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クロスオーバー・ゲームズ  作者: 猫の人
終章 神話世界のワールド・エンド
117/122

ゲーム・オーバー・ワールドエンド⑧

「古藤!」

「分かってる! まず三加村からだ!」


 俺と古藤は肩を並べて三加村を襲う。

 単純に、主張としては近い古藤と組むのが正解だというのに加えて。


「おいおい二人とも! 分かりやすすぎるぞ!!」


 三加村が、俺たちより突出して強いからだ。



 この戦いは、互いの持つゲーム法則で相手のルールを侵食することが基本戦術になる。


 三加村の戦闘はターン制。交互に攻撃する、古いRPGのようなシステムだ。

 俺と古藤はアクティブタイムシステム。スピードのパラメータに依存し、差が大きければ片方が何度も攻撃することもあるシステムだ。


 こう考えると俺達の方が有利に見えるが、こちらのシステムを適用しきれなければ「三加村は俺達が一回攻撃すれば、必ず自分も一回攻撃できる」わけで、システム的に守られている今は俺達の攻撃速度を超える事もある。

 俺と古藤を1グループとカウントせず、それぞれと別のシステム戦っているように状況を作り上げ、俺の攻撃に一回反撃、古藤の攻撃に一回反撃と、それぞれ別の戦闘を行っているかのように振る舞うのだ。そのくせ三加村の攻撃は広範囲に適用させて俺たち二人を同時に狙うといった狡いやり方をしてみせる。

 同時攻撃ならとタイミングを合わせてみたが、物理法則を無視して2回行動されて終わった。


「『格闘』≪オーラナックル≫『後の先』『防御貫通』『バリアブレイク』『ノックバック』!」


 こっちもシステムをフルに使って対応する。

 今の俺は無駄に上げたレベルにより、スキルスロットが拡張されている。ほぼ全てのスキルをセットした状態で戦える。

 『格闘』≪オーラナックル≫で打撃力強化、『後の先』で相手の攻撃よりも早くこちらの攻撃を当て、『防御貫通』『バリアブレイク』で相手の防御系スキルを無効か、最後に『ノックバック』で三加村を吹き飛ばし、攻撃を無効化する。リアクションスキルを封じる『先の先』か遠距離攻撃が無ければ嵌め技とも言われる凶悪コンボだ。『ブレタク』の至近距離戦闘ならこれで無敵のハズだが。


「≪インタラプト≫≪ダブルアタック≫≪フェイタルストライク≫」


 三加村のスキル、≪インタラプト≫一つでキャンセルされる。今回は『後の先』を消されたため、そもそも反撃が無かったこと(・・・・・・)にされた。

 ≪インタラプト≫は「相手の攻撃を1シナリオ中1回だけキャンセルする」ファンタジー系TRPGのスキルだ。TRPGではこういった防御系スキルが充実していて、ボスの攻撃の中でも特にヤバい奴は無効化したりするのが一般的らしい。

 無制限にとは言わないが、三加村はこのスキルを何度でも使える。超高レベルプレイのローカルルールでそうなっている。

 しかもこれは一回の行動とはカウントされず、これとは別に反撃がある。≪ダブルアタック(二回攻撃)≫に≪フェイタルストライク(防御無視攻撃)≫を乗せた反撃を受けてしまう。


「≪死点撃ち≫!」

「≪ミラージュボディ≫≪ギガントウェポン≫≪インフィニティウェポン≫」


 古藤の方も頑張っているが、古藤の場合は俺よりも手札が少ない。RPGでは個人が複数のスキルを組み合わせると言ったことは無く、精々が補助スキル、補助魔法の重ねがけが精一杯だ。

 もともと戦闘勘だけはこの中でも突出していた古藤だが、三加村の豊富なスキルとそれらを使いこなすセンスには付いて行けず、劣勢に追い込まれている。

 ≪ミラージュボディ≫で攻撃を躱され、≪ギガントウェポン(範囲攻撃)≫と≪インフィニティ(多人数)ウェポン(攻撃)≫の併せ技で俺ごと吹っ飛ばされる。


「不味いな……。攻撃が届かない」

「四方堂、手はあるか?」

「≪三重加速(トリプルアクセル)≫に賭ける以外、思いつかない」

「そっちも≪四重加速(クアドラアクセル)≫が登録してあったはずだが?」

「使ったことが無いし、反動があるかもしれないから、パス」

「そうか」


 もっとも、攻撃を喰らってもダメージを受けないチート2人。ダメージは0だ。

 一応、三加村の方も俺達のチートを超えられないでいる。


 スキルの壁を越えられない俺達。

 チートの壁を越えられない三加村。


 一見すると俺達が有利だが、三加村がいつまで俺達のチートを超えてダメージを与えてくるか分からない。

 逆に俺達も三加村のスキルを超えてダメージを与える方法を考えないといけない。



「≪三重加速≫オーバードライブ!!」

「プリセット≪高速思考≫≪重力の庭≫≪超加速≫――甘ぇよ、心友。マイナーアクション≪三重加速≫オーバードライブ!!」

「馬鹿な!?」


 起死回生、そのわずかな望みを繋ぐための≪三重加速≫による時間停止だったが、それすらも対応される。

 ≪高速思考≫による二つの援護、≪重力の庭≫で動きを重くされ、≪超加速≫で更に優位に立ち、同じ≪三重加速≫を使われる。

 単純に≪三重加速≫を使われた場合は熟練度の差で俺が勝つが、他のスキルによる援護でアドバンテージは奪われた。時間停止世界の中で俺がゆっくり動くしかない中、三加村はいつものように動き。


「≪クイックスペル≫、≪召喚:マルドゥーク≫」


 魔法で俺にダメージを通した。


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