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Nostalgia - 追憶 -  作者: 天野 花梨
The disaster occurred on their way home
34/40

It always seems impossible until it’s done.

1. I take a part in a new business launching.


 遭難騒ぎから一週間半後、時宗は本社に帰国した。


 玲音と廉が時宗に事件の報告と誠達から提案された新規事業案の説明をしている。

 正確には、廉は玲音に無理矢理付き合わされて苦笑いしながら玲音の後ろに立って居るだけで玲音が主に時宗からの質疑応答に答えている状態だ。


「………。なんで島で犬飼う事になるの?

 ………。う~ん……。それにこの新規事業案は玲音、お前が考えたの?」

 時宗は報告書を見ながら怪訝な顔で次々と玲音に質問をする。

「犬は、今後また、遭難者が出た時の為に救助犬として活躍してくれるだろ?

 積雪量が多い日は犬ゾリとしても活躍してくれるし。それに何よりトリフ探しには犬は、必要不可欠だからだよ」と玲音は時宗の質問をあらかじめ予測していたように次々と回答していく。

「う~ん。その論議を百歩譲って認めるとしてもねぇ……。う~ん……。

 しかし、何で訓練責任者がアレックスと、よりによって玲音、お前(**)なんだ?」

「だって、アレックスは新規事業案のトリフの自家栽培法研究と学園の講義と親父の研究プロジェクトで一人ではどう考えても無理だろ?

 だから俺がサポートするんだよ」

「………。ううむ。まぁサポートを大幅に譲歩したとしても、犬を島で飼う事はどうなんだ。あの島には人が常駐している訳ではないんだ。

 玲音、お前が面倒見るために、犬をここ(**)に連れて来ても意味が無いことは分かっているよな?

 島事務所で飼うにしても、お前が毎日島に行くわけにはいかないだろ?

 ほぼ常駐している齋藤君達でも忙しくて面倒は見きれないはずだろ?」と犬の飼育に玲音が関係することに時宗はかなり、抵抗している。

「それは、大丈夫だよ。飼育や健康管理は、第一責任者は齋藤先輩で補佐は三鷹さんで繁忙期でリゾート開発部が業務で忙しく、手が回らない時は伊集院教授か唯野校長のどちらかが責任もって面倒見ると確約してもらっているよ。だから大丈夫だよ」

「………。しかし、誠や兄貴が何でこんなに協力的なんだ?どう考えても変だ」と言って報告書をまじまじと見る。

「では、質問を変えよう。このブリやマグロ、鯛やチョウザメ等の高級食材の養殖の指導責任者が雅治になっているがあの(**)雅治が承諾したのか?しかも、サブサポート廉になっているが……。廉も承諾したの?」

「それも、唯野校長と伊集院教授達が責任を持って加藤さんを説得するって。伊集院教授も唯野校長も齋藤先輩も意欲的にこのプロジェクト軌道に乗せるための協力は惜しまないと確約しているし、加藤さんが承諾して貰っても忙しい人だからサブサポートは必要じゃん。廉も手伝ってくれるよね?」

「まぁ、できる範囲で」

「ふ~む。しかし、どう考えてもこの事業案は、玲音お前の発案では、無いだろ?

 どう言う経緯でこう言う事案が出ててきて、なぜお前が関わっているのか、きちんと説明しなさい」と時宗は深い溜め息をつきながら言い、机の上に報告書類を置くと内線で藤堂を部屋に呼ぶ。


 廉は玲音をちらちら見ながら時宗に

「この新規事業案の発案者は伊集院教授です。まぁ色々諸事情ありまして………。

 ただ皆さんこのプロジェクトを成功させようと言う意気込みは十分にあるので各々が出来る限りサポートしていきますからかなりの成果が期待出来ると思います」とボソボソと言う。


 そこに藤堂が統轄長室にやって来る。

 藤堂は不思議そうに玲音と廉をチラ見しながら時宗に近づく。


「何かご用ですか?」

「遭難事件の関係者全員と雅治をここに呼び出してくれるかな」

「はぁ、全員となると拓哉もですか?こないだから忙しく徹夜が続いているようですが.....。

 それに、こないだから加藤さん呼び出してばかりで、かなり機嫌悪いですよ?」

「ああ、忙しいだろうが夕方に全員ここに集まる様にしてくれ。雅治と齋藤君には潰れた時間に関しては、工期調整は考慮するからと伝えてくれ。学園関係者も夕方なら時間作れるだろう」

「はい。わかりました。手配します」

 藤堂はまた玲音達をチラ見しながら部屋から出て行く。

「しかし、参ったな」と時宗は、報告書を見ながら大きなため息をつき、今度は傍に立っている玲音と廉を見ながら

「さて、玲音、廉。そこに座って、こんな通り一辺な報告書ではなくて、もっとちゃんと詳しく経緯から説明してもらうよ」と納得いく説明を求めた。



2.It always seems impossible until it’s done.


