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Nostalgia - 追憶 -  作者: 天野 花梨
The disaster occurred on their way home
31/40

Heaven's Gate

1. little known hot spring.


 誠は、狭い入口を少し進んで行くと道は左側に曲がりその先に光を感じた。

(ん?もう抜けたのか?)

 光の場所に出て見ると、そこはかなり広く拓けた場所で高くそびえる天井は抜けていたが、そこには木々の枝が幾重にも覆い被さっていた。

 その隙間を太陽光は 木漏れ陽となって天井から降り注ぎ夕暮れ時でも灯り無しでも見渡せるほど明るかった。


 その空間には80cm幅位の川が中央を分割するように流れ途中から地下に潜っていた。

 山側の岩壁付近には数ヵ所から温泉が吹き出して湯気がたち空間を暖めて居るみたいだ。肌を刺す様に寒い外気温とは明らかに違っており、春先の気温の様な少し肌寒いと言うような気温に感じられた。

 分断された川の向こう側には草花が咲いており、先程見た蝶が何匹か飛んでいた。

(この温度なら数多くの蝶が越冬しても不思議は無いな。)と思いながら辺りを

 見渡すと、川の一部分が分流し滞っている場所があり原泉と交わっているようで湯気がたっていた。川側に近い場所から水温を確めて見ると温泉として丁度よさそうな温度だった。

 来た道と反対側にもまた穴がありそこは先程の穴がとは違い、進んで行くと広くなってまた外へと繋がっていた。

 誠は、そこから唯野達がいる場所に戻った。

 唯野達は真っ直ぐ誠の入った入口を心配そうに見ていた。


「兄貴!」と後ろから唯野に声をかけると一同がびっくりして振り返る。

「え?誠?何処から湧いてでた?お前この中に入って行ったよな?」


 誠は、苦笑しながら洞窟内の様子を説明をする。


「ここの温泉なら広い空間内は温かいし、景色もいいしで良いのでは?こっちからなら車で手前までいけるよ」といいながら一行を案内しながら連れて行く。

 洞窟の中に入り一行は感嘆する。

「なんか外側からの想像とはかなり違うな。花が咲き、川魚もいるのか?まるで楽園だな」

「ここの淀みはいい温度の温泉になっているよ。しかし、これは明らかに自然に出来た温泉とは思えないな?齋藤が作ったのか?」と誠は言う。

「淀みの部分はきちんと岩が匹詰められているし、草花もいい感じで生えているもんな」

 唯野も辺りを見ながら言う。

「もしかすると齋藤部長の秘湯のひとつかも知れませんね。事務所近くの温泉は部下達が仕事から帰る前によく使って混み合ってますからね。1人でゆっくり考え事する憩いの場所として島の何ヵ所かに休みの日にコツコツと手を加えて作った秘湯コレクションが有ると前に聞いたことがあります」と三鷹は説明する。

「個人専用の温泉かよ……」と誠は絶句する。

「なんかお前ら……。雅治のマグロといい、誠はウニやアワビ、齋藤は自分専用の温泉と、職務の恩恵受け過ぎてないか?俺には時宗の無理難題ばかりで押し付けられて恩恵らしきもの受けた事なんか無いぞ?不公平過ぎないか?」と唯野が誠に詰め寄る。

「兄貴!さっきも言った様に俺はそんなにウニやアワビ取って食べて無いし、そんなは恩恵は、ここだけで他の発掘場所なんて酷い場所ばかりだよ!

