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Nostalgia - 追憶 -  作者: 天野 花梨
He's a legend in his own time.
4/40

To see the world.

1.What is your dream?


 唯野は3人の期末テストの結果と志望学部をみくらべて居る。

(雅治は海洋学かぁ。誠と同様ケンブリッジの方が向いているのかな?時宗の奴、結局適当にしか進路考えて無いな。)


 志望校:仕方無いからオックスフォード

 学部:取り敢えず経済学部(形だけ)


(どう見ても適当と言うか親の言われた通りに書いているな。しかも形だけって……。まぁこっちとしてはその方が波風立たないから有り難いが本当にやりたい事は何なんだろう?)


 放課後、唯野が教室に来てみると珍しく時宗が一人教室に残っていた。

「どうした、珍しく1人か?」

 唯野が英語で話かける。

「ん?何時もバカ見たいに3人で居るわけないじゃん」

 時宗はこの1ヶ月唯野のスパルタのお陰で日常会話は英語で出来るほど成長していた。

「ふっ、3人一緒にでないと行動出来ないと思っていたがなぁ~」と唯野は冗談で返す。

「兄貴の目も節穴だな?」

「ところで時宗お前は、自分では将来は、何をしたいんだ?」

「ん?なんだろう?考えても、どうせ親父の仕事を手伝う事になるからなぁ~」

「それがやりたい事なのか?」

「出来れば、やりたくないな。でも、やりたい、やりたくないでは、かたがつかないだろ?出来るだけ抗って見るけどさぁ~。でも無理ポイ。俺だけの問題じゃ無いからね。

 まぁ、俺の正義に反する事でもないし、そんな事に無駄な労力使ってもね~。

 まぁ、その代わり継ぐなら親父の権力や財力使って俺の楽しめる会社や事業を起業しようかなと。

 例えばさぁ、大学作って誠の考古学の研究バックアップするとか?海洋事業起こして雅治を据えて展開するとかさ。

 そうだ兄貴!俺、海外の有名大学に負けない一貫教育の学校をグループの為に作るからさぁ、校長してよ!

 校長なら暇あるから数学の研究も出来るだろ?」

「ん?まぁ、その時が来たらな。夢は誰よりでかいな?やる気はあまり感じられんが……」

「そうかなぁ~。俺はやると言ったらやるよ?」

「まぁ、そうだな。お前のモビリティーは誰にも負けないよな?それにはやはり世界を動かす未来の指導者の通う大学には行くべきだと思うぞ?交友関係やパイプは金では買えないからな」

「兄貴はハーバード行って良かった?」

「あぁ、少なからず【楽が出来ると約束された】校長になれる伝を得たからな」

「ハハハッ。兄貴、【楽な仕事】なんてないよ?【暇はある】と言ったけどさぁ」

「無理難題は辞めてくれよ?お前のは数学問題を解くより難しそうだ」

「兄貴は何で数学者選んだの?」

「ん?謎解き見たいで面白いし、数学は生活に密着した学問だからな。それに、数学は世界共通言語だ!奥が深いじゃないか? それに、何より何処でも出来る。

 化学者とかは実験で研究機関に居ないと出来ないだろ?数学は紙と鉛筆と頭さえあれば出来るからな。

 教師になったのは、一番暇な空き時間を作り易いと思ってなってみたんだがなぁ……」と時宗を見ながら溜め息をつく。

「まぁ近い将来、校長にしてあげるからさ。俺を世界遺産巡り連れて行ってよね!」

「ところで、あの2人はどこに行ったんだ?」

「雅治は体が鈍るとジムのプールに泳ぎに行ったよ?誠は図書館に行くって言ってたな」

「なるほどな」



2.This traveling abroad is out of the question during such short holidays.


