表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nostalgia - 追憶 -  作者: 天野 花梨
The disaster occurred on their way home
33/40

Great White Way

1. Nightless Castle.


 藤堂が時宗と雅治が隠っている会議室に唯野校長他一行が発見されたと報告に行った時には、もう2人はほぼ出来上がっている状態だった。

「統轄長!短時間にこんなに呑まれたんですか?しかも、ちゃんぽんじゃないですか?悪酔いしますよ?今日は仕方無いとしても、明日はちゃんと仕事してくださいよ?」と藤堂は小言の様に言う。

 机の上にはビール、ウイスキー、ワイン、日本酒と様々な酒とナッツ類を始め焼き鳥や、生ハム等デリバリーしてきた酒の肴が並んでいた。

「ん?このくらいの量で俺達はつぶれたりしないよ」と時宗は上機嫌で居た。

「こいつは、見た目は酒に弱そうな顔しているが実は底なしだからな・・・・。テーキラだろうとウォッカだろうと、相当飲まない限り酔い潰れたりしないよ。俺も誠も時宗だけには、かなやしない。まあ、こいつはキャパ超えるといきなり寝るけどな・・・・。

 でも、同じかそれ以上呑んで俺達が翌日二日酔いで、のたうち回っていても時宗だけは次の日は平気な顔でちゃんと仕事してやがる」と言いながら雅治は時宗に酒をつぐ。

「いや。二日酔いはするし、全然平気でも無いさ。でも気分悪くても、仕事をしたくなくても、そんな理由で休ませてくれる様な優しい会社じゃないからさ。

 もし、俺が二日酔いでスケジュールに穴あけてみろ、次から監視付けられて自由に飲みに行けなくなるじゃないか?だから二日酔いだろうと頑張って仕事しているんだよ。

 俺はこの会社で誰よりも自分を犠牲にして仕事してるぞ!」と時宗は藤堂に対して間接的に愚痴る。

「はぁ……。二日酔いにならない様に適量にすればいいでしょ?それがお体の為ですよ」と藤堂はあきれながら机の上を見る。

「そう言いうお前さんも、もう一人の相棒も、俺ら顔負けに酒好きな癖によく言うぜ。まぁそんな事はどうでも良いだろ。気持ち良く呑めれば二日酔いになろうとなるまいと。

 で、なんだ?兄貴達は見つかったのか?」と言いながら雅治はお前も付き合えと言わんばかりに藤堂に座る様に促す。

 それを見て時宗は立ち上がり「もう少し酒追加してもらうか?」とニコニコしながら会議室から出て行こうとする。

「あぁ、統括長!私がやりますから。

 いくら何でも酒の匂いプンプンさせて社内はうろつくのは辞めてください。

 社内だと言っても、ここはシンガポールですよ!飲酒関係には厳しい国なんですから」と藤堂は時宗を座らせる。

「別に就業時間外だし、まだ夜10時半にもなってないからいいだろう?それに、他の部署でも社内で打ち上げとかしてるだろ?」

 時宗が藤堂に妙に絡む。

「そういえば雅治!こないだマグロ1本持ってリゾート開発部とマグロパーティしたらしいじゃないか?本社内で海洋開発とリゾート開発部は部内リクレーション充実しすぎると声が上がってるらしいぞ!」

 そういう時は俺も呼べとばかりに時宗が言う。

「ん?海洋調査してたら何故かマグロが網に引っ掛かったんだよ。別に仕事中に遊んでいたとか、マグロ釣りしてるわけでないぞ。海にリリースしても引っ掛かった傷等でかなり弱っていたから時間の問題だろうと判断してありがたく頂くことにしたんだよ。

 マグロ1本は横浜事務所ならともかくあのホテルの仮事務所では、うちの部だけでは、流石にはけきれないし、解体に齋藤の所の島事務所のキッチン借りたからリゾート開発部も……となって、そこに地獄耳の誠と考古学の発掘作業手伝っていた学生までやってきて食べていったんだよ。リゾート開発部とうちの部だけじゃないよ」と言いながら涼しい顔で雅治は酒を飲み続けている。

挿絵(By みてみん)

(拓哉の奴、それがきっかけで釣りにはまったのか……)と藤堂は思う。


「それより時宗!あのホテルは、本社の社員からなんと言われて居るかお前は知っているか?【不夜城】だぞ?

