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Nostalgia - 追憶 -  作者: 天野 花梨
You are my friend, don't ever forget
19/40

Just follow along with me my friend.

1. Just follow along with me my friend.


 唯野と誠と雅治の3人が料亭に現れる。

挿絵(By みてみん)

 3人は常連客の様で何も言わなくても一番奥の個室に案内される。

 それから3人は各々上着を脱ぎ、部屋の出入口にハンガーで吊り下げ、鞄を起きネクタイ緩めながらそれぞれ席に着く。

「なんか兄貴とここに来るの久しぶりな気分だ。あの時宗の隠居騒動以来かな?取り敢えずビールでいいか?」と喋りながら誠は品書きを見ながら適当に料理と酒を注文をする。

「お前らが、飲み歩き過ぎなんだよ!そうそう付き合えるかよ!

 しかし、時宗が居ないと俺の世界は平和だな~。で奴は一体今どこに居るんだ?」と唯野はおしぼりで手を拭きながら聞く。

「ん?ドイツだよ。半年程、玲音君と廉君を連れて行ってる」と誠もおしぼりで手を拭きながらが答える。

「半年はこの平和が確保されるのかぁ~。

 時宗、もう少し海外を拠点にして動けば良いのになぁ。

 ん?それはそうと、あの二人は司法試験受けるんじゃ無かったのか?ドイツ行って受けれるのか?」と唯野も酒のリストを見ながら言う。

「時宗はドイツの後はイギリス、ベトナムとまわる見たいだ。だから1年近くは居ないじゃ無いかな?

 でも、兄貴と違って俺達は定例会で2ヶ月に1回は必ず顔会わすからなぁ~。日本に居ようと居まいと変わらねぇなぁ。それに時宗は何処からでも思いつきで電話かけて来るよな。別段面倒な事でなければ歓迎なんだがなぁ……。3回に1回は振り回されるからなぁ~。

 廉君達は、試験日前に一時帰国して司法試験受けるらしいよ」と誠が時宗のスケジュールを説明する。

 するとそこに注文した酒と料理が出て来て3人は乾杯をし、宴が始まる。

「しかしなんで、試験前の大事な時期に2人を連れて行くのかね?勉強もままにならんだろ?可哀想に……。まぁ、あの2人の実力なら国家試験くらいは大丈夫だと思うけどな」と唯野は美味しそうに酒がすすむ。

「藤堂君が足の骨折って時宗に同行出来ないからなのと時宗はドイツ語が出来ないから2人を留学と通訳を兼ねて連れていく事になった見たいだが、こないだ廉君が発作起こしてからは玲音君が、ナーバスになってドイツ留学猛反対したらしいけど、本人の希望で行くことになったとか」と誠も酒がすすむ。

「誠、日本語の使い方間違っているぞ?」

「え?」

「時宗は【ドイツ語が出来ない】ではなくて【日本語と英語しか出来ない】が正解だ。誠の言い方だと他にも語学が堪能で何ヵ国語か話せるように聴こえる」と唯野はうんちくを言いながら誠に酌をする。

「どうも。うむ、語学堪能なのはあの2人だけだなぁ~。俺の知り合いでは」と誠は唯野に酌を返す。

「しかし、良かったな?雅治。玲音君の核弾頭が発射しなくて」と唯野は雅治に酌をしながら言う。

「うむ。まぁ、色々必死で根回ししたし、かなり玲音に謝り倒したからな」と物静かに雅治は答える。

「畏れ多くも、あの核弾頭発射スイッチの上に手を置く寸前まで行かせたあのぐうたら社員は?」と誠が聞く。

「出社しない。連絡付かない。反省も言って来ない無いからドイツ行く前に解雇したさ。それもあって玲音の怒りは鎮まったんだよ」

「時宗も、問題山積だな。しかし時宗、あれだけ仕事で世界中を回って居るのに【世界遺産巡り】には寄って行かないんだろ?ついでに寄ってくれば良いのに、なんで俺達を巻き込むかな?1人旅していた時でも、世界遺産には行って無いんだろ?」と唯野は不思議そうに言いながら、つまみの追加を注文する。

