Your physiognomy indicates that you will suffer from woman.
ジョンが櫻家に来てから3日後に時宗が帰国した。
時宗はサラという想定外の来客に苦笑しながらジョンとアンドリューを歓迎した。
その直後から玲音はかなり機嫌が悪かった。
その理由はと言うと玲音と廉は、時宗と交代で長期休暇に入るはずだったのだが時宗の帰国後急遽シンガポールでの重要な会議が入ったために赴くことになり、 逃げる様に休暇中に溜まりに溜まった山積みの書類仕事を残してまた日本から離れて行った。そのため溜まった書類の行く先は時宗の鶴の一声で玲音に降りかかり、秘書室と総務からも時宗の代理で処理してくれと泣き付かれて休み所ではなくなった。
玲音達の休暇は時宗にほぼ押し付けられるかたちで先のばしになった。
「何で親父の貯めた仕事を俺が処理しなければならないんだよ!俺の仕事は休み取るためにきっちりと片付けたのにさ」
「はいはい。愚痴はいいからちゃんと手を動かせよ。いくら愚痴っても仕事は減らないぞ。それに休暇が無くなったわけでなく延期されただけだろ?幸い予定入れて無かったんだし、良いじゃないか?」
廉は玲音の愚痴の半分を聞き流しながらなだめながら仕事をしている。
「廉!何言っているのさ!俺にはちゃんと予定はあったよ!」
「ん?お前1人で何処か行くつもりだったのか?」
「1人で旅行なんてするわけないじやんか!1人旅なんて聞こえはいいかも知れないけど実際は寂しいし、虚しいだろ?旅行に行くなら無理やりでも廉を連れて行くよ!」
「……。無理やりって俺の休暇は?俺の自由は?俺の意志は?」
「そんなことより廉!サラが俺になつく方法を一緒に考えてよ!
一生懸命機嫌取るけど全然俺になついてくれない!それに当分の間あのホテルに行ったきりだろ?帰って来たら俺の顔さえ忘れてしまうよきっと!
俺はこの休暇中は潤とずっと前から約束していたんだよ。あのライトセーバーのレプリカを本物の様に光を発光出来る様に改造してもっと見た目を本物に近付けようと思ってさ。その為にラッセル教授の力も借りる様に手配もしてたのに親父のせいで休暇は延期されるわ、サラは俺の前から居なくなるわで色んな事が気になって何も出来ないよ!」
「そんなこと……?俺の意志はそんなことなのか……。って予定ってそれ?」
「そうだよ?ラッセル教授ああ見えても忙しい人なんだよ?なかなか俺の時間と合わないんだよ」
「ああ見えてって……。お前には一体、他人はどう見えて居るんだよ……。サラに取り入る秘訣はそれこそアレックス教授に聞けよ……。あの人こそスペシャリストじゃないか?」
「それがあのアレックスも今急遽イギリスに帰国していて居ないんだよ!」
2人は何時もの様に会話をしながら仕事をしていた。
その頃ジョンは遺跡の現場見学にあの島に移動して居た。
時宗の帰国後、誠と話し合いとりあえず現場を見学し、3ヶ月間現地の発掘チームに参加してその後双方の希望を聞き最終的にどうするか決める事となった。
なのでジョンは、アンドリューとサラを連れて宿を櫻家からあのホテルの方に移っていた。
しかし、ジョンは思ったより早い段階で玲音の助けを乞う羽目となる。
「何なんだ!この国は!国民の大多数が第2言語に英語を学習していると聞いていたが、街や店のほとんどが英語では通じない!それどころか英語を話すだけで逃げていく。事実上日本語しか通用しないじゃないか!」
ホテルに帰って来たジョンがアンドリューに愚痴をこぼす。