「ねね、兄貴オーストラリアの世界遺産調べたんだ。どう回る?」

 時宗は一枚の紙を差し出す。


 〇グレートバリアリーフ

 〇ロード ハウ島群

 ・ロード・ハウ島

 ・アドミラリティー諸島

 ・マトン・バード諸島

 ・ボールズ・ピラミッド

 〇カカドゥ国立公園

 〇ウィランドラ湖群地域

 〇タスマニア原生地域

  国立公園

  ・ウォールズ・オブ・イェルサレム国立公園

  ・クレイドル山=セント・クレア湖国立公園

  ・サウスウエスト国立公園

  ・ハーツ・マウンテンズ国立公園

  ・フランクリン=ゴードン・ワイルド・リバーズ国立公園

  州立保護区

  ・デビルス・ガレット州立保護区

   ・マラクーパ・ケーブ州立保護区

   ・リッフィー・フォールズ州立保護区

   保護地域

   ・アダムズフィールド・保護地域

  ・サウスウエスト・保護地域

  ・セントラル・プレート保護地域

  ・マーブル・ヒル保護地域

   森林保護区

   ・ドライズ・ブラフ森林保護区

   ・メンダー森林保護区

   ・リッフィー・森林保護区

   その他

   ・セント・クレア礁湖

   ・ファーム・コーブ・ゲーム・リザーブ

   ・マーツイカー・アイランド

   ・マックスウェル・リバー保護考古学遺跡

   ・ワルガタ・ミナ保護考古学遺跡

   ・マッコーリー・ハーバー歴史遺跡


挿絵(By みてみん)


「おい、待て時宗。これ全部回る気か?」

「勿論~♪」

「何日オーストラリアに居るつもりなんだ?」

「居れるだけ♪」

「オーストラリアの国の面積を言ってみろ」

「7,686,850㎞2 ソ連、カナダ、中国、米国、ブラジルに次ぐ世界で6番目に面積の大きい国だよね」

「その6番目の大陸にある全て世界遺産地域を一度にひとつずつ巡るつもりか?」

「当たり前じゃん?世界遺産巡りなんだからさぁ~」

「 地域は代表1ヶ所でいいだろ?保護区とかで入れない場所もあるだろ? どんだけお金と時間が掛かると思っている?」

「夏休み全部使えば何とかなるんじゃない?」

「お前、本当に道楽者だな。夏休みバイトしろと言われて居るんだろ?」

「まぁ、それは大丈夫、生きた英語を学びに行くって言っておくから、親父もオックスフォードに入るには英語の学力必要なの分かっているからさ!OKするよ」

「お前の親父はOKするかも知れんが俺はOKなんかしないぞ!俺の時間が取れないじゃ無いか!」

「兄貴!オーストラリア行った事は?」

「ない」

「教育者が世界遺産知って置くのも良いことなんじゃない?

 後世に残すべき物がどんな物なのか自分の目で確かめ無いとさ。

 数学は机上で出来るかも知れないけど、教育は机上では、出来ないよ?」

「正論だが、自分の金でなく親の金で行くのは間違いだ!」

「大丈夫だよ。俺が親の跡継げは倍以上に働く羽目になるんだから、自由な時間のある今のうちにしておかないと」と言いながら時宗はにっこりと笑い紙を差し出し

「兄貴もスケジュール考えておいてね。今日は俺も帰るわ~世界遺産色々と調べないと。よろしく!」と楽しそうに言い残して教室から出ていく。

(これから毎年夏休みは世界遺産巡りなのか?俺、数学者より歴史学者になった方が良かった?)

唯野はため息をつきながら窓から校庭を見渡す。



3.World Heritage Site.