 時は、遭難者達が島の事務所に帰還した時まで遡る。



 島事務所には、対策本部の指示で捜索員全員の本島への引き揚げが済んだ頃に入れ違う様に玲音達は到着した。

 玲音と廉、齋藤は唯野校長と伊集院教授と三鷹から詳しく話しを聞く。

 その間、千景は病院に全員の無事を報告し、搬送者の無いことを伝え一緒に来た看護士となにやら話込んでいる。

 アレックスとラッセルと悠貴と潤達はラッセルが持ち帰った山菜やキノコをストーブで焼き酒の肴にし、堪能していた。

 シャーロットは遊び疲れたのかストーブの前で寝ている。


 部屋の半分は陽気な山小屋気分で寛いで居るが反対側では、どんよりとした負のオーラが漂っている。



 その負のオーラ側では.....。


 齋藤は、唯野校長達が時間通りに下山報告が無いことで日が落ちる前に動かせる部下全員を使って山中を捜索させた事。

 それでも見つからず、雪も凄い勢いで降り始めた事。

 おそらくこの雪が降らなければ、ここまで騒ぎには、ならなかった事を説明する。


「登山は中々計画通りの時間にならない事は確かです。

 しかし、今回、凄い勢いでの積雪量でしたから、何度も無線で連絡を入れましたが連絡がつかず、私の判断ミスが皆さん方の安否に大きく左右すると判断し、統轄長まで報告を入れました」

「齋藤先輩の判断に間違いはないと思うよ。今回の事件の原因は連絡を怠った登山者一行だね」

 玲音は冷静な見解を述べる。

「心配かけてすまない。麓に降りた時、一度は連絡入れようとしたんだが、麓の登山口エリア一帯が無線の電波が届かず、色々試して見たが繋がらなかった。2時間後にはここに帰ってくるつもりで居たので、ここからなら確実に電波入るから、ここで連絡を入れるつもりだった。

 下山を早めたので連絡は計画より30分位遅くなるが、そのくらいは大丈夫だろうと判断しての事だった」と唯野が連絡出来なかった理由を伝える。


 玲音は、登山計画書をみながら質問する。

「それで、どうやってあの洞窟内の温泉までたどり着いたのさ。登山口からかなり離れて居るよね」


 今度は伊集院が洞窟発見の経緯を話す。



「事情はよくわかったよ。

 でも、厳しいこと言うけど、今回捜索に参加してくれた社員、ざっと換算して100名弱の時間外手当て+危険手当て+病院スタッフ待機代+空輸、運輸経費+宿泊費+食事代が掛かってるよね?

 深夜手当はつかないまでも、ヘリや船は社の使用出来たからレンタルは無いにしても燃料費や、その他の物資で、かなりの経費が掛かってるでしょ?これどうするのさ。

 おじさん達は、レジャー保険なんかかけて無いよね?

 まぁ内々で済んだから良いようなものの、公の機関や専門機関を使って捜索なんかしていると、もっと経費は、嵩んだはずだよ?

 この経費は、当事者から給料から払って貰うしか無いよね?

 最低予測額を試算してそれを完済しようとすると、5人各々給料3割カットで10ヶ月くらい?」と玲音は電卓で叩き出す。

「え?3割減給?!10ヶ月?」と当事者達は氷つく。

「だって、こんな費用会社が支払う訳にはいかないでしょ?

 温泉に入るのは仕事じゃ無いんだから………」

「…………。玲音君。遠足って家に着くまでが遠足だよね?

 仕事も通勤途中の事故も労災降りるよね?