「その様ですね。私も街に買い物に行った際、全然英語が通じず、かなり苦労しました。 日本は古来より島国で大陸からの交流も少なく独自の文化や文明の発展を成していますから余り外来語の必要性が少なかったのでしょう。言語自体英語やフランス語やドイツ語等に見られる類似性が有りませんから」
「そんな解釈はどうでもいいんだ、こうも言葉が通じないと不便過ぎる。独学で覚えるにも、基礎が無いぶん時間がかかり過ぎる!」
「やはり玲音様か廉様に基本的なことをレクチャーしてもらった方がいいのでは無いですか?学園や都心部と違ってこの辺り周辺はほとんど英語は通じないと思っていいですから」
「あの玲音が快く親切に引き受けてくれるとは思えないし、廉は頼べば断らないだろうが玲音が口出ししてくるだろう?」
「だから快諾を貰う為に最愛の彼女に犠牲を払って貰うしか……。おそらく、レクチャーに割いた時間と同じだけサラを預けると……。そうすれば喜んで引き受けてくれますよ」と言いながらアンドリューは寝ているサラを指さしながら言う。
「…………」
ジョンは憐れむ様にサラに近付きサラの隣に座り頭を擦りながら「サラ。俺の為に玲音の相手してくれるか?」と呟くとサラはあくびをしながら「仕方ないわね。少しの間だけよ」と言っているかのようにジョンに体を寄せる。
ジョンは後日、不本意ながら玲音に日本語を教えて貰う様に頼んだ。
当然サラをだしにして……。
玲音は、最初は怪訝な反応をしたが見返りに「サラとの自由な時間」を提示されて満面の笑みで快諾した。
そんなある日の事。
玲音は仕事でホテルの事務所に訪れていた。久しぶりの島に行けるのと、サラと一緒に過ごせることで、ご機嫌でサラを連れてホテルの周りを散歩していた。
そこにモデルの様に綺麗な外国人と思われる女性が現れ玲音の背後から呼びかけられる。
しかし、玲音はその女性に見覚えは無く観光客が連れにでも話しかけていると思い込み、自分に向かって声をかけて居るとは思いもしてもないので反応もせず立ち去ろうとしたが、サラがその声の主に敏感に反応し立ち止まった。
「サラどうしたの?疲れた?」と不思議そうに玲音がサラに話しかけた瞬間、玲音の背後から肩を掴まれ、その反動で体をその女性の方向に向けた瞬間
「ジョン待ちなさいと言って居るでしょ!」と言われると同時に『パーン』と言う音が辺り周辺に響き、玲音の右頬に衝撃が走る。
一瞬玲音は何が何だか判らなくて衝撃の走る右頬を押さえながらその女性を眺める。
その女性は美人だが、かなり怒り心頭のようで帽子をかぶっているとはいえ、玲音の顔をよく見もせず背後からの風貌とサラと一緒に居る所を見てジョンだと思い込んで居るようで英語で凄い見幕で捲し立てる。
「許嫁に黙って姿を消すなんて紳士のする事ではないわ!
おば様から当分日本で暮らすと言って出て行ったと聞いて理由を聞こうとメールや、電話しても一切返答はくれないし、どういうつもりなのよ!」
「え?許嫁?」
玲音は何が何だか判らなくて呆然しているところに
「玲音!来週は家の方で過ごすから………」といいながらジョンが呑気に現れ玲音の背後に居る女性に気付きあからさまに不味いと言う顔をする。
その女性はジョンに気付き玲音とジョンの顔をまじまじと見比べ間違いに気付く。
「何でサラが他人に?」とあっけに取られているとジョンはサラを連れてその場を逃げようとする姿を見てその女性は我に返りジョンの腕を掴み「ジョン!好き勝手な事ばかりして、何も私には一切相談しない癖にサラだけはこんな異国まで連れてきて!私の事どう思っているの?サラと私どちらが大切なの?」とまた捲し立てる。
数分後また、パーンと言う音が辺りに響く。
「サラ!行くわよ」とその女性は怒りを顕にいい放ち、唖然と立ち尽くしている玲音の手からリードを取り上げその場に居る2人の男を残してサラと共にホテルに入って行った。
