Thirteen
1. Secret getaway.
年末の忙しない空港に男2人。
2人とも帽子を深くかぶり1人は黒のサングラス、片方は虹色に反射するサングラスをし、1人はマスク、1人はマフラーで顔半分隠しており、見るからに怪しい雰囲気を醸し出している。
片方の男がキョロキョロしながらもう1人の男に話かける。
「兄貴!不味いよ。ロサンゼルス空港にテロ予告騒動があって安全確認で飛行機は飛ばないかもよ?」
「えっ?ここまで来て何を言うんだよ!何がなんでも飛ばせよ!それがダメなら雅治!お前がビジネスジェット借りて運転しろ!」
「兄貴!無茶言うなよ。空港クローズしてたら着陸出来ないじゃないか?
急に予約無しのレンタルなんてできやしないし、流石に時宗のビジネスジェット借用してたらこっそりと、ここまで来たのに、ばれるだろ?」
「雅治!時宗には、本当にばれて無いんだろうな?」
「あぁ俺は、今日からインフルエンザでお休みさ」
「よく診断書を手に入れたな?」
「俺には、和也と言う無二の親友がいるからな。
【お前が、ここまで病院を大きく出来たのは誰のお陰かな?】と言ったら、素直に出してくれたよ」
「………。雅治……。それは、ほぼ脅迫だぞ?」
「雄大の兄貴こそ大丈夫なのかよ。
10年前は、奥さんに内緒にして居たのがばれて凄い夫婦喧嘩になったんだろ?
奥さんから離婚まで持ち出されてさぁ~」
「今回は、大丈夫だ!アメリカ在住のじいさんの弟の孫が倒れたから見舞いに行くと言ってある」
「それあかの他人じゃないか?そんな理由でよく納得したな?」
「家内はメアリーさんと仲いいから正直に言うと時宗に筒抜けになるだろうが!
それより誠は、どうだまくらかしたんだ?
時宗は騙せても誠はなかなか一筋縄ではいかないだろ?」
「いや、俺は何も言って無いぞ?
俺は、半年位なら海に出てることは日常茶飯事だから2、3日位連絡が付かなくても誠は気にもしないさ。
しかし、ここまで順調に来れたが油断は出来ないよな」と雅治が唯野の座って居る一つ離れた椅子に腰掛けながら言う。
2. First one is ...
「そそ、油断大敵だよ」
茶髪の少年がすっと現れ唯野と雅治の間に座りながら同意する。
2人はその少年を見て急速冷凍された様に固まる。
「玲音……。お前……。何処から湧いて出てきた?」
2人は周りをキョロキョロと見渡しながら聞く。
「酷いなぁ~。一番の愛弟子を置き去りにして2人だけで黙ってメッカの祭典に行こうなんてさ」
「お前、何時から俺の愛弟子になったんだよ!海洋開発部に来る気になったのか?」
「えっ?いやぁ~。
海洋開発部に行くとさぁ~。
流石に親父がさぁ~黙って無いよねぇ……。
あの小言は際限無くうるさいからさぁ~。
俺は、別に行ってもいいんだけどねぇ~。
でもさぁ、絶対に藤堂先輩は敵には出来ないからさ。
残念だよね~」
「なら、数学の研究する気になったのか?」
唯野が身をのり出す。
「いやぁ~。それもね……。
ゆうだい先生の相手するのは楽しいから何時でも付き合うよ?
けどさぁ1人でコツコツと証明っていうのはさぁ~。
どうも俺の性格上、無理っぽい」
玲音は満面の笑みで答える。
「なんだよ」と2人は溜め息をつくが【はっ】と我に返り
「玲音!どうしてここに居る?お前1人か?」
「俺が1人な訳無いじゃん!ちゃんと廉もいるよ」
2人は空港ロビーをまたキョロキョロ見渡すと廉がファーストフードらしき袋と玲音と廉の2人分とおぼしき荷物転がしながら近づいてくる。
3. Second one is .....Third one is ... Next one is ....... Come one after another.
「玲音!自分の荷物位、自分で持てよ!」と怒りながら廉は、3人に近づいてくる。
「どうして………。俺達が此処に居ると?