 それより、折角だからさっさと外から薪を集めて、暗くなっても光と暖を取れるようにして、温泉に入りながら持ってきた食べ物と酒でここで休憩しよう」と誠が提案する。

「ラッセルお前酒飲めないから帰り運転しろよ。何も無い場所だから運転できるだろ?」と誠が言う。

「それはいいが帰りの道は知らないぞ?」

「三鷹君がナビゲーターしてくれるよ」

「ここで温泉入って居ると今日は陽がくれるから事務所に泊まりですね。齋藤部長に連絡入れます」

 三鷹は無線で連絡しようとするが繋がらない。

「あれ?繋がりませんね。山の麓過ぎてダメなのかなぁ。事務所に戻ってから連絡しますか」と言って全員この秘湯を堪能することに同意した。

「なら全員で2時間分の薪を集めよう」と言ったがアレックスは辺りの動植物の観察に没頭しており、話すら聞いて居らず他の4人で薪を集めてきた。

 さて温泉を楽しもうと言う頃には、陽が落ちはじめ周りは暗くなって行った。

 雪も降り始めていたが天井の木々が傘となり、洞窟内の温度は外よりもかなり温かく保温性もあり、明かり代わりの焚き火で十分な暖がとれ一行達は雪に全然気が付かなかった。


 こうして時宗と雅治の予想通り一行は齋藤の秘湯コレクションのひとつでくつろいでいた。

 一行は温泉を堪能し、アレックス達が持って来た酒と食べ物とで身も心も暖まった頃に三鷹が「そろそろ事務所に帰りましょう。

 さすがに下山予定時刻を1時間半以上遅くなってます。連絡もとれない状態が続くと齋藤部長が心配されますから」と言って片付けを始める。

「まぁそうだな。いくら早めに下山したとはいえなんやかんやで3時間はここに居たな。宴会の続きは事務所でするか?」

 と唯野も腰をあげ、片付け始める。



2. Heaven's Gate.


 一行は辺りを綺麗に片付け事務所に帰るべく荷物を持って洞窟入口付近においた車の所まで行き愕然と立ち尽くす。


「……………」


 3時間の間に降り積もった雪は50㎝を超えていた。

「なぁ誠……。これいくら四駆でタイヤが大きいジープでもこの雪は流石に車は出せないんじゃないか?」

 唯野が周りを見ながら呆然とし言う。

「雪かきでなんとかなる雪の量でも無さそうだな?」と誠は冷淡に言う。

「俺、雪道なんか運転したことないぞ」

 ラッセルも遠回しに雪の中の運転はしないと言う。

「あの洞窟の中で焚き火していれば凍死はしないよ」とアレックスは他人事のように言う。

「なんとか無線使えないかな?」と三鷹は数m程洞窟入口から雪をかきわけ外に出て何とか電波を拾おうとするが無理だった。


「これは!もしかして……世に言う………【遭難】と言うやつか?」

 唯野は途方に暮れる。

「兄貴、大丈夫だよ。オーストラリアの タスマニア原生地域での迷子よりは生き延びる確率は比較にならない程、高いからさぁ」

「誠…………。あれを基準にしたらどんなことでも確率は低くなるだろうが!

 あれ以上の事が生涯2回も3回もあってたまるか!俺は安全な場所でひっそり数学の研究出来ればそれでいいんだ!」


「だから、あれを乗り越えた俺達だからこそ、大丈夫だよ」

「…………。あの時、俺は蜃気楼か幻か?目の前に【天国の門】が現れたぞ?

 しかし、ろくでも無いことが起こるのは雅治や時宗が居なくても誠が居れば、起こる証明になったな……」


挿絵(By みてみん)


「兄貴、天国に行けるとは限ら無いよ!例え天国に一番近い島の近くでもね。

 後、ろくでも無いことが起きるのは俺達のせいでは無く兄貴が原因かもしれないだろ?」

「!俺は、地獄に行くような行いはしてないぞ!それにお前らと行動しない限りろくでも無い目には会ったことはないぞ」

「人生は、まだ終わって無いんだから残りの人生どう転落するか分からないだろ?」

「!!」

「ユッキーもマコもそこで馬鹿な事を言い争っていても仕方無いよ?取り敢えず洞窟内に戻って暖まろうよ」と珍しく常識的な進言をアレックスが言い、さっさと洞窟の中に引き返していく。