「先輩とジョン2人揃ってその顔どうしたんですか?」
悠貴がびっくりしながら玲音達を見詰める。
ホテル内の考古学研究室に玲音とジョンが2人揃って白い頬に真っ赤なもみじの
跡を付けた2人が並んで座っている。
「何で俺が打たれなければいけないんだよ!それにサラどうするんだよ!」と玲音はあからさまにやり場の無い怒りをかもし出していた。
「ジェニファーに言えよ!俺も被害者だ。サラはアンドリューに迎えに行かす」とジョンも不機嫌に答える。
そこに誠が入って来て2人の顔を見て笑いをこらえながら「なんだ?2人でビンタしあったのか?なんの遊びだ?しかし、色男には、お似合いの模様だな」と呑気に言う。
2人が事の成り行きを話していると降ってわいたように雅治が現れ会話に入っている。
「ん?それでなんて答えたんだ?ジョンは?まあ、顔をみれば神経逆撫でするようなアホなことを言ったんだろな」
「俺は正直にサラは家族だ!家族が大切に決まっていると言ったまでだ」とふてくされながら言う。
「若いな『物は言い様』と言う言葉をしらないのか?」と誠が言う。
「教授ならなんと答えるんですか?」と悠貴が興味本位に聞く。
「俺?俺ならそうだなぁ『そんなの選べないよ』とはぐらかすかな?」
「アホだな。そんな答えでは誠の頬にも同じ印が付いてるぜ」と雅治は呆れながら言う。
「なら、お前ならどう答えるだよ!」と誠はむっとしながら雅治に聞く。
「俺?俺なら……。『そんな事口にしなくても判るだろ?俺に言わせるなよ!何?もしかしてお前にとって俺はそんなに信用されて無いのか?』って言えばいいだろ?この返答でもそれ以上に聞いて来るようならその恋は終わりさ」と雅治はいい放つ。
「流石だ。伊達に女たらししてないな」と誠は言う。
「失敬だな。模範解答教えてやったのに」
「相変わらずですね。お母さんの兄妹とは思えない」とまた降ってわいたように白衣姿の千景が現れる。
「ん?珍しいな何で千景こんな所に居るんだ?お前暇なのか?」
「愚問ですね。俺が暇なわけがない。ここの健康診断の手伝いに駆り出されて、いくら待っても現れない迷惑な幹部の方々を早く受ける様に催促に来たんですよ!」と言うが当の本人達には流される。
「ところで雅治。お前も何でここに居るんだよ!」
「ん?何でって何でだったかな?とりあえず俺にも珈琲位出せよ?客人としてさぁ」
「お前は客人なんかじゃないし、何時も勝手に自分で入れているだろ?勝手にしろよ。しかし、お前。今日は暇なのか?」
「俺に暇を分け与えてくれる立派な上司に巡り会えないのに、どうして暇が出来るんだよ!
お前の尻拭いの養殖施設の設備案を斎藤の所に渡したついでに寄って見ただけだよ。昼から小笠原諸島近辺の海洋調査さ。
ところで玲音、今日は廉は一緒では無いんだな?」
「廉なら部屋でアンドリューに日本語教えているよ!」
「そこの2人!俺の話し聞いて無かったのか!さっさと健康診断受けてくれないと俺は帰れないじゃないか!悠貴!お前もまだ受けて無いだろ!さっさと受けに来いよ!」
「あーぁ。今日だったっけ?玲音先輩はもう受けたんですか?」
「俺?俺は何時だったかな?でも、ここでは受けないよ?秘書室と一緒だろうから」
「今日が健康診断だったっけ?俺は聞いて無いぞ?」と誠はカレンダーを見ながら言う。
「うん。俺も聞いてないな?」
雅治と誠は健康診断を受ける気がさらさら無い返答をする。
「そこの2人!メール送られて総務から問診票渡されているだろ?もうボケが始まったんですか?ついでに脳の検査も追加したらどうですか?若年性アルツハイマーかもしれませんよ!
貴殿方御二人こそ年齢からして一番受ける重要性が高いですからね!