 特に俺の部と齋藤の部に赴任すると昼夜問わず働かされると噂されて敬遠されてるんだ。

 一部の社員からは、【島流し】扱いだ。

 そんな部署に部内リクレーション位、豪勢にしてやらないと誰もついて来るかよ!

 しかも、その費用の大半は俺のポケットマネーで賄っているんだ。

 他の部署から、とやかく言われる筋合いは無いさ。

 大体あの島の開発保全環境ビジネスを開拓をしながら、他の一般の業務請け負っているんだぞ?業務過多だろう?」と雅治はぼやく。


「それで、兄貴達どこで見つかったの?」

 時宗は不味いとばかり話しをそらす様に藤堂に向けて聞く。

「あぁ、はい。統括長達の言う通り。拓哉が密かに自分用に整備した山の麓の洞窟内の露天風呂に居たらしいです。誰一人怪我人も居ないそうです」と藤堂は報告する。

「やっぱり、心配に及ばなかったのかよ。

 まぁ皆無事で良かったが、人騒がせだよな。まぁメンバーがメンバーだからな」

 雅治は普段の自分の行動の事は棚上げしてこれで一安心と酒を呑む。

「まあ、本当に怪我人が居なくて良かったが……。また、島の安全対策を考えなきゃならんな。

 特に学園で野外活動としてあの島使うのなら。

 兄貴がまたなんか言って来そうだ。

 あっそう言えば島の新規アリーナ建設計画の調査はどうなったの?」

 時宗は思い出した様に雅治に聞く。

「アホか!さっき渡した調査結果の調査を最優先だと言ってやらせただろ?そっちにかかりきりで、出来るわけないだろ!どう頑張っても1日24時間しかないんだぞ?出来るかよ。どんだけ俺達を働かせるんだよ!【不夜城】と呼ばれる大半はお前の無理難題のせいだぞ!」

挿絵(By みてみん)

「まぁ、アリーナはさておき、さっき話した件は、早急に調べてくれよ?」

「はいはい、わかってますとも統括長。

 しかし、次から次へと仕事増やすなよ!

 それともうこれ以上、酒の席に仕事の話しを持ち込むな!酒が不味くなる。俺は上司の接待で酒を飲む趣味は無い」と雅治は時宗を睨み、もうこれ以上は仕事の話しをして余計な仕事を増やしたくないと言わんばかりに酒を呑む。

「海洋開発部に早急に調査するような案件なんかありましたっけ?」

 その会話を聞いて藤堂は自分のスケジュール帳を調べる。

「え?いや、藤堂君。ここで、これ以上仕事の話はしない方が……。雅治のご機嫌悪くなるからさ。それより酒を追加してくれるように頼んでよ。それに、藤堂君も俺達に付き合いなよ」

 時宗は雅治の機嫌を気にしながらも明らかに、なにか誤魔化そうとしているのがバレバレだが、藤堂は雅治の機嫌をこれ以上損ねたくないのと、社内に居るが時宗も本日の業務は終わりと言い切っていることから、あえて追求せず言われた通り酒の追加をしに会議室から出て行った。




 その頃ホテル内の捜索本部は、遭難者ご一行の無事発見の報告を聞いて、安堵したのも束の間、今度は島からの捜査員の引き揚げの段取りで騒然としていた。

(しかし、噂通り本当にこのホテルは【不夜城】だな。異常事態だと言ってもこんな偏狭の地でしかも、定時後の招集でこれだけの人数が集まるんだから。拓哉も大変だな。本社秘書室もかなり忙しく残業も多いが、こことでは比ではないかもな。拓哉には悪いが十碧の下を選んで正解だったかな?)と周藤は思いながら捜査員の帰還手配に翻弄されていた。



2. Wasted love.


 一方、島では齋藤はじめ玲音達が洞窟に着いたところだった。

「なんだこの洞窟内?なんか温かいね。しかしせっかくシャーロットが来たのに出番が全然なかったね」と玲音はシャーロットに話しかけていたがシャーロットは玲音には上の空で、奥に居るアレックスに興味を引き付けられていた。

 アレックスはシャーロットに気付き手招きをする。するとシャーロットはそれを見て玲音からすり抜けてアレックスの元に駆けて傍に行く。


「え?シャーロット?!」と玲音は茫然としながら自分の元から勝手に離れて行った事にショックで固まる。


「このワンちゃん、なかなか匂いに敏感みたいだね?よしよしいい子だ。

 君は明日、僕と一緒に山に遊びに行こうか?」とアレックスは飛びついてきたシャーロットを一目で気に入りジャーキーをやりながらシャーロットの体を撫でて居た。

「玲音??」と廉が玲音の体をつつくが、今まで勝手に自分から離れていったことのないシャーロットが、自分の静止に振りきって、アレックスの元に駆け寄り意図も簡単に懐いたことにショックで放心している。