 この場合も……」と三鷹が小声で抵抗してみる。

「何言ってるの?途中寄り道して事故った場合は労災は出ないよ!」

挿絵(By みてみん)

「あっ!良いこと思いついた!」と誠が声をあげる。


 玲音は、胡散臭いという顔で誠に注目する。

 隣に座って居た唯野はまた(**)誠が要らない事を言い出さないか、はらはらしながら誠の顔を見る。


「俺達が利益をはじき出しそうな新規事業を提案する。

 その事業が軌道にのり利益をあげて、この今回の騒動の経費を上回るまでは俺達関係者が全面協力するからさ。

 その報酬を弁済としてくれ。それでどう?」と誠は玲音に、こないだまで温めていた新規事業案を売り込む。

「いい考えですね。そうすれば減給せず利益が出れば会社の為にもなる。一石2鳥ですね」と齋藤は援護する。

「どんな事業案なのさ?確実性が無いとダメだよ?それと親父が納得するような事案でないと」と玲音は聞くだけ聞いて見るかと言った感じで詳細を説明するように促す。

「あの島は、自然環境が良くて高級食材の養殖、自家栽培が出来る可能性が高い。

 今でもウニや牡蠣、サザエやアワビがこの近海でかなり採れる。

 山でも松茸や山菜や自然薯等豊作で毎年採れている。

 ほら、あいつら見てみろ。山から取ってきたキノコ食べているだろ?

 なので島全体で市場に出せる位の食材の養殖法、栽培法を確立を目指す。高級食材だから単価も高い、上手く効率よく収穫できるようになれば利益を確実に生む。

 取り敢えず実験的に当面はあのホテルのレストランに提供し安定供給できるかテストし、栽培が安定化したら傘下の関連会社にノウハウを伝え、全グループ傘下のレストランに卸す。

 細々とした事は俺達が起動に乗るまで全面協力するからさ。

 あそこに有名な生物学者居るだろ?トリフの自家栽培の研究に興味持っているからさぁ。

 他の山菜やキノコ等の効率よく出来る栽培法も確立できる。

 海産物は雅治と言うエキスパート居るしさ。これ成功すれば玲音君達の始めてのプロジェクトが大成功となって、俺達の減給も無くなって皆が幸せだろ?」と誠はアレックスを指さしながら言う。


「おい。誠!雅治が協力するわけ無いだろ?」と唯野が誠の耳元で囁く。

「無理矢理でも協力さすんだよ!減給3割一年近く我慢できるか?」と誠は唯野に囁く。

「いや、嫁に殺される。いや、だがしかし、雅治は今回当事者じゃ無いんだ【うん】と言うわけが無いだろ?」

「兄貴ちょっとといい?」

 誠は唯野を部屋の隅に連れて行き

「雅治をだまくらかしてでも、何としても【うん】と言わすんだよ!」

「奴もアホじゃ無いんだ。無用な仕事が増えるのに【うん】と言うかよ!」

「彼処に、奴のアキレス腱がいるじゃないか?もれなくこのプロジェクトの右腕になると言えば【うん】というさ。

 どうやっても自分の部署には引き込め無いなら新しいプロジェクトで右腕にしろと雅治に言えばいいんだよ。

 俺達がチャンスを作ってやったと。

 新しいサブプロジェクトなら藤堂も文句言えないし、新しいプロジェクトで成果が見込める様なら時宗も文句処か喜んで賛成するさ」

「しかし、目の前の玲音君と廉君がうんと言うか?やはり、同じ様に無用な仕事が増えるんだぞ!」

「大丈夫だよ。廉君は玲音君が同意すれば協力してくれる。玲音君は犬飼いたがっているだろ。トリフの収穫には犬が必要不可欠だ。この島の救助犬と兼用で時宗公認で大手振って飼えると言えばいいんだよ。

 アレックスの右腕でサポートと言う形なら時宗も文句言わないよ。

 折角発案料貰うために温めていたが減給よりはましだ。

 俺には兄貴と違って女房は居ないし、ラッセルの様に子供も居ない。雅治同様独身貴族の様に見えるかもしれないが、年寄老いた両親がいる。兄貴の実家のように金持ちでもないし、両親は、俺の為に貯蓄を切り刻みながら海外の高い大学に何年も行かせてもらっていたから、貯蓄の少ない年金暮らしの両親に仕送しないといけない。俺はひとり子だから尚更だ。その上考古学は金がかかるんだぞ。 減給なんてされたら専門書なんかバカ高いから思う様に買えなくなる上に、息抜きの飲みにもいけなくなるだろ!」

