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Nostalgia - 追憶 -  作者: 天野 花梨
The disaster occurred on their way home
32/40

Devil's whisper

1. We should take the pressure off yourself.


挿絵(By みてみん)

 その頃シンガポールでは、藤堂が須藤から齋藤が統轄長からのヒントで居場所の目星が付き現地に捜索に向かうと報告を受け取っていた。

 それを聞き直ぐ様、時宗に報告に向かう。

 応接室では時宗と雅治は会議室で事件は終ったかのように雑談していた。

「統轄長、拓哉が唯野校長達の居場所の目星がつき現地に玲音様達と迎えに行ったようです」

「そうか、見つかったと報告が入るのは時間の問題だな。今、島に居る他の捜索員達はどうしているの?

 多分これで見つかるはずだから順次、本島に戻してあげる算段に入らないとあの島の事務所では狭すぎるよ?

 一斉に戻ると人で溢れて休憩も出来ないはずだよ。船は運航出来そう?」

 時宗は遠回しに捜索班の解体を促す。

「周藤にその指揮をとる様に伝えます。

 ですが、まだ発見されたわけでは無いのによろしいのですか?人員を減しても……」

 少し不安そうに藤堂は聞き返す。

「山の捜索は、もうこれ以上続けるのは困難だろ?もしこれ以上、動くとすると2次遭難の可能性もかなり高くなるし、状況から判断しても大勢で動くのは無理だ。

 今、島に居る捜査員達を休息させるにはあの事務所では狭すぎるとなると本島のホテルまで戻すのが妥当だろ?

 残務は玲音達と齋藤がいれば後は何とかなるだろう」と雅治は見解を言う。

「雅治の言う通りだよ。これ以上、大掛かりな捜索は出来ない。

 もし、これで見付からないなら公の機関に連絡して、対応してもらうしかない。

 だから混乱や捜査員達の疲労困憊にならない様に順次本島に戻る算段をしておいた方がいい」と自分達の推測に余程自信が有るのかこれで見つけると時宗は確信しているようで雅治に同意する。


「さてと、そろそろ俺は日本に戻るとするかぁ~。はぁ、こんなに長居するはずじゃあ無かったのになぁ」と雅治は事件は終わったかの様に言う。

「まぁ、そんなに急いで帰らなくても兄貴達が見つかったと報告あるまでここに居ろよ」と時宗が引き留める。

「時宗!当然その分の工期は延ばしてくれるんだろうな?

 大体、ここシンガポールまで呼び付けられる事からして俺はいい迷惑なんだ!電話で済ませば良いものを、テレビ会議と言う物も有るこのご時世に簡単に呼びつけてくれてさぁ。本当いい迷惑だよ!

 それに本来、俺は、その資料渡したらすぐに帰るつもりだったんだ。それなのに、こうして足止め食らってるんだ!この間もどんどん仕事はたまって居るんだぞ?

 どうせ兄貴達は洞窟内で宴会騒ぎしているだろう。なのになんで、俺だけ仕事が山積して多忙なんだよ!不公平過ぎるぞ!」と雅治は時宗に詰め寄る。

「う~ん……。そこを何とかするのが雅治の才能だろ?

 それに、お前こないだ入院騒ぎで兄貴達や俺の仕事の予定狂わせただろ?

 俺はあの後、かなり大変だったんだぞ?

 俺の仕事の締切りは誰も延ばしてはくれないしな」と時宗はため息をつく。

「時宗!何度も言うが、あれは俺の落ち度で事が大きくなったわけではなく、周りが勝手に騒いだだけで、俺には不可抗力だろうが!

 俺は何度もお前に連絡を入れたが連絡が付かないから、代わりに玲音達にちゃんと報告入れておいたぞ!

 あれ以来、仕事は貯まるわ、部下の半分は寝込んでいて業務が回らないと、周りが俺に苦情言ってくるわで散々だったんだ!一番の被害者は俺だ!」と雅治は強く抗議する。

「雅治、あれは、どう考えてもお前がプレミア祭のために和也にニセの診断書を書かせた天罰だろ?【嘘から真】だよな?

 よりによって 本当に 【インフルエンザ】にかかるなんて……。

 神様はちゃんと居るんだなぁ」と時宗はしみじみと皮肉を言う。

「それ言うなら藤堂だって母親を使って休みとっているじゃないか!」

「え?私をそこで絡ませないで下さい。

 それに私は嘘は言ってませんよ!

 母親はギックリ腰で容態は良く無かったのは本当ですから。

 ただ命に別状無いし、私が帰る必要性が無かっただけですから」と藤堂は必至に言い訳する。


「まぁ折角だ!ここまで、ここに居たんだから兄貴達の報告が本社から連絡がくるまでの間、俺達もここで酒でも飲むか?」と時宗は話題をすり替える。

「そうだな。素面でやってられんな。

 藤堂、今夜こっちに泊まるからホテル取ってくれよ」と雅治が言う。

「藤堂君、酒と酒の肴用意するようにしてくれる?」と時宗は遠回しに【今日はこれ以上は仕事しないぞ】と藤堂に言う。

「はぁ、しかしこれ以上業務が押すと後で泣くのは統轄長ですよ?」と藤堂は釘を指す。

「いいから、いいから、こんな状況で気になって仕事にならないよ?