「ああ見えても、時宗は仕事と遊びは、きっちり別けているからなぁ。それに【世界遺産巡り】は何故か俺達と一緒のライフワークと決めて居るみたいで、俺達みんな揃って世界遺産巡り制覇するとか言ってたからなぁ~。

 別に俺達、世界遺産に別段特別に興味や思い入れは無いんだがなぁ。どうしてこうなった?」と誠は首を傾げる。

「ありがた迷惑な話だ。時宗も悪い奴では無いんだがなぁ~。

 いや、いい奴の部類には入るんだがなぁ。あの思い付きで人の都合を考えず否応なく巻き込む事さえ辞めてくれればなぁ~。

 しかも、本人は良いことしてると勘違いが痛いよな。

 ん?なんだ?雅治。今日は、やけに大人しいな?」と唯野は雅治に酌をする。



2.legal circles.


「俺のアキレス腱………。なんで法曹界なんか目指すかなぁ~。彼処には正義なんぞないぞ?」とあまり美味しそうに酒が進んでいない雅治がふさぎながら言う。

「雅治、なんでお前そんなに法曹界を嫌うんだ?一番法曹界に近い人間なのに。

 弁護士は確かに顧客の利益を優先させるが検事や裁判官には正義はあるだろ?」と唯野は不思議そうに聞く。

「兄貴、裁判官は法律に則って罰を下すだけで、その証拠や自白が真実か自ら立証し集めた証言を元に審議しないだろ?

 検事だって警察が調べた証拠や自白を本人から事実確認だけで検事が調べるわきけではないだろ?でっち上げられた又は、強要された証言や虚偽の証拠かもしれないじゃないか?日本では起訴されると99.9%有罪になる。 その数字の意味分かるか?

 検察は有罪にするために警察に証拠を集めるを指示し、集められた証拠を基に被疑者から取り調べる。しかし、集められた証拠を検事自身がいちいち事細かく【真実か?】なんて裏付けとって居るわけ無いし、証拠が弱いと思ったら『疑わしきは罰せず』と言って起訴しないんだぞ?一度不起訴が確定すると後から確実な証拠が出てきても一度棄却された事件では、もう罪には問えない。 一事不再理が適用される。

 反対に警察の証拠が虚偽の物でも検察官がそれを信用し起訴すれば冤罪だって起こる。何せ起訴されれば、無実になる可能性は0.1%だ。

 裁判官は、検察から提出された資料に基づき、弁護士の言い分と照らし合わせて机上で法律に則って事象を判断するだけだ」と言いながら雅治はがんがん酒を呑みほす。

「まぁ、それはそうかも知れないが検事が警察からの証拠の全部を裏付けを現場や検証を事細かくいちいちしてたら仕事が進まないだろ?雅治、ピッチ落とせよ?俺より先に酔いつぶれるなよ!お前、酒癖いい方ではないんだからな!」と唯野は雅治から酒を取り上げる。

「雅治は、昔幼い頃、親父さんが弁護した被疑者が無罪放免になった後に、親父さんがふとしたきっかけで新たな事実に気付いて無実ではなく真犯人だったと判明したことを両親が話しているのを聞いてショックうけたんですよ。

 自分の両親は正義の味方だと信じて居たのに、悪人の言うことでも善人と信じて弁護するのが仕事だと。お金を貰って依頼者の味方になって闘う職業だと知って以来、嫌ってますよ」と誠は説明しながら酒の追加を注文する。

「弁護士なんてお金で悪人を善人に魅せるよう法律に則って口沿いするだけだ。あの両天秤はお金で傾く。

 饒舌な話術で、法律を上手く解釈させ、嘘でも本当のように錯覚させ検事や裁判官を言いくるめればいい。

 有能な弁護士とはどれだけ雄弁で法律に精通しているかの勝負だろ?そこに正義はあるのか?」と雅治の法曹界批判は続く。

「まぁ、それを言うなら法律を知っている者がこの日本を掴むのかぁ~。法治国家なんだからそれぞれの正義に託すしかないだろ?