 雅治と誠は時宗の提案したオーストラリア旅行に2人とも大いに感心を持った。

 時宗が敢えてオーストラリアを選んだのか?ただ気まぐれで選んだのかは、定かではないが海と考古学両方盛りだくさんなスポットである。

●グレートバリアリーフ

 美しい海と世界最大のサンゴ礁

 ●ロード ハウ島群

 海水による浸食で作られた険しい山や珊瑚礁などを抱え、ロード・ハウ島でしか見られない生物を多数抱える、豊かな自然地域。

 ●カカドゥ国立公園

 古代アボリジニたちのロック・アート(壁画)が集まる世界有数の場所。

 ●ウィランドラ湖群地域

 2万年前の人類の足跡が発見されたアボリジニの聖地。ニュー・ サウス・ウェールズ州南西部の砂漠地帯に広がる4万年前の湖の跡。

 ●タスマニア原生地域

 原生地域には、樹齢2,000年を超える巨木、高さ90mのユーカリ、6,500万年前の大陸移動を証明するナンキョクブナなど固有植物が生息している。

 タスマニアデビル、ウォンバット、カモノハシ等、多種多様なオーストラリア区独特の生物種、この島の固有種が生息している



「時宗! エアーズロックが含まれて無いぞ!ウルル カタ ジュタ国立公園も入れろよ!地球のヘソも見に行こうぜ。

 ついでに世界一の一枚岩 マウント・オーガスタスのある マウント・オーガスタス国立公園もいれろよ。

 麓と山頂の往復には約6時間で行けるらしいぞ」と雅治が候補地一覧表見ながら言う。

「ウルルは世界遺産候補には上がってるから少なからず、近い将来世界遺産になるだろうからなぁ」と誠が付け足す。

「そうだね!それいいね!」


挿絵(By みてみん)


 唯野が教室にやって来る。


「兄貴!マウント・オーガスタス国立公園とウルル カタ ジュタ国立公園も追加で」

「時宗!場所考えろオーストラリアのど真中と左端じゃ無いか!狭い日本でも北海道の端から沖縄県の端まででも移動大変なのに、どう考えても無茶苦茶じゃ無いか!もっと省けよ!」

「兄貴、地球のヘソ見たく無いの?」

「まぁ、見れるなら……。いや、いや、見たくない!というか見れないだろうが!」

「オーストラリアまで行って見ないの?」

「う~ん。ならウルルだけでいいだろ? マウント・オーガスタスは諦めろ」

「世界一の一枚岩だよ?見てみたく無いの?」

「そりゃぁ、時間と金が許すのなら見てみたいだろ?でも夏休みの限られた日数で全部は無理だと言っているだろ?タスマニアも セント・クレア湖国立公園だけだからな!」

「えっ?マックスウェル・リバー保護考古学遺跡、ワルガタ・ミナ保護考古学遺跡、マッコーリー・ハーバー歴史遺跡は行かないと!意味が無いじゃないか!」

「もしもし、誠君。君は全部の遺跡巡るつもりか?」

「当たり前です」

「…………。それは君が考古学者になってからでも………」

「すぐ、そばまで行くのに行かないとかあり得ません!」

「…………………。なら、お前らで全て旅行の手配しろ!俺は手伝わないぞ。英語の訓練だ。飛行機から車からガイドから何から何まで手配しろ。旅行日程は、夏休みの20日間だけだ!それ以上はダメだ。いいな?それが条件だ。夏休み3日前までに全てのスケジュールと手配できない場合は中止だ。3日前までに俺の所に報告に来いよ!いいな!では授業始めるぞ!」


 唯野はほぼ夏休みは諦めていた。


(仕方無い。奴等に付き合うかぁ~。飛行機や車の中で研究をするかぁ。

 奴等も、まぁ1ヶ月弱まったく日本語の無い生活すれば発音とか言い回し覚えるだろう。

 教室での英語使用も馴染んでは来ているが生活に密着したものでは無いからな。徹底的な英語漬けで英語力はクリア出来るだろう。

 しかし、海外旅行なんて一般家庭では高嶺の花なのに世界遺産極めるとか金持ちは図り知れんな……)


 自分はアメリカのハーバードに行かせてもらった男が思うのだから、本当の一般庶民からすれば石を投げられそうな事を教師も生徒も言っている。

 唯野の父親は貿易商の社長で母親の実家は病院を営んでいる。裕福な家庭で子供の教育には熱心だった。

 唯野には10才年の離れた兄が居たがその兄は12才の時に亡くなっており、兄の分まで期待をかけられたのである。



4.To see the world.