「廉、これはどんな名医でも治せんぞ?」とその様子を一から見ていた千景は玲音を指差しながら廉に囁く。


 齋藤は三鷹と事の詳細を説明を受けており、悠貴は誠と、潤はラッセルと唯野とたき火を囲いながら談笑していた。

 千景は放心している玲音を察しそっとして置くように廉に言い。玲音を一人にするように洞窟内を廉を連れて一緒に見学していた。

「しかし、すごいなここ。冬場温泉に入るなら快適な露天風呂だな」と千景は感心する。

「千景、流石に玲音をあのまま放って置くのは、まずいんじゃないか?」と廉は玲音の事を気にするが千景は廉の腕を掴み更に奥に連れていく。

「最愛の彼女に意図も簡単にすっぱりと振られたんだ。少しの間一人にしてやれよ」

「最愛の彼女って……。振られたって……。ちょっと違うんじゃないか?」と廉は苦笑いしながら玲音を見ながら言う。

「パンダにとっては同じようなもんだろう?今は、何を語りかけても無駄だよ。周りの言葉なんか聞こえやしないから」と千景は言う。

「千景。お前、体験したことある見たいな言い方だな?お前の場合、振ることはあっても振られたことなんてないだろう?」

「俺にだって失恋の1つや2つはあるさ」

「え???失恋ってお前好きな人居たのか?」

「そりゃあ、20年余も生きていれば一人や二人くらいは居たさ。俺を何だと思ってるんだよ!」

 愕然としながら廉は驚き言葉を失っていた。

「………それは最近の出来事か?」と廉は恐る恐る千景に言葉を選びながら聞く。

「ん?一人は幼稚園のマキ先生だな。もう一人は…………秘密だ」

「教えろよ!何処の誰なんだ?俺の知ってるやつか?小学生の時とか言うなよ?」と廉は玲音の事を忘れて千景の失恋話に興味が行く。

「廉、お前………。俺がお前同様に恋愛に興味が無いとでも思っているのか?お前と俺を一緒にするなよ!」

「いや、俺だって恋愛に興味が無いわけではないが、そんな暇が無いだけで、どうしても人生のしなければ行けない事に優先順位つけると恋愛は下位にならざるわけで………。

 まあ、お前は確かに女好きだもんな。俺達と居る時以外は四六時中、傍に女性が居るよな?加藤さんにどことなくポリシーと女性の扱い方が似てるから振られるようなことはないと思っていた」と廉はブツブツ呟く。

「加藤さんと俺は全然似ても似つかないだろうが!一緒にするなよ!あそこまで女性の扱いに慣れてはないし、女好きでもない。まして俺は独身貫く気なんてないぞ?」

「………。で誰なの?千景が意図も簡単に振られた相手って?」

「廉、人の傷口いじるなよ!奇しくも振られたんだぞ?そこは友人ならそっとしておけよ!」と千景はもうこれ以上は話さないという素振りで言う。

「まあ、お前の口からはやっぱ言いにくいよな?そうかぁ、そんなことがあったのか………。ここはひとつ櫻グループの総力を結してリサーチでもしてみるか?」と廉は呟く。

「おい、リサーチってなんだ?リサーチって………。櫻グループの総力って………。 」

 千景は呆れながら廉に言う。

「教えてくれないなら、調べるしか無いだろ?

 それに櫻グループの情報網を使わない手は無いだろ?

 そもそも千景が俺の興味を焚きつけるだけ焚きつけたからこのままでは気になるだろ?真相を知りたいじゃないか!」

 廉は千景をマジマジと見ながら言う。

「廉。なんか、この頃性格がパンダにそっくりになってきたな………」

 ため息をしながら千景は勝手にしろとばかりに言う。



 廉たちが洞窟内を一回りして帰ってくると傷心の玲音は放心状態からは回復していたが、先程とは反対にご機嫌はかなり悪かった。

「廉!勝手にどこに行ってたのさ!さっさと戻るよ!」と怒る。

「ああ、そうだな……。でもそんなに怒らなくてもいいだろう?(今度は俺に八つ当たりかよ………。)」と廉は溜め息をつく。

「事務所で、この人騒がせなおじさん達の処分決めなくちゃいけないだろ!」

 遭難者ご一行は「え?処分?」とばかり固まる。

「玲音処分って……」

「そりゃそうでしょ?自分勝手な行動して命に別状がなかったからいいようなものの捜査員100人近くの人にこの悪天候の中、大捜索展開させたんだよ?