まさか……。まさか…………。時宗にばれてる?」と唯野が玲音に聞く。
「親父?さぁね?俺は、親父には何も言って無いよ?誰と何処に行くかはね」と玲音は呑気に言う。
廉が「はい、これ熱いうちにどうぞ」と2人に肉まんを渡す。
「あぁどうも」と言って2人は受けとり食べはじめる。
「で、お二人は仲良く揃って何処にお出掛けなのかな?」と唯野が白々しく質問する。
「2人について行くに決まってるじゃん!」と玲音は肉まんを頬張りながら言うと、また見馴れた男が1人現れ「何か美味しそうな物を食べてるね」と顔を出す。
「うわっ」と唯野と雅治はまた驚く。
「齋藤!お前何処から湧いて出た。
なぜここに居る?まさか藤堂も居るのか?」と雅治が叫ぶ。
「いやぁ~。十年ぶりの一大イベントですからね。大先生方について行こうと……。
十碧に言うとなんやかんや煩いから内緒で来ました」と頭をかきながら荷物を横に置き玲音の前に座りながら言う。
廉は、座った齋藤の所にも行き「温かいうちにお一つどうぞと」肉まんを渡す。
「おお!俺のも有るの?ありがとう」と言うや否や背後から
「誰がうるさいんですか!」とまた知った声が響き、齋藤と雅治と唯野は背筋を正しながら固まる。
「あれ?藤堂先輩どうしてここに?
偶然ですね。まぁ先輩も冷めないうちにどうぞ」と廉が肉まんを渡す。
「ありがとうございます。拓哉の様子が2、3ヶ月前からおかしかったのと玲音様の様子もここ数日間、挙動不審だったので見張っていたんですよ!
そしたら昨日拓哉が、俺に内緒で有給休暇申請をごり押しで申請通すわ、廉君も旅行支度してるわで何か有ると踏んだんですよ」といい、齋藤の隣に座り廉からもらった肉まんを食べる。
「……………。藤堂。まさか……お前。時宗に………」と雅治が言いかけると背後から
「あー。いたいた。パンダ!廉!俺を置いて行くなよ!」とまた1人荷物をもった男が現れる。
「千景?なんで?」と廉が驚く。
「親父が加藤さんに偽診断書を出していたから何か有るなと。藤堂先輩の様子も変だったし、つけて来た」といい廉の隣に座り廉の持っている袋から肉まんを取る。
「雅治!お前!やっぱり、詰めが甘いじゃないか!」と唯野は加藤に詰め寄る。
すると、「マーサ!」とロビー全体に響き渡る声で叫ぶ外人が来た。
「えっ?アレックス?後には、ラッセル?」と雅治はたじろく。
「マーサ酷いよ!置いてけぼりなんてさ。俺達も連れて行けよ~。もう情報あげないよ?」と言う。
「アレックス……なんで此処にいると解った?」
「ユッキー博士がチューイの世話を事務員に頼んで居たからさ。何処かに行くんだなと。
この時期にユッキー博士が私用で学園休むのはひとつしか考えられないでしょ?そうなるとマーサと一緒に決まっている」と答える。
「何だよ!兄貴だって詰めが甘いじゃないか!」
「いや、連れて行くわけには行かないだろうが!そうなると誰かに世話頼まないとダメだろう?元を正せば雅治!お前が俺に世話を押し付けたんだろうが!」と喧嘩する。
「なんならさぁ~。チューイ俺が飼ってあげようか?」と玲音が満面の笑みで申し出る。
唯野と雅治とアレックスは玲音を見て苦笑いする。
「いやぁ~流石に玲音君にはねぇ………。もし、そんなことすると時宗から四六時中文句の嵐を起こして、仕事にならないから遠慮するよ」と唯野が言う。
「何でだよ!俺は、ちゃんと世話するのに!」と玲音はふて腐れる。
「いやぁ~そこがな。その度合いが問題なんだよな」と雅治も苦笑いしながら言う。
「あぁ!ラッセル。もしかして……誠に言った?」と雅治はラッセルに詰め寄る。
「ん?あぁ、雅治とロスに行くと言って置いたぞ?」
「……………」
「どんどん人、増えてるねぇ~」と呑気に玲音が言う。
「肉まん足りるかなぁ~」と廉はアレックスとラッセルにも渡し袋を覗く。
千景が「なんで肉まん?」と聞く。
「ん?外寒いし、美味しそうだったから」と廉も呑気に肉まんを食べながら話す。
するとまた1人よく知る人物が現れる。
「雅治!お前は、何でジョージルーカス展といい俺を誘わない!」と誠が姿を現す。
その後から「先輩!俺達もちゃんと誘って下さいよ!」と悠貴と潤が出てくる。
「あー。もうダメだ!」
唯野が天をあおぎ絶望視する。
「何がダメなの?」と玲音が不思議そうに聞く。
4.Star performer appeared.