 効率悪いのに、だらだら仕事しても意味無いよ。そう言う時は敢えて休んだ方がいい。

 "We are on the same page. "(同じ考えだよな)」と時宗は雅治に同意を求める。

「仕事するときは仕事、休む時は休むと言うメリハリが大切だ!"We should take the pressure off yourself. "(俺達には息抜きが必要だ!)」とさっきまで言い争って居た雅治も時宗に同意し和解していた。


 藤堂は内心(この2人仲がいいんだか悪いんだか解らない人達だな?)と思いつつ、言われたことをするために会議室から出る。


2. Devil's whisper.


 その頃、当の遭難者達はたき火を囲いながら開き直って残っていた食料で宴会をしている。

 アレックスはそのあたりで収集してきた植物を観察し、ラッセルと誠は何やら川を見ながら真剣に話をしている。

 三鷹と唯野は酒を酌み交わしながら

「やっぱり今頃、齋藤君心配してるよねえ……」と唯野が今の現状を振り返る。

「そうですね。齋藤部長の性格を考えると大騒ぎになってる可能性が高いですね。

 皆さんが温泉に入っている間に僕が電波の届くところを探して何としても報告をきちんと入れるべきでした」と三鷹は反省する。

「齋藤君は慎重派だからね。たぶん自分の計画通りに事が運ばないと焦るタイプだからね。

 しかし、今回の件は稀有なケースで誰もこんなことになるとは予想つかないから後悔しても無駄だよ。

 現に俺達は温泉に入るべく時間調整し、予定より1時間半も早く下山している。

 積雪さえなければ、計画の時間より少し遅れたかもしれないが許容範囲内に連絡できたはずだからね。

 昼間の晴天を考えると短時間にこんなに積雪があるとは誰も予想できるわけがない。

 だから、もうね、この状況を楽しまないと。それが出来ないとあそこの男と一緒に行動なんて出来ないよ」と唯野は誠を指さしながら三鷹を励ます。

「伊集院教授は無鉄砲なんですか?そんな風には見えませんが……」

「彼奴の人生のバイブルはインディジョーンズだからな。

 冒険とロマンと考古学だけで成り立って居るようなもんだ。計画の【計】の字なんかありゃしない。奴の辞書には【計画】と言う文字や【予定】と言った文字自体無いんじゃないか?」と呟く。

「でも、伊集院教授ならインディジョーンズ似合いますね」と三鷹が笑う。

 そこにいいタイミングで

「兄貴!良いこと思いついた!」と誠がやって来る。

「却下だ!」と唯野は誠の顔をまじまじ見ながら言う。

「話しを聞いてから判断しろよ!」と誠は怒る。

「いや、聞かなくてもお前の顔に【ろくでも無い】と書いてある」

「なんでだよ!」と怒る。

「お前達と、何年一緒に居ると思っている。そのうち何度、命落としかけた?計画のどれくらいの割合で計画通りに行った?」

「大袈裟だなぁ兄貴は。ちゃんと今も生きているじゃないか?」

「当たり前だ!まだ死んでたまるか!」

「そうじゃ無くてさぁ。アレックス曰くここの自然環境なかなか良くてキノコや松茸、山菜の人工栽培が出来るんじゃないかと。もしかするとトリフとか出来るかもって、それにこの島の周辺は遠浅でウニやアワビの養殖、沖合いでマグロの養殖すれば高級食材ばかりでかなり儲かると思わないか?

 本島に時宗にレストラン作らせてそこに卸せば地産地消で話題にもなるしさぁ」

「誠、考古学辞めて、転職して農業や養殖業とかする気なのか?」

「なんでだよ!俺がするわけ無いだろ!誰か雇ってキノコや山菜はアレックスの指導、海産物は雅治に指導させればいいだろ?専門なんだから」

「で?おまえは?」

「俺?発案者?企画料入れば考古学研究費の足しなる。第一、俺が考古学以外のことに時間割く余裕ないよ」

「お前と言う奴は!いつも誰かに丸投げばかりだな?言うのは簡単なんだよ!適当なことばかり言って、お前の都合よくアレックスや雅治、時宗が承諾するかよ!百歩譲ってアレックスと時宗を説き伏せたとしても、雅治は無理だ!雅治にメリットなんかないどころか仕事が増えるだけだろ!

 全部の苦情は俺に降りかかるじゃないか!」

「アレックスはやってもいいみたいだぜ?

 兄貴!雅治を言いくるめてくれよ?

 俺は、時宗を説得するからさぁ。

 兄貴には定期的に高級食材試食として貰えばいいじゃないか?奥さん喜ぶよ?

