Coming events cast their shadows before them.-The first half-
1. Coming events cast their shadows before them.
誠、雅治、唯野、齋藤、火山学者の長谷川教授が学園の会議室に集まり神妙な顔をしてデータを見ながら話をしている。
事の発端は船上から探査機操作していた雅治がここ最近あの島付近の地震が多発している事に気付いた。
「ほら、ここ。探査機の撮った映像が揺れて居るだろ?この時、探査機自体は停止しているからこのブレは震動によるものだ。
ほら、また、探査機が揺れて画像が揺れている。初めは探査機が調子が悪いのかと思ったが機体変えても同じ状態が多発しているし、機体を調べても故障は見当たらない。なので不審に思い地震計で海底の震動を調べて見ると、この結果だ」と雅治はモニタに写した画像の説明し、海底の地震計のデータを出す。
「これは、火山性地震ですね。予震と見るのが妥当でしょうね」と長谷川がデータを見ながら言う。
「と言うことは、大規模な噴火か大きな地震が近く起こると言うことか?」と誠が言う。
「一概には言い切れませんが……。でも、前回と前々回の大きな地震のサイクルからすると何時起こっても不思議では無いですね。ただその2回の記録しか無いので本当にそのサイクルなのか疑問では有りますが」
「何時起こるか予想と規模の予測は観測やデータ解析で出来ないのか?」と唯野は聞く。
「火山の噴火の予測は、長年ずっと記録取り続けている火山でも難しいですから………」と長谷川は口を濁しながら言う。
「困ったな、課外授業で生徒を島に送り込んだ時、いざと言う時の為の避難対策が必要となるな。狭い島だから避難で安全が図れるか?と言うことも重要な課題だ」と唯野は腕組んで怪訝な表情をする。
「海底発掘作業も難しいな……。でも、何時起こるかわからないのでは作業を中止や縮小も噴火か大きな地震が起こるまでと言うのも難しい。それに発掘作業が火山活動の引き金になったりする可能性は無いのか?一応大規模に地底掘り返して居るわけだし」と誠は言う。
「それだとメタンハイドレートを採掘した時の噴火や地震の影響も分からないとプロジェクトを進める事もままなりません」と齋藤が言う。
一同が「う~ん」と頭を悩ませる。
「しかし、なんで肝心な時宗がここに居ない?」と唯野が言う。
「なんでも、イギリス、スイス、ベトナム、NYにと出張が入っていて、あちこちしていて中々連絡がとれないみたいだぞ」と誠が言う。
「取り敢えず誠、発掘の規模縮小して安全を最優先に作業しろ。
長谷川教授は過去2回の噴火記録から最悪規模の被害範囲予想と情況のシュミレーション、最小規模の被害範囲予想と情況のシュミレーション割り出してくれ。
齋藤君、それを元に島での避難経路やシェルターの建設を考えてくれ。
雅治は海上、航空を使っての避難経路の選定と海底地震の観測を続けてくれ」と唯野が指示を出す。
「取り敢えずこのデータを使って解析は試みますがデータ量が何せ少なすぎるので……。NYにアイスランドで長年火山性地震を研究していた権威ある教授が居られますから事情話して、このデータの解析をしてもらえれば少しは手掛かりが掴めるかも知れません。
ただ、日本も火山大国で研究は他の国よりは進んで居るはずですから見解は変わらないような気もしますが……」と長谷川が提案をする。
「アイスランド……かぁ」と一斉に唯野、齋藤、誠、雅治が口を揃えてぼやく。
「ん?何か有るんですか?アイスランドに?」と長谷川は不思議そうに聞く。
「イヤ、何、ちょっとな……。長谷川君はその教授とは懇意にしているのか?」と唯野が言う。
「顔見知り程度ですが、こないだ赴任されたラッセル氏とは懇意にされて居るのでは無いですかね?専門誌に一緒に写った写真が載ってましたよ」
「ラッセル………アイスランド…………」また4人は顔を見合わす。
「雅治!お前の出番だ!」と唯野が丸投げする。
「兄貴、なんでも俺に投げるなよ!今は誠の方が一緒に仕事して居る時間が多いだろう!」と雅治が言うと、誠は、「ラッセル氏は雅治の言うことは、何でも聞くからな適任だな」と誠は雅治に投げ返す。
「う~ん。また、謎解き付き合わなければ行けないじゃないか!あっ!その謎解きは兄貴が付き合ってやれよ?そうだ!それがいい。ラッセルもそれなら喜ぶ。何せ兄貴はラッセルの憧れの権威ある数学者様だからな」と雅治は名案だと言わんばかりに言う。
「おい、雅治!俺は忙しいんだよ!」
「兄貴、それは誰も同じだ。この櫻グループに居て暇な奴なんて居ねーよ」と雅治が言う。
「決まりだな」と誠が言う。
「また、来週、今日の事を踏まえて話しをしよう。ラッセル氏も参加出来るならしてもらってな。時宗も捕まれば召集かける」と渋々唯野は取りまとめ会議は終了した。
2. keeper .