「そうだな。ここに立って居ても仕方無い」とラッセルもアレックスの後を追う。


 こうして、一行は洞窟で一晩過ごす覚悟決めた。



3. Missing person investigations.

挿絵(By みてみん)

 一方、齋藤達は、時宗達のアドバイスから地図を見ながら捜索範囲を相談していた。

「たぶん洞窟内では無線でも、ほぼ電波は届かない。山中でなく麓に温泉が湧き出ている所は数多くあるが洞窟内となると限られる。

 そう考えると……。たぶんあそこだ!しかし、よくあの場所に気づいたもんだな」と齋藤は地図を指さしながら確信をした。

「どうしてですか?」と廉が不思議そうに聞く。

「うん。この場所は登山道として使っている所から少し離れた場所に入口はあるんだけど狭くてなかなか気づきにくいんだよ。

 もう1つ違う場所から、出入口あるんだけどそっちは登山道からはかなり離れているから麓の探索でもしない限り、まず見つけることは無いんだけどなあ~。

 まあ統括長達の予測通り無線が使え無くて温泉にでも入っていると考えると、ここしかないんだよねぇ………」

「洞窟内に温泉はここだけってこと?」と玲音が聞く。

「いや他にも何箇所かあるけど温度がね。低すぎたり、熱すぎたり、快適な温度はなかなかないんだよ。事務所の裏の露天風呂も温度調節してるからね。

 ここの場所も俺がプライベートで楽しむために源泉と川の水を交わる様にして手を施している場所だから水温を上手く調節して快適温度になっているんだよね。

 夏は陽が長いからまだいいけど、この事務所の裏の温泉は、仕事終わりには、ほぼ部下達が使用していてかなり混み合うんだ。この時期に至っては陽が落ちるの早いから待っている時間もないし、そこら辺に温泉わき出ているんだから待ち時間なんてもったい無いからさ。俺は季節よって使い分けている温泉が別にあるんだよ。汗流してデスクワークしたいからね。ここなら真冬でも温泉を快適に楽しめるよ。たけど岩に囲まれて洞窟の様になっているから当然電波は入らないけどね。

 色々な要素から考えるとたぶんここだね。殺風景なのが嫌で花とか植えたけど手入れしてないから珍しい動植物?にあたるかどうかは微妙だけど。大勢で行っても仕方ないから、5人程度で捜索に行こう」と齋藤は決断する。

「そうだね。シャーロットも居るしそんなに人数いらないかもね」と玲音はシャーロットにべったり寄り添っている。


「では、もしもけが人がいた時の応急処置出きる様に俺と廉、悠貴、潤、パンダ、 齋藤先輩とで行きますか?」と千景が提案する。

「シャーロットもちゃんと呼んであげて!」と玲音が抗議する。

「そうだね、けが人が居ると想定してもそのメンバーで十分だ。しかし、積雪で車が出せるかな?途中までは捜索班が行き来していたからアスファルト舗装してある所はジープならなんとか行けると思うけどその奥はなぁ~。途中から歩きになった場合スキー板を持って行った方がいいかもね」

「スノーモービルが2台有ったよね?」

「有るけど1台は調子が良くないんだ」

「潤すぐに直るかどうか見て」

「うん、わかったよ」

「取り敢えず捜索班の人に頼んでいざと言うときのためにヘリポートまでは車が通れる様に雪かきお願いしたほうがいいかもね」

「そうだね。頼んでみるよ。みんな準備に取りかかって!」と齋藤が言うとそれぞれ支度を始めた。


 齋藤は藤堂と須藤に状況とこれからの捜索範囲を伝え、洞窟に向かう準備をする。


 スノーモービルは潤がなんとか使えるように直して2台、車2台で出発することになった。


 悠貴と廉がスノーモービル、千景と潤、齋藤と玲音とシャーロットが車を別け齋藤を先頭に雪道を山の麓の洞窟に向けて出かけていく。

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