 だから兄貴から、様子見に時宗と雅治に前ふってみてくれよ?」

「却下だ!自分でしろ!」

「いやぁ~。俺じゃさぁ、彼奴ら話し聞かないからさぁ、話にならないからさ」

「もし俺が仮に言うとお前に発案料は入らなくなるぞ?」

「いゃ、そこは兄貴が何とか~。考古学はお金がかかるんだよ?」

「誠!いい歳して甘いことばかり言うのは辞めろ!採掘費は時宗が出してるだろ」

「いいビジネスの材料転がって居るのになぁ~。

 蝶鮫とかマグロとか最近養殖できるみたいなのになぁ~。

 近くに最適な環境と最適な知識人居るのに勿体ないなぁ。

 トリフなんて黒いダイアモンドだよ?

 もし人工栽培成功すれば儲かると思うけどなぁ」

「誠。ここは、誰の所有地かな?

 俺達が勝手にそんなこと出来る権利が有るわけ無いだろ!」

「兄貴!トリフ食べたくない?キャビアは?アワビにウニ、マグロに松茸思う存分タダで手にはいるチャンスなのに。

 それに俺達と時宗の仲だ!その辺は何とかなるさ」

「………トリフ………キャビア……松茸……いや!この悪魔の声に騙されんぞ!却下だ!」

「ああ、確かにこの山は秋には松茸かなりとれますよ?秋はリゾート開発部で松茸パーティしてますから」と三鷹は無意識に誠の後押しをする。

「!!リゾート開発部ってそんな恩恵受けてるの?」

「まあリクレーションは海洋開発部といつも合同ですからリゾート開発部だけでないですがね。山の幸、海の幸、温泉とこの島の恩恵はかなり2部門が堪能させて頂いてます。時々考古学研究部もご一緒しますよね?」と誠にいう。

「誠!お前だって散々この島の恩恵堪能してるじゃないか!」

 するとそこにアレックスがやって来て「トリフ探すにはワンちゃん必要だよ?

 ブタさんでも良いけどブタさんは見つけると食べちゃうからね。

 この島に人命救助犬を兼ねたワンちゃん飼おうよ?犬ぞりとしても働いてくれるような優秀なワンちゃんを」と話に入る。


 唯野が悪魔の囁きに心惑わされている頃。



3. They was found unharmed.


挿絵(By みてみん)


 齋藤達は、何とか積雪の少ないアスファルト舗装してある道路を使って山の麓の入口まで来た。

「ここからは車では無理だね。スキー履いて進もう。

 もし万が一の為、医療品スノーモービルに乗せて置いて」と齋藤が言う。

「こんなに雪積もって居ると流石のシャーロットも臭いわかんないかな?取り敢えず凍傷になるといけないから靴履こうね。レインコートも羽織った方がいいね」

 玲音は鞄から犬用の衣料品を出す。それを見た廉は苦笑いし、「俺、一足先にスノーモービルでこの辺一周見て来ます。千景は皆と行動供にして、悠貴俺の後ろに乗って人影が無いか?捜してくれ俺は運転で視界狭くなるから。潤!そこの恋する男を制御してくれ」と言う。

「先輩あの御仁を俺にどうにかなるわけ無いでしょ?」と玲音を見ながら潤は言う。

「シャーロットを上手く使えよ」と耳元で囁く。

「取り敢えず、廉君、悠貴君地図で教えた周辺良く見てみて来てくれ。それと無理しないように、進行不可能と思ったら直ぐに引き返してきて」と齋藤は言う。


 廉と悠貴は、漆黒と静寂の暗闇が広がる山裾の積雪上をゆっくりとスノーモービルで洞窟入口を探す。

 15分後、齋藤が言っていた場所に洞窟入口見つける。その入口の少し奥に車が止めてある。

「ここだ!見つけた!」と廉と悠貴は、一安心する。

 洞窟入口にスノーモービルを止めて2人は洞窟に入って行くと、奥から賑やかに話し声がする。廉と悠貴は、間違い無いと確信し、洞窟の奥に進むと話し声は大きくなり、奥から光が見えてきた。


 洞窟内に入ってみると、外からは想像出来ない光景に廉と悠貴は、びっくりする。

 すると唯野が廉達に気づき声をかける。

 廉と悠貴は遭難者御一行の無事を確認し、ほっとしながら近づいて行く。

「皆さん、大丈夫ですか?誰か怪我人は居ますか?」と廉は聞く。

「皆ピンピンしてるよ。ただ積雪が多くてここからは出れなくなってね。心配かけてすまない」と唯野が謝る。

「皆さんがご無事で何より。しかし、よくこんな場所見つけましたね」と廉は周りを見ながら驚く。

「伊集院教授ダメじゃないですか?連絡位しないと、まぁ教授は簡単に死ぬような人では無いから良いですけど周りを捲き込んではダメですよ!」と悠貴が恩師に苦言を言う。

「酷い言われようだな?俺だって不死身なわけではないぞ?」と誠は言い返す。

「悠貴、ここに居て。俺は齋藤先輩達に無事伝えてくるよ」と廉は悠貴を残しまた洞窟から出て行く。


 廉は齋藤の所まで戻り皆無事だと、報告し、齋藤が本社や藤堂等の関係者に無事発見されたと報告する。


 その一報は、時宗達にも届く。

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