 このまま、よかった。よかった。と言って何も無かった事にして済ませるわけにはいかないでしょ?費用だってかなり出費しているし、誰が出すのさ?この捜索費用」

「しかし、玲音。校長先生達も騒ぎを起こそうとか、遭難しようとしてなったわけではないんだ。こんな悪天候になるとも思わず、連絡も取れない状態に陥ったのはどうにもならない事だろう?」

「この人達は少なからず【先生】、【教授】、【博士】と呼ばれている人達だよ?人から【師】と厩われている人が、人の模範にならなきゃいけない人が、意図的では無いにしても世間を騒がせたんだ。何かお詫びしてもらわないとだめだよ!

 例えそれが、親父の大切な友人だとしても、俺達の大切な恩師だとしてもその辺はちゃんとけじめなきゃダメだよ!」と玲音は言い放つ。


「………。まあ、それは、ごもっともだな。どうにもならなかったとはいえ、大勢の人達に迷惑かけたんだからな。

 それは、ちゃんと謝罪しないとな。ちなみに費用はどのくらいかかったのかな?」と唯野はおそるおそる聞く。


「とりあえず、今日は島事務所に戻るよ!帰る支度して!話しはそれからだよ」と玲音がその場の全員に対して帰還の指揮を執る。


「やれやれ、確かに言っている事は、正論で非はない。御尤もな事なんだが……。

 さっきの事件を見ているから半分は八つ当たりとしか思えんな」と千景は廉に呟く。

「うーん。困ったな。玲音の奴、あんな風に言い切ったから、もう絶対意見を曲げないぞ。いかにいさめて、どう処分を軽くするかだよな。こういう時おじさんかおばさんがいればなあ。こんな時に限っておじさんシンガポールでおばさんNYだもんなぁ」と廉は悩む。

 三鷹が玲音の言葉を聞き放心状態になっているのを齋藤が見かねて玲音に「今回の事は本来俺が付いていかなければいけないところを慣れていない部下に案内させることで起きたことだから何とか容赦してくれないかな?」とお願いしてみるが、

「ダメだよ。今は俺が日本の業務を取仕切ってるんだ!ここできっちりとしないと、今後に示しがつかないからね。

 でも、僕も悪魔ではないんだ。出来るだけは酌量はするさ」と言い切る。

 廉は齋藤の傍に行き「今は、何を言っても無駄ですよ?余り言うと反対に火に油注ぐ様なものですから、今はそっとして置きましょう。俺が何とか、いさめますよ」

「うん………その様だね」

「教授、玲音先輩のご機嫌損ねたらダメじゃないですか!あれ相当不機嫌ですよ?」と悠貴が誠に言う。

「確かに、かなりご機嫌斜めだね。さっきまではシャーロットと一緒に居てかなりご機嫌だったのにな……。ん?シャーロットは??」と潤が反応する。

「怒らせるつもりはなかったんだが……。

 俺達、知らず知らずに玲音君の地雷でも踏んだのか?

 まさかミサイルスイッチに手をかけたか?

 しかし、どうにもならん事態だったんだから仕方ないだがなぁ」と誠はまずいなあという顔で玲音をチラ見する。

「レオンの連れてきた犬なら、アレックスが手馴けてあそこで遊んでるよ」とラッセルはアレックスを指さす。

 奥でシャーロットはアレックスにかなり懐いてアレックスに遊んで貰っている。


『原因はあいつかよ……』一同が呟く。


 誠はアレックスを玲音に気づかれないように呼ぶ。

 ”What is it?”とアレックスは不思議そうな顔してシャーロットとやってくる。

「どうしたのじゃない!」と小声で誠はアレックスに事の経緯を話す。

 アレックスは「このワンちゃんの飼い主は誰?」と聞き

 潤が「僕の親戚の犬だよ。前に一度玲音に3日間程預かってもらったんだ」と潤がシャーロットと玲音の出会いの経緯を話す。

「Hey June!その時の事もっと詳しく教えてくれるかな?」といいアレックスは潤に色々と質問をし、その後腕を組み少しの間考え込んで居た。



3. Let's a little experiment.


 暫くしてからアレックスは「Hey!レオン!」と大声で叫びシャーロットを連れて玲音の元に行く。

 アレックスに気が付いた玲音は「アレックス!帰るよ。ちゃんと早く帰る支度して」と帰途を促す。

「HEY!レオン。その前にレオンはこのワンちゃんの事がかなり好きだよね?でもこのワンちゃんにとってレオンはどんな存在か理解してる?」

 玲音はアレックスの質問にきょとんとし言葉を失う。

 ”Let's a little experiment.”(ちょっとした実験してみよう)

