた。

 で、準備もあるし、この場はいったん解散することにした。

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