「しかし、うまくいくかな」

「何が何でも、上手く行かすんだよ!」と誠は言い放ち玲音達の元に戻る。


 その後ろ姿を見ながら(誠だけは敵に回したく無いな)と唯野は呟く。


「取り敢えず、その新規事業案の報告書と関係者の同意を得てよ。話はそれからだね」と玲音はいい。取り敢えず処分保留となった。


 翌朝、アレックスがシャーロットを連れて玲音を起こしに来た。

「何?こんなに早く」

「トリフ探し行くよ!レオンもおいで」

「ん?」

「ほらほら起きて行くよ」と連れ出される。

 事務所外には、齋藤と誠が待って居た。

「さて、行くか?」

「松茸は確かに自生してますがトリフなんて有るんですか?」と齋藤は不思議そうにしかし期待しながら言う。

「ここの気候フランス郊外の山林ににてるからね。結構有ると思うよ。まぁこの子次第だけどね」とシャーロットに匂いを嗅がせている。

「ん?それは?」と不思議そうに玲音はアレックスを見る。

「昨日見つけたトリフだよ。何ヵ所か有りそうな場所を根気よく探してやっと見つけたんだよ。かなり小さいけどね。

「え?本当に有るんだ。黒いダイヤ」と齋藤は物珍しそうにアレックスの持っているトリフを覗き込む。

「何個か見本に持って行かないと、何が何でも見つけるぞ!新規事業案通らないと困るからな」

 誠はシャーロットを撫でながら「お前に全てが掛かってる頑張って探してくれよ」と言う。



「廉、パンダは、何処に行ったんだ?」と千景が朝ご飯を作っている廉に話かける。

「朝早くアレックスさん達と山に向かったよ。今日、午前中には千景は帰るんだろ?」

「あぁ、ここの生活は、楽しいからゆっくりとして居たいが、俺はまだレジデントだが、受持っている患者はいるからな。その人達を放って置くわけにも行かないから早く帰らないと」

「そっか大変だな。頑張れよ」

「Thanks.それより俺の朝飯も作ってくれてる?」

「あぁ、心配しなくてもちゃんと作ってるよ。あの一緒に来た看護士の人のは?」

「ん?婦長か?昨日の最後の便で本島のホテルに戻ってるよ」

「婦長が付き添いとは。凄いな?お前の腕信用されて無いのか?」と笑う。

「嫌、急遽誰か1人程俺に同行するとなった時に看護士の間で誰が同行するか?と決めるときに揉めてさぁ~。その時、婦長が【私が行きます】と鶴の一声で婦長に決まったのさ」

「でも割りと若い婦長なんだな。それに美人だ。でも、千景が年上好きと言ってもあの人では無いよな?振られたのは?」

「まだ、詮索してるのかよ。違うよ、間違ってもうちの病院の従業員と恋愛云々になる様なことするかよ。社内恋愛よりたちが悪いぞ。彼女は30半ばかな?看護士の出入り多い中、腕が良くて看護士学校卒業後からずっとうちの病院に勤めてくれているからな。だから婦長になってるんだよ。

 そんなことより、次のゴールデンウイークはみんなでここに集合となってるがパンダと廉も時間取れるのか?皆楽しみにしてるぞ?」


「まぁ、あの新規のプロジェクトすることになれば、ここに来る機会増えるしな。

 それに玲音が、今仕事任されているのは、ほんの一握りだからな。俺はそのサポートだから何とか時間作れるよう努力するよ」と廉と千景は久しぶりにゆっくりと朝食を取りながら色々と話していた。