雅治はラッセルの部屋に向かった。
準備室の前迄やって来てドアの向こう側が騒がしい。
(う~ん………。嫌な予感しかしない。………今日は辞めて置くか?)と悩んで居るとドアが開いた。
「Oh!マーサ!会いたかったね!」と、アレックスが雅治を見るなり飛び付きバグしてきた。
「アレックス!辞めろ!俺は男と抱き合う趣味はない」と突き放す。
「俺だってそんな趣味は無いけどさぁ~。
友人とのバグは当たり前だよ?」とアレックスは不服そうに言う。
「あぁ、お前の母国ではそうだがここ日本ではそう言う風習はない。
それよりラッセル、頼みが有るんだ」と部屋に入ってラッセルに向き合い言う。
「雅治から頼みとは珍しいな。今度は何の謎解きをしようか?」
「その謎解きは兄貴が引き受けてくれるから兄貴としろ、ちゃんと話通して有るから存分に遊んで貰え」
「あの忙しい唯野博士が相手してくれるのか?」
「ああ。数学でも、謎々でも好きに遊んで貰え。だがその前に火山学者のホフマン博士を紹介しろ。交友関係有るんだろ?」
「有るには有るが、ホフマン博士ならアレックスの方が懇意にしているよ」
「ん?アレックスの友人か?
あっそれより、ラッセル!俺は兄貴より、多忙なんだ。そこ取り違えるなよ!」と雅治はラッセルに釘をさす。
「ホー君とは俺は幼馴染みだよ!」とアレックスは俺に頼めと言わんばかりに主張する。
「それなら話しは早い。ホフマン博士を紹介しろ。会って話しがしたいと」
「良いけど……。俺とは遊んでくれないのか?」と話して居ると奥からアレックスの肩に1羽の鳥が飛んで来た。
「マーサ!マーサ!」と鳴く。
「こいつか?先程の騒ぎの原因は……」と雅治はマジマジと鳥を見るとアレックスが笑顔で「『cockatoo』だよ?気に入った?
名前は『チューイ』。
マーサへのプレゼントだよ」とアレックスは笑顔で言う。
「えっ?アレックス俺に、このオカメインコを飼えというのか?
アホなこと言うなよ。
1年の半分は海の上に居て二ヶ月に1回は海外に出掛けて居るんだぞ?家族も居ないのに飼えるわけないだろ?」
「チューイは賢いから海の上でも、大丈夫だよ?マーサの肩腕になってくれるよ?」
『マーサ!マーサ』とチューイが鳴く。
「いや、アレックス。このオカメインコを鳥かごに入れたままだとストレスで死ぬだろ?」
「大丈夫だよ?鳥かご入れなくても逃げはしないからほら」とチューイを雅治の方に放つと今度は雅治の肩に乗り『マーサ!』と鳴く。
「アレックス、お前の気持ちはありがたいがこればっかりは困るぞ?
ん?もしかして、この『チューイ』って『チューバッカ』から取ったのか?」
「そうだよ?マーサの片腕になるようにね」
「いやいや、それは無理だから。職務上、連れ回す事は、出来ないから。しかし、何処から手に入れたんだ?」と肩に乗ったチューイを見ながら雅治は困り果てる。
「マーサ!俺マーサの為に折角苦労して手に入れたんだからさぁ~。もう少し喜んでくれても良いのにぃ。酷いよ」とアレックスは拗ねる。
「アレックス。生き物のプレゼント程、相手にとって困る物はないぞ?
船には俺以外の多くの部下が居るから中には鳥アレルギー有る奴も居るだろ?
それにあちこち連れ回してチューイが鳥インフルエンザにかかりでもしたらそれこそ船内は大変な事になる」と雅治は説明していると『マーサ!マーサ』とチューイが鳴く。
「…………」
結局、雅治はホフマン博士とのアポイトメントの代わりにチューイの世話係りを探す羽目になった。
チューイは雅治を気に入ったのか?肩に乗ったまま大人しくしているし、雅治が動き回っても離れようとはしない。ましてや飛んで逃げることもなかった。
雅治は何時もの様に誠の部屋に相談に行く。
誠は雅治の肩のオカメインコを見て「トゥッカーノ思い出すな」と笑う。
「時宗に押し付けるか?」と雅治は言うが、誠が「時宗の所は、まずいだろ?玲音君が居るぞ?あの子に動物は………」
「あぁ、そうだな?なら、齋藤に押し付けるか?あいつなら動物好きそうだし環境的にも……」
「奴も、定例会や、現地調査で移動多いからなぁ~。ダメだろ?」
「あー、もう!何処かに滅多に出歩かず世話係りに困らない奴が居ないかな?」と雅治は椅子に座りチューイを机の上に移動させながらいう。
2人は【はっ】ととある人物が思い浮かぶ。
誠と雅治は目を合わせて「1人だけ居るな?」と言う。
「なんで俺が、オカメインコの世話をしなきゃならん?」と校長室にチューイを連れた雅治を見ながら唯野が怒る。
「兄貴、子供達喜ぶよ?」
「初等科の飼育動物にするのか?」
「いや。兄貴のペットに」
「…………。子供関係無いじゃないか!」
「玲音の相手になるから、仕事捗るよ?」
「捗る所か顔出す回数が増えるのが目に見えて分かるわ!」
「兄貴しかあちこち連れ回さず、世話が出来る人間は居ないんだからさぁ~。チューイの面倒見てよ」
『アニキ!』とチューイが鳴く。それを聞いた唯野はマジマジと雅治とオカメインコを見る。
「しかし、そのオカメインコを見てるとトゥッカーノの思い出すな。あぁ、そうだ!」
「兄貴、俺もそれ考えたがダメだよ?」
「まだ何も………」
「時宗には玲音が居るから……。玲音は動物与えると溺愛し過ぎるからな。その依存度と心が繊細過ぎて愛玩動物の死を乗り越えれる強さは無いのは分かるからな。時宗には預けられないよ」
「…………………」頭を抱えて唯野は悩む。
結局、唯野が折れて預り面倒見ることになった。
「雅治!アレックスによく言っておけよ!!このチューイだけだからな!俺は他の動物は面倒見ないからな!間違っても【インディアナ】と名付けた犬とか絶対に連れて来るなよ!」と怒りながら言う。
