表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロスオーバー・ゲームズ  作者: 猫の人
終章 神話世界のワールド・エンド
121/122

エンディング & ???②

「試したいこと?」


 三加村の言葉に、俺は首を傾げた。とぼけるつもりで。

 三加村は俺の肩を掴むとにこりと笑った。ただし目はちっとも笑っていない。


「何をしようとしてたんだ?」

「ゲームを再現するつもりだったんだよ。リアルとゲーム、一番の違いを再現するつもりだったんだよ」

「は?」

「ゲームを再現?」


 いやもう。今はそのためのギフトを古藤に消されたから、もう出来ないわけだが。

 あのギフトはブラフだけど。ごまかし程度に応える分には都合が良いな。


「『セーブ&リロード』。基本だろ?」

「ああ……そうきたか」


 ゲームとリアルの一番の違い。

 それは「やり直し可能かどうか」だと思う。

 ゲームなら、セーブポイントまで何度も戻ってやり直せる。

 リアルでそれは出来ない。セーブポイントなんて無いからだ。


 俺は、『編成画面』を『スタート画面』のギフトにする事で『セーブ&リロード』を再現しようとしたわけだが。神域に入ってすぐに作ったセーブデータが全て消されており、ロード画面には「No DATA」の文字が表示されるだけだ。

 せっかく過去のデータをでっち上げ、この世界に来たばかりの頃まで戻れるようにしたのに。


 三加村はTRPG、つまりやり直しのきかないゲームをやっていたからこの手の発想が無かったらしい。

 こいつだけは予想していなかったらしく、驚いている。が、他の連中の何人かは気が付いていたようで、「やっぱり」という顔をしている。



「なるほど。やり直して悲劇を無かったことにするわけか?

 戦争なんかは被害が大きすぎたからな。あれが無かったことにできるなら、それはそれでアリかもな。

 ま、もう出来ねーみたいだけど」


 話を聞き終えた三加村は納得したように頷いた。

 が、話はそれで終わってくれなかった。



「ダウトです」


 今度は三浦さんだ


「嘘ですよね、それ」

「……何を根拠に?」

「三加村君が選んだ選択肢、「ちろりろりん」って聞こえましたよ。四方堂君から答えを聞き出せなかった、失敗の音です。

 だから。今の答えは嘘、ですよね?」


 三浦さんが冷たい目で俺を見る。

 ああ、嘘を言った事に本気で怒っている。今まで見た事の無い、般若のような顔で俺を見ている。

 思わず、口元が引きつった。


「ここまで来て、隠し事は無しですよ。ね、静音(・・)?」

「は?」


 あ。

 ここで冬杜に話を振るって事は。


 もしかして、バレてる?



 首を三加村の方に向ければ、してやったというドヤ顔が目に入った。さっきのは演技だったわけか。

 なんかイラッとした。あの顔をぶん殴りたい。が、ぐっと堪える。


「『セーブ&リロード』、似てるけど違いますよね。正しくは『ニューゲーム』ですよね。ああ、引継ぎありですから『セカンドゲーム』でしょうか?」


 三浦さんは頬に指を当て、小首を傾げながら、俺の方を見ずに言う。

 冬杜は俺に向かって両手を当て、頭を下げている。どうやら白状(ゲロ)させられたらしい。



 はぁ、と大きく息を吐く。

 あんまりみんなを巻き込む気は無かったんだけど。

 どうやらそうもいかないらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