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クロスオーバー・ゲームズ  作者: 猫の人
6章 箱庭世界のリターナー
109/122

クロスオーバー・ゲームズ⑨

 ゴブリンとの戦争から3ヶ月が経過した。



 慌ただしいまま、夏は終わった。

 周辺都市を取り込んだことでノース村はノース市になり、都市国家群の代表となった。都市国家となったことでノース市は正式に国家を名乗る事になる。

 正式に建国したことで俺は日本人ではなくなり、今はノース市の名誉市民である。クラスメイトも半分は同じように日本人を辞めている。



 民主主義を導入するかと思っていたんだけど、周辺との関係を考えると民主主義は早すぎるらしい。いくら日本の支援があっても50年はかかると言われた。

 無理に押し付ける事もできるけど、その場合はリーダーからの命令待ち状態の民衆による民主主義という、矛盾しまくった政治体系になるらしい。地球上ではそういった民主主義モドキな国も結構あったらしい。……学校で習ったか?


 市民は政治家・貴族階級相当の名誉市民、平民の一般市民、犯罪者の下等市民の三種類に分類される。

 ただしこの分類は絶対ではない。能力認定制度や都市への貢献で一般市民が名誉市民になる事があり、成り上がれるという政治体制ではある。これを推し進めると民主主義になる訳で、俺達が「努力が報われる世界」を提供している事を分かってもらう狙いがある。

 俺は細かい部分に関わっていないからあんまり詳しい事は知らないんだけど。貴族政治と民主主義の間のやり方をするって事で納得した。



 国を作れば書類仕事が爆発的に増えるわけで、クラスメイトの過半数が書類の山に埋もれる事になった。

 政治家希望の移民も募っているけど、言語の壁が厚すぎて、乗り越えられる人は(レア)だ。現地人を雇用するほうがマシだったりする。

 実は都市運営に関しては領主をそのまま起用しているため、これでも負担は少ない方だっていうんだ……?


 俺、政治家だけは絶対ならない。



 クラスメイトの過半数がそうやって書類仕事をしている訳で、だったら残りは何をやっているかというと、古文書を翻訳してこの世界の神について調べているか、各地に散って布教のお手伝いをしている。住職や神父様の説法を翻訳し、御仏と神の教えを広めているわけだな。


 俺?

 俺には周辺都市に配る食糧の増産や、テイムして仲間に引き込んだ動物たちの総括っていうお仕事があるから。

 街道警備隊の様になれと各地に強化した動物を解き放ち、ポップモンスターを狩らせているのだ。


 『転移門』は便利だけど俺がいないと使えないし、その俺だって使いっぱなしという訳にもいかない。交通網を整備し、安全な行き来ができるようにするのは国家運営の基本だ。インフラ整備は最優先、という事である。

 だから俺は治安維持を中心に走り回っている。道路建設可能なシム系能力を持つ、蘭堂さんの作った道を行く。


 街と街を繋ぐ、アスファルトの道路。これを用意したことで物資の運搬などが楽になった。

 だが、作った道はモンスターに荒らされる事が多い。だから道路を守る警備隊、テイムモンスター軍団は必須なのだ。

 『調教』スキルはともかく、『テイム』スキルは俺の管轄だったので、俺が警備隊を指揮しているのだ。





 ただ、俺はこんなことをして満足できない。

 今は耐える時、戦いに備え、万全の態勢を整えている最中なのだ。


 いるであろう神の存在。

 そこに至る道が必ずあると信じ、その道を見出す為に古藤たちが調べ物をして(イケニエになって)いる。

 だから俺も仕事をしながら、その時を待っていた。



 仲間が道を切り拓く、その瞬間は――


「四方堂! 手がかりが見つかったぞ! クソッタレな神に至る、有力な情報だ!!」


――今、訪れた。

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