「大丈夫だよ?【インディアナ】と言う犬なら誠が喜んで世話するさ」と雅治は言う。
「そう言う問題じゃない!!」と唯野は怒る。
3. Simulation.
その週末。
また、あの面々とラッセル、アレックスも加わり火山噴火対策協議を始めていた。
長谷川教授が説明する。
「まず、過去に起きたであろうと推測される最大規模の噴火ですが、この山のここの部分に平地が有りますよね?
昔はもっと標高の高い山だったのが噴火で頂上の一部が吹き飛びこのような形となったと推測されます。
これが1度の噴火でこれだけの部分が吹き飛んだとすると威力はかなりの物で大変な惨事だったと推測出来ます。
もし、次回この規模の噴火が起これば島と発掘現場付近は………。正直かなり危険圏内に入ります。
地震もこの島付近にプレートが通って居るためその地震がプレート地震に誘発されての噴火か否かでも被害は変わってきます。
最悪をシュミレートすると、噴火後、島全体に噴石が降り注ぎ溶岩流が凄い勢いで島全体に流れ出ます。
噴火がプレート地震の一部だった場合、辺りの海域での震動で津波が発生し、その津波に平地部はほぼ飲み込まれる可能性が高いです。そうなると空路も海上も使用不可能かと。
最小規模で有れば噴石と溶岩流位の被害で噴火の早い段階で海上からの離島か真反対の平地部に避難することでしのげると思われます。ただ船が、接岸出来るアリーナが火山の麓なのが問題となります」と長谷川は見解を説明する。
「……………」
一同沈黙が続く。
「一応、アレックスからホフマン博士のアポイトメント取れたので、誰かがこの資料を持って説明と意見ききに行くか?」と雅治が説明すると。
「観測データ取った雅治、お前が行かないでどうする?あと、島をよく知ってる齋藤君だろ?」と唯野が言う。
「マーサ行くなら俺も行こうか?」とアレックスは満面の笑みで言うが唯野が「アレックス、講義と時宗の頼まれた研究データどうするんだ?まだだろう?」と釘をさす。
「トッキー居ないし……。研究生にデータ観測は任せて居るし~」とアレックスが言うが雅治が一言。
「チューイは兄貴の傍に換わったばかりでストレスで病気になるかも知れないからアレックスお前居ないと兄貴が困るぞ?」
雅治は、遠回しについて来なくて良いよと匂わす。
「チューイって??」と齋藤が聞く。
唯野が「こいつだよ」と雅治の肩に居るオカメインコを指差す。
齋藤は見るなり「かわいいなぁ~」と興味を示すと唯野はつかさず「齋藤君!飼うか?」と言う。
するとチューイが、雅治の肩から唯野の肩に移り「兄貴、兄貴!」と鳴く。
「兄貴、チューイが勝手に譲るなと言って居るぞ」と雅治は笑う。
齋藤はその様子を見て、「かなり賢いですね~。シャーロットちゃん顔負けかもなぁ~」としみじみと言う。
「なんだ?シャーロットって??」ってと誠が聞く。
「聞いて無いですか?前に玲音君が一時的に預かったゴールデンレトリバーです。
かなり賢い子で玲音君はじめ、千景君やあの十碧まで魅了した犬です」
「よく、返す時に玲音は、ごねなかったな?」と雅治は不思議そうに言う。
「廉君がなだめていましたから。
でも玲音君は、世話してた三日間は、片時も離れず独りぼっちは可哀想だからと大学やバイトまで休んで統轄長に呼び出され怒られたとか聞いてますよ」
「兄貴。玲音君来たときは、籠から出してはダメだぞ。玲音君帰らなくなるぞ?そう言えばトゥッカーノ時も連れて帰ればとか言ってたよな?」と誠が言う。
「あぁ。もう面倒くさい………。アレックス!もう2度と、この学園に動物を持ち込むなよ!」
「ユッキー俺、生物学者だよ?動物研究しないで何研究するのさ?」
「植物にしておけ!」