 食事後、千景は島を一足先に去っていった。


 千景と入れ違いに玲音達は大収穫のトリフを持って帰ってきた。

「凄い量だな」と出迎えた廉と、唯野がびっくりする。

「手付かずだからね。乱獲すればすぐ無くなるよ。どうやって収穫を増やすかがキーだね。

 後また、山菜やキノコも取ってきたから俺達の捜索活動に参加してくれた人に少しずつだけどお礼として配るといいね」とアレックスは荷物を卸しながら言う。


 昼過ぎに本島のに戻り遭難者達一行は、収穫物を小分けに分けて昨夜お世話になった捜索に関わった人達にお詫びしながら配った。

 社内評判は、黒いダイヤの報酬に好評を得て悪く言う人は無く円満解決となった。


 午後、潤がシャーロットを飼い主元に帰って行く別れの時、玲音はまたシャーロットに寄り添いしばしの別れを惜しんで居た。

 その姿を見て居たアレックスはシャーロットの去った後、玲音と何やら話をしていた。



 各々が、各持ち場に戻って次の日、玲音の元に悠貴が誠の代理で新規事業案の報告書と説明にやって来た。

「先輩、教授は仕事が貯まって押し潰されて居るから代理で俺が説明にきたよ。御手柔らかに頼みますよ?」

「ん?仕事とプライベートは別な話だよ?

 出来るだけ力になってあげたいけど利益の上がらない事業案を通す訳には行かないよ?いくら悠貴の頼みでもね。

 俺が親父にプレゼンしなきゃならないんだからさ」

「まぁ話を聞いてから、どうおじさんに話を通すか考えよう」と廉が玲音と悠貴を会議室に行くように促す。



 その頃、誠は学園で貯まった仕事を片付けて居る所に雅治が怒鳴り込んできた。

「誠!お前の仕業だろ?何で新規事業案に俺を巻き込む!俺は関係無いだろ!」

「思ったより早い登場だな?取り敢えず兄貴の所に行ってくれ、これ片付けたら俺も行くからさ」

「嫌、兄貴と話しても無駄だろ?どう考えても、これはお前が仕組んだ事だ。俺が解らないとでも思っているのか?

 しかも、わざわざラッセルとアレックスを俺の所に泣き付かせて!断り難く仕組んだろ?」

「え?何?雅治。ラッセルやアレックスの頼みだと受けて人生の大半を供に歩んできた幼馴染みの俺や恩師の兄貴の頼みは断るのか?」

「やっぱり誠!お前の仕組んだ事じゃないか!俺は新規事業をサポートする余裕の時間なんてどうやっても無いんだよ!出来無い事を言われても出来無い!

 この前も時宗にわざわざシンガポールまで呼びつけられてお前達の騒動のお陰で足留めくって、それでなくても工期遅れて居るんだぞ!」

「まぁまぁ。そんなに息を切って怒鳴るなよ。ちゃんと兄貴と一緒に愚痴は聞いてやるから先に兄貴の所に行っててくれよ。俺もこれ5時迄に終わらさないといけないんだ」と誠は、仕事から目を離すこと無く対応する。

 それを見た雅治は、こう言う時は、誠に何言おうと相手にならない事は良く知っている為

「今回はいくらお前や、兄貴の頼みでも俺は無理だ!どうやっても時間が取れ無いんだよ!他を当たれ!」と言い捨てて校長室に向かう。


 校長室に現れた雅治を見て唯野は「やっぱり苦情を言いに来たのか?」と苦笑する。

 雅治は何時ものソファに座り誠に言った様に苦情を言う。


「お前が忙しいのは、重々分かって居るよ。でも今回だけは何とかしてくれないか?

 今までお前の山の様(・・・)な【一生に一度】の頼みを俺は散々聞いて来ただろ?

 誠も、ラッセルも家族にお金掛かるから減給はきついんだよ。

 俺も散々、嫁に小言を言われたんだよ。それでこの上減給になって見ろ、離婚届を突きつけられるからさ。

 何とか俺達を救ってくれよ」

「兄貴、無理だよ。何とかしてやりたいが、入院騒動から業務が押している。それこそ何日も泊まり込みで俺は仕事してるんだ。俺だけならまだしも部下までもだ。

 時宗にも間に緊急の調査だとか言われて無理矢理仕事を押し込まれている。俺より時宗に頼めよ!」

「いや、玲音君が統轄している部門だからさ。玲音君を納得させる苦肉策が新規事業案なんだよ。

 それを成功させるには雅治お前の協力無しでは、無理なんだよ」

「…………」

 雅治は腕を組み、黙り込んでソファにふて腐れて座って居ると鳥籠のチューイが「マーサ!マーサ!フキゲン!マーサ!」と鳴きながらここを出せと言わんばかり羽をばたつかせ騒ぐ。

 それを見て唯野がチューイを籠から出すと雅治の腕に留まりおとなしくしている。

挿絵(By みてみん)

 そこに場を見計らった様に誠が登場する。


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