 玲音は怪訝な顔して「そんな事よりさっさと帰る支度しなよ?アレックス」と言う。

「いいから、いいから。Hey レン!Come on!」 とアレックスは廉を呼ぶ。

 千景と温泉を見ていた廉が不思議そうにアレックスの元にやってくる。

「レン!これ持って向こうに行って。レオンはこれ持って僕を中心にレンと同じくらい離れて僕が手を下ろしたら2人一斉にそのジャーキー見せてこのワンちゃんが自分の所に来るようにお互いが一緒に呼んで見て」

「ん?玲音の元に行くんじゃないの?」と廉はそんなことしなくても……。と言う顔で言う。

「さてどうかな?試してみてよ!ほらほら」とアレックスは実験を促す。

 廉と玲音は仕方ないなと言う顔で言われた位置でアレックスの合図を待つ。

 アレックスは少しシャーロットから離れて合図を出す。

 シャーロットは2人同時に呼ばれて戸惑う。

 レオンはジャーキーを見せ「シャーロット!こっちにおいで」と何時もの優しい口調で呼ぶ。

 反対にジャーキーを掲げ命令口調で「シャーロットこっちだ!」と廉は呼ぶ。

 シャーロットは少し迷っていたが廉の呼び声に応え廉の元に駆け寄っていった。

 それを見て玲音は増々ショックを受る。反対に廉はびっくりしている。


「Heyレオン!こっちにおいで」とアレックスは玲音を呼ぶ。

 玲音は茫然としながらも渋々アレックスの傍に行く。

「レオン!動物には色々な習性がある。それば種別毎に固有の色々な団体行動やルールがあってね。それは、各々の種の特性で揺らぐ事はないんだよ。

 犬科の動物は群れを作り行動する。だから上下関係が厳しくリーダーの命令には絶対服従する動物なんだ。

 それは犬だけではなく同じ犬科の野生の狼でも、あてはまる。

 人間に飼い慣らされた群れを作れないペットの犬達も主従関係を自ら生活の中で構築する。

 それは、自身と周りの人間を各付けしてるんだよ?それがワンちゃんの中で確定してしまうと中々揺らぐことはなるなる。

 その格付けは普段の生活やワンちゃんに対する態度やその人達の会話等から犬の目で判断される。

 レオンはシャーロットを過ごした3日間ずっと傍にいて色々世話したかもしれないけど、レオンの食事はレンが全て作っていたんだろ?シャーロットのご飯もレンから受け取ってシャーロットにあげてたんでは?

 レオンはレンの言う事には反抗したり意を唱えたりはしないだろ?

 大半動物は食べ物を賄うものが権力を持つ、レンは食べ物を管理し、なおかつレオンを命令し、動かす。シャーロットにはその様に見えて格付けはレオン<レンと映る。

 だからこの実験でシャーロットがレンの所に向かうのは必然だよ?シャーロットにとってレンがMaster、レオンはbrotherのようなものだよ。

 だからレオンはシャーロットにとって自分より少し上の格付けだね。

 Masterの命令は絶対だからね。brotherがいくら命令してもMasterの命令には逆らえない。

 動物を飼うには動物の本能や特性を知らないと、学ばないと本当の意味で仲良くはなれないよ?優しく接するだけではダメだよ?時には厳しく、時には優しくしないとね。

 犬がかわいそうだから仕事休んで一緒にいてあげるとかしてると、どんどん君の格は下がっていくよ?

 動物にとって主従関係が全てのルールだよ?それを理解しないとね。

 もっとワンちゃんの事を色々知りたければ、今度暇な時僕の所においで」とアレックスは玲音に簡単に説明する。

「さて、帰ろう」とアレックスはシャーロットにおいでとジェスチャーを送ると廉の元から離れてアレックスに駆け寄って行った。

 それを遠目で見ていた他の面々も唖然としながら神妙な顔で聞いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