あぁ!バリューム飲むのに検査前珈琲とか飲んではダメでしょ!」
「そんなにムキになって怒んなくても俺達はまだ死ぬ予定は無いから受けなくても大丈夫だよ!」
「あぁ、こいつならガン細胞でも自己免疫力で消失さすさ」
「何を言う!お前はガン細胞さえできない宇宙人だからな。大丈夫だよ」
「大丈夫、大丈夫でないに関わらず健康診断は法律で必ず受ける様に決まってるんですよ!まぁ、ここで受けないのなら自分達で直接親父の所に行ってください。あの人検査するの好きですから隅から隅まで調べてくれますよ。俺はちゃんと来るように言いましたからね!どこで受けるかはお二人の自由です。
しかし、パンダ。今度は何やらかしたんだ?その顔は…… 」
するとまた、ドアが開き今度は樹里亜が乗り込んでくる。
「あーいたいた。ちょっと千景。かなり探したじゃない!こないだメールした件どうなっているのよ!きちんと返事ちょうだいよね」
「ん?何で樹里亜がここに居るんだよ!お前暇なのか?」
「暇な訳が無いでしょ!このホテルの取材に来たら千景がここに居るって聞いたから来たのよ!ちゃんと例の店のプレオープンの招待状貰える様に手配してくれたの?」
「あーぁ。そう言えば……。そんな事言ってたな?しかし、俺はお前の雑用係では無いんだ!そんな暇有るかよ。丁度そこにパンダいるじゃないかパンダに頼めよ。」
「サクラ!グループが銀座に新しく大がかりなレストラン出店すんでしょ?報道の方からグループのコネ使っても取材許可出ないのよ!手を回してよ! 特番組むんだから!店もいい宣伝になるでしょ………。何?その頬?また喧嘩でもしたの?」
「喧嘩なんてしてないよ!それに俺がグループ会社の出店計画を把握している訳ないだろ?内容も良く判らないのに許可出来るかよ!ちゃんと筋を通してマーケティング部に頼めよ!大体、俺がそんなプロジェクト知るわけ無いし、知っていてもそんな権限有るわけないだろ?」
「ん?あの銀座のビル3フロアに本格的なフレンチとイタリアンと日本の料亭同時出店でその店全て提唱しあっていてどの店からでもその3店全ての料理を頼めて、希望すればそれぞれの料理を織り込んだコースも頼める店の事か?」
「ええ、フレンチの店で日本食頼めたり料亭でイタリアン注文できて、しかも材料は全て国内の有機野菜やグループの養殖を使用し希望すれば客が自分で材料を選べるというコンセプトで食の安全を意識した店です。まだ一般にはオフレコなのに良く知ってますね。加藤さん」
「元々の発案は誠や兄貴だからな。それに時宗のアイデアを融合して起こした事業だ。少なからず俺も関わってるしな。だからこないだ時宗からプレオープンの招待状貰える様に手配頼んだよ。あっジョン!お前もちゃんと頼めよ?フィアンセのご機嫌を回復させないとな。玲音、頼んでおいてやれよ。あの事業案お前も少なからず関わってるだろ?」
「あっ!玲音先輩俺の分もお願いします」と悠貴も頼みこむ。
「あの件かよ……。俺の案は完全に没にしたくせに……。でもあの店プレオープンは男女同伴が原則じゃなかったっけ???」
「俺、美里ちゃんと行くから大丈夫です」と悠貴は嬉しそうに言う。
「私も大丈夫よ!そこの千景連れて行くから」と樹里亜は言う。
「しかし、今や売れっ子ニュースキャスターが男と一緒に食事って週刊誌とか大丈夫?」と誠は千景と樹里亜を見ながら言う。
「伊集院教授!変な事言わないでください。俺はこいつとデートとかで食事に行くのでは無いですから。俺の受け持った患者の女の子が末期のガン患者で、あるアイドルのサイン欲しがって居たからこいつに頼んだ見返りに取材の手伝いさせられているだけですからね」と千景はムキになって反論する。
「そう言えば前にもお前達ゴシップ紙に撮りざされていたよな?」と雅治が記憶を蘇らす。
「あの出版社潰れましたよ?」と悠貴が言う。
「えっ?」
「パパがあの雑誌を見て低俗な記事で怒って融資とめちゃったからね。『嘘やでたらめを書く様な出版社は信用出来ない』ってメインバンクがパパの銀行だったし、パパの一声で他銀行も習うからね」と樹里亜は呑気に言う。
「公私混同で融資蹴られたのか?御愁傷様だな」と誠は樹里亜を見ながら言う。
「樹里亜なんかに関わるからだよ」と玲音が小さな声で呟く。