「う~ん、どうやって手配するかなぁ~。現地で行き当たりばったりとか言うと兄貴怒るよな?」

「かなり怒るだろうな?って言うか、その前に俺達は、まずパスポート取らないといけないんじゃないか?」

「あーそうだ。兄貴はパスポートあるのかな?」

「そりゃあ有るだろ?」

「どういう順番で行く?タスマニアなんか島全体が世界遺産だね?しかも遺跡たくさん有る。何日必要かなぁ?」と時宗はオーストラリアのガイドブックを見ながら考える。

「まぁ、それ全部兄貴に丸投げしてたんだから怒りもするわな。ちなみにオペラハウスとか王立展示館は行かないのか?海外旅行の王道のこの二つは抜くのか?」と冷めた声で誠が言う。

「ううぅ。どうやって20日で廻る?」とガイドブックを放り出しながら時宗は聞く。

「しかし、オーストラリアは物価も高いし、移動も全て飛行機とかにしないと時間的に無理だな?

 いくらかかるかなぁ。流石に親父達も金額によっては金出して貰えないぞ?うちは……。誠の所もよく出して貰って渡航費位だろ?時宗、親父さんからOK出るんだろうな?」

「まぁ。期末試験の結果を出せばOKすると思うよ?それに、将来の事を盾にしてオーストラリアは日本との重要貿易国だから日本との関わりは今後も増々重要になってくる国だからさ、『グループもオーストラリアに進出を考えた時に会社のトップ達が誰1人相手国を理解してないとビジネスは上手くいかないよ』とか言えばさぁ、大丈夫じゃない?」

「お前、あの会社継ぐ気になったのか?」

「継ぐ気は余り無いけど俺は自分の会社作ってみたいんだよね。その時世界を見ているか見てないかで世界情勢や需要判断に左右されると思うんだよな。

 だから英語もそれ以外の言語も大切になってくるから勉強はしようと思う。

 オックスフォードも自分のしたい事を考えたら渡りに船だし、普通は自分から行きたいと言っても行かせて貰える訳でもないし、兄貴の様に後押ししてくれ人も居るのも恵まれてるからさぁ利用しない手は無いさ」

「お前が会社作るなら勿論、俺達を入れてくれるんだろうな?」

「ん?雅治は海洋学者になるんだろ?誠は考古学者に……」

「俺は別に学者になる気はないぞ。ただ海が好きで勉強してるだけだ」

「俺は考古学者になりたいが金の掛かる事だからな。お前らの様に金持ちの家庭に生まれた訳でも無いしな。

 兄貴の様に仕事の傍ら研究出来ればいいさ。だからそう言う場所に配属してくれよ」

「誠、俺は兄貴と一緒にうちのグループの幹部育成の為の学校作るからさ、誠はちゃんと博士号取ってその学校で教授しながら研究すればいいよ。

 兄貴と約束したから会社を継いでも継がなくても海外の有名校に負けない一貫の学校だけは必ず作るからさ。

 オックスフォードやハーバードに行かなくても日本でそれ以上の教育を受けれる様にさ」

「時宗は学校経営したいのか?」

「ん?別に?でも、特別クラスが出来るまで授業退屈だったじゃん。

 つまらなかったし、いくら名門とは言っても兄貴の指導がなければ、今のままではオックスフォードは到底無理なんだろ?それだけ日本は海外から遅れているって事だろ?

 ならそれに追い付ける様にして人材を育て上げた方が優秀な社員確保できるじゃない?英語だって小さいうちから聞きなれした方が覚え早いし苦労しなくていいじゃん」

「お前、相当、英語に拘っているな?」

「ハハハ、英語だけは特に発音がなぁ

 どうして2人は苦労してないのか不思議だよ?」

「ん?うちの親父は海外のクライアントとかいるからさ家で電話とか、英語飛び交って居るぞ?」と雅治が言う。

「俺の母親は翻訳家だからな発音はさておき小さい頃から英語は教えて貰っていたからな」と誠も言う。

「えっ?お前らずるいな!スタートライン違い過ぎるじゃないか?」


『時宗!お前にそれだけは言われたくないよ!』2人は声を揃えて言い返した。


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