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クロスオーバー・ゲームズ  作者: 猫の人
2章 放浪世界のサバイバル
24/122

防衛に関すること

 村に来て20日が経った。


 正直、生活を支える食料とか日常を豊かにする雑貨とか。そういった物はもう任せてもいいと思う。

 あの二人がチートすぎて、俺の立場は“ただの便利屋”に近いところまで落ちた。錬金術も他の奴に任せられるようになっていたりする。俺ほどスキル熟練度が高くないが、数をこなす意味でも俺が手を放す方がいいという判断だ。なので、最近は顔を出す程度しかしていない。

 便利屋扱いは冗談としても、俺抜きでもなんとかなるぐらいの生活環境が整った。だから俺は俺の役割を果たそうと思う。


 俺の役割。

 それは村の防衛である。





 村は害獣ぐらいしかいない、平和な土地だ。

 ついでに畑を耕せる程度の水資源があり、交通の便もいい方だと思う。

 普通に考えれば村民を連れて行った後にでも他の街から人を送って、新しく村を作っていいと思うのだが。現在は戦争に人を取られて開発するだけの余剰人員や資金が無いのだろう。


 しかし、いつまでも戦争をしているとは思えない。

 人が来ない理由の一つに季節があり、冬に開拓を始めるよりも春先を選んだだけなのかもしれない。

 つまり、そのうち人が来るかもしれないという事だ。



 人を連れて行きたいからと言って村人を奴隷に落として連れて行くような王国に、俺たちが手を加えた村をくれてやるつもりはない。もしも()が来たら徹底抗戦の構えを取りたい。

 その時に備えるのであれば戦闘要員の拡充は必須事項であるが、俺としては女子や元村民をそういった任務に就けたくないと考えている。


 ではどうやって戦闘要員を確保するのか?

 それは連れてきた馬や、近くの獣を使うのである。ついでに魔法生物を作ればいい。

 別に人間が戦う必要はないのである。



「という訳で。お前たちには軍馬からもう一段階上の存在になってもらう。

 選択肢は多数あり、その決定権は各自に与える。よく考えて選ぶように」

『『サー、イエッサー!!』』


 まずは馬たちに情報を与え、なりたい進化先を提示してみる。


 一つ目。ギガントホース。

 これは超大型化した、通常進化。魔獣と言われるけどな。

 どこかの世紀末覇王を背に乗せても違和感のない、パワー重視タイプの馬モンスターだ。戦車(チャリオット)向きでもある。

 魔獣ではあるが、草食なのは変わらない。


 二つ目は、ユニコーン。

 ファンタジーにおいては有名な()獣なので、細かい説明は不要だろう。捕捉としては聖属性の魔法が使えるぐらいか。

 幼子と処女しか背に乗せないが、この村はそっちの方が多いからな。特に問題はないだろう。


 三つ目は、ペガサス。

 これも有名なモンスターだが、『ブレタクⅢ』のペガサスは流星○とか使えるようになるあたり、制作サイドのお茶目が混じっていたりする。

 航空戦力は制空権の確保に必須なので、これが多いと嬉しかったりする。



 それぞれの種族の特徴を伝え、しばらくシンキングタイム。結論が出た者から順に進化をさせることにした。

 進化に必要なアイテムは1段階分しか作れず、2段階進化は特殊素材が必要なので泣く泣く諦める事に。凶悪性能だったスターペガサスとか、乗騎にしたかったんだけど……。


 やがて結論が出た馬たちが集まり、進化の儀式を手早く進めていく。

 多かったのはユニコーンで11頭、次にペガサス7頭。ギガントホースは不人気で、1頭しかいなかった。


 ユニコーンが人気の理由は聖属性の魔法で、「魔法を使ってみたい」という好奇心の強い奴が多かったからだ。一頭、処女厨だったがここに牝馬はいないぞ?

 同様にペガサスも「空を飛んでみたい」というのが理由となる。もう一段回進化できればこっちは風の魔法が使えたんだが……。

 不人気だったギガントホースを選んだ奴は「一番頑丈」という、とても分かりやすい理由だった。ギガントホースは大きいのが特殊能力扱いで、味方モンスターではHPが999を超える、数少ないモンスターなのだ。馬ではこの系統しか999を超えない。魔法への脆弱性という弱点はあるものの、物理防御も4倍と堅いからな。生き残りやすさでは頭一つどころか二つは上なのだ。



「ではこれから戦闘訓練に入る! 訓練は個別でスキルの習熟に努め、団体では種族ごとに行い連携の確認を中心としする!

 慣れない事だ、失敗することもあるだろう! だが、それは誰もが通る道だ! 失敗を積み重ね、成功するまで努力しろ! 努力は仲間とともに貴様らを裏切らず、生きる為の力となる! 死にたくなければ努力を惜しむな!!

 では、訓練開始!!」

『『サー、イエッサー!!』』

「声が小さい!! ケツの穴を引き締めてもっと腹から大きな声を出せ!!!!」

『『サー!! イエッサー!!!!』』


 進化したとしても、いきなり強くなるわけではない。いきなりゲーム能力を手に入れた俺が言うのだから間違いない。俺のはチートだから良かったけど、普通にああいった力を手に入れても持て余してしまうだけだ。だから厳しいことを言って訓練を強いる。

 俺自身、訓練の前に何を言えばいいのか分からなかったので、適当にアニメか何かのセリフを借りて言ってみた。たぶんこれでいいだろう。馬たちも気合が入っているし。


 あ、進化でリセットされたレベルは訓練前に元の99カンストまで上げておいた。身体能力などの性能が変わると感覚が狂うからね。慣らすなら完全な状態がいい。



 ユニコーンをペガサスたちはそれぞれのフィールドで横並びになって進むという事を繰り返している。旋回を行っても横並びを維持し、隊列を崩さないことをメインに行わせている。

 これは面制圧能力の確保を目的とし、部隊行動を行う時の基本になる。少数の今は横並び以外で数の利を出すのは難しいのだ。


 単騎のギガントホースは自由にやらせている。

 ユニコーンと隊列を組むには体格の差が邪魔をして、あまりいい形にならないからだ。それに足の速さでも群を抜いているので、下手に隊を組むより単独の方が使い勝手が良さそうというのも理由の一つ。

 その足の速さに、ユニコーンを選んだ奴らが羨ましそうな顔をする。奴らが魔法を使っている時は逆の立場になるんだけど、走っている今はギガントホースのターンだ。実に楽しそうに周囲を駆けている。


 あとは攻撃を含めた各種スキルを使わせ、ひたすら熟練度上げだな。

 やった事が血と肉になるまで頑張らせるか。

 で、こちらは美味い飯でも用意しよう。春香のおかげで配合飼料も美味いのを用意できるし、士気の維持に上質な食事は基本だからな。



 さて。

 馬だけでなく、俺の方も訓練しないとな。

 最近はシステムのくびきが外れているようで、いろいろ出来るようになってきたのだ。

 いろいろとやるべき事もあるし、時間は有効に使わないとな。

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