 しかし、まだ雅治は廉君を諦めてないのか?」


 "There is no such word as " Sometimes you just have to give up " in my dictionary."

(俺の辞書に【諦めが肝心】という言葉はない。)

「ただ、廉が法曹界に興味があるというから、仕方無いだろ?ちゃんとその手助けはしてやったさ」

「何をしたんだ?」

「藤堂にしっかり恩を売ってドイツに行ったら司法試験まで試験対策に付き合う様に確約させたさ。あいつは弁護士の仕事こそしてないが国家試験もストレートで合格してるし、法律の知識は半端無いからな。

 奴は弁護士としてはうちの親父より話術も法の知識も上だよ。経験が無いだけだ。

 なんで時宗が藤堂を顧問弁護士として雇って無いのかが不思議なくらいだ」と雅治は面白く無さそうに言う。



3.Which came first, the chicken or the egg?


「確かに藤堂と齋藤はうちの学園卒業者で優秀者の歴代1,2を争うからな。対抗できるのは、まだ卒業してない玲音君や廉君、千景君くらいだろう」と唯野は言う。

「正直な所、齋藤君と藤堂君とではどっちが優秀?」

 誠が興味津々に聞く。

「玲音と廉どっちが優秀なのかと聞くようなもんだよ!」と雅治は酒を呑みながら言う。

「う~ん、難しいな…。俺と雅治なら明白なのにな~」

「ほんのちょっとの差だっただけじゃないか!」

「確かにお前ら3人は、ほんの少しの差で順位決まってたよな?でも、時宗の英語を外せば学力は誠といい勝負だろ?

 運動神経は誠は雅治には勝てないしな。

 人間を順位で並べるのは難しい事なんだよ」

「兄貴は結局、玲音君達を数学の世界に引き込むの諦めたのか?」

「あぁ。まだ未練あるが、あの2人は時宗以上に頑固な上に好奇心旺盛だ。しかも怒らすと時宗以上だぞ?

 あの学園で騒ぎを起こした回数でいくとは騒ぎの良し悪しは別として歴代一位はぶっちぎりで玲音君だ。校長室に入り浸るのもお前らの次に多いのは玲音君だからなぁ………」

「まだ、顔出しているのか?」

 雅治は箸を止め唯野を見る。

「あぁ、暇さえあればな。まぁ研修期間に入ってからは、かなり減ったが大学に来ると必ず顔出すぞ。

 本人は挨拶として日課にしてるのでは無いか?まぁ、暇な時はそれはそれで楽しいが忙しい時は、悪魔に見えるな」

 溜め息をつきながら唯野は言う。

「そうか、玲音にあの場所を乗っ取られない様に俺達も、もっと足運ばないとな!誠」

 雅治は誠の肩を叩く。

「そうだなぁー」と誠は呑気な返答をする。

「お前ら!彼処は俺の聖地だ!汚すんじゃない!!」と唯野は怒る。

「正直な所、教育者として兄貴から見てあの2人は、グループのしがらみがなければ、何の才能を伸ばしてやりたい?」と誠はまた興味を示す。。

「誠、それは、鶏が先か卵が先かと言う論議になる」

「ん?」と誠と雅治の2人が唯野の言葉に注目する。

「玲音君達の語学の才能はグループのおかげと言っていい。それぞれの親がグループの仕事で世界中を連れ回して培った才能だ。玲音君のあの性格も両親の仕事の影響と言っていい。

 この学園も廉君も全てグループに関連している。そのグループを排除して何処まで玲音君の才能が引き出せるか?

 下手すると玲音君と廉君は一緒に居ないかもしれない。その論議の解答は誰が導き出せる?」

「なるほど」

挿絵(By みてみん)

「でも、正直どちらか数学者にしたいなぁ~」

「廉、俺の右腕にしたいなぁ~」

「玲音君考古学者になりたいと折角言ってくれたのになぁ~。惜しすぎる!」

 3人はその後も時宗の話題で酔い潰れるまで飲み続けた。

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