突如、雅治の携帯が鳴る。
相手はあの男だ。
雅治は、渋々出ると重く鋭い声がする。
「雅治。お前仮病使ったな?
今進行中の業務どうするんだ?
兄貴も兄貴だ!学園ほっぽらかして!
まぁ、それはおいといて。
何故俺を誘わない!」
時宗が電話の先から怒る。
「……………。
誘う誘わないの問題なのかよ?
よく考えても見ろ!
お前を誘うとこっそりじゃ無くなるし、会社の上司が皆集中して有給休暇を取ると業務に差し障るだろうが!
それに最大の理由は、プレミアチケット2枚しか手に入れられなかったんだよ!」と雅治は白状する。
「しかし、飛行機が飛ばないんだろ?
うちのビジネスジェット飛ばすしかロスに行く方法無いぞ?
行きたいなら俺を連れて行くしかないだろ?
今から行ってSTARWARSのプレミア祭と前夜祭をロスで楽しみたいならな」と携帯片手に話ながら真打ちの登場である。
「チケットなら俺が何とかしますよ?」と千景がタブレットを取り出す。
「あぁ、何時からばれてたんだ?」と雅治は溜め息をつきながらぐったり力を落とししベンチに座り込みながら時宗に聞くと
「そりゃあ~。あの映画の続編が公開されると聞いた時からに決まっているだろ?
お前と何年一緒に居るんだよ!
お前の行動はお見通しさ!
まぁしかし、こんなに大勢うちの幹部社員が仮病や有給休暇のごり押しして此処にいるとは思いもよらなかったけどね」と溜め息をつきながら時宗は玲音を見る。
「いいじゃんかよ!空いた時間は好きにしていい約束だろ?って親父も此処にいるのは同罪じゃんか!」
「あっ!統轄長あの仕事はどうされたんですか?」と藤堂が詰め寄る。
「いや、お祭り終ったら片付けるから大丈夫だよ?
それより藤堂君、お母さんの具合悪いからと急遽休み取ってたよね?」
「あ~。
確かに具合は良くないみたいです。
ぎっくり腰で……。
でも私が帰る程ではないみたいなので………」と藤堂はあっさりと言う。
最後の肉まんを廉は時宗に渡す。
「結構、沢山買ったけど丁度ぴったりだったね」と玲音は白々しく空になった袋を見ながら言う。
「チケット11枚取れましたよ。後、13名分のホテルも一緒に取りましたよ」と千景が言う。
「よし、全員揃った事だし、準備万端!前夜祭をしにロスに向かうか?
“Then man your ships, and may the Force be with you.” (船に乗れ!フォースと共にある。)」 と時宗が言う。
飛行機の中で雅治と唯野はこそこそと話しをしている。
「俺達は、絶対に時宗の手のひらの上で踊らされたな……。
しかし、この11人は、何処でどう示し合わせていたんだろ?空港まではあとをつけられて無かったよな?」と密かに反省会をしているのを聞いた伊集院は「こんなわかりやすい事を隠し通す方が神業だよ。
本気で俺達にバレないと思って居たのかよ!それはそれで本物の残念な頭だよな」と呆れかえっていた。
“I should think you Jedi would have more respect for the difference between knowledge and wisdom."( ジェダイには“知識”と“本物の知恵”の違いに敬意を払ってもらいたいんだな。)と玲音が嬉しそうににこやかに雅治に向かってSTARWARSのセリフを言うと
“Everything is proceeding as I have foreseen."( 事はすべて私の予見どおり運んでいる。)と廉も楽しそうに笑いながらセリフを言った。
「俺達の最大の失敗は時宗では無く、あの2人かもなぁ………」




