A man has free choice to begin love but not to end it.
1. You look depressed these days.
学園考古学準備室
「悠貴!この資料を………悠貴?」
「あっ、すいません。教授何ですか?」
「最近、元気無いが何処か悪いのか?
あっお前、また、なんか変な物でも食べたんだろ!」
「なんでですか?そんなことしませんよ!」
「でもこの前、お前発掘現場付近にウニやアワビを見つけて取り放題採って食べ過ぎて腹壊してたよな?」
「え?なんで?教授が知ってるの??体調不良としか言って無かったですよね?」
「雅治がウニやアワビ等多少は取るのは構わないが大量に毎日の様に生徒達が採ってしまうと、生態系変わるから止めろ、特に悠貴は量が半端ない。他の生徒達はせいぜい5つ位だが悠貴はその5倍以上を毎日採っていると言われて居て注意しようと思ったら天罰下っていたからな。
で、今回は何やらかしたんだ?」
「何もしてませんよ!」
「そうか?まぁいい。この資料調べてくれないか?」
「はい、分かりました」
誠は、悠貴の後姿を見ながら
(やっぱり、何時もと違って元気ないな?おかしいなぁ。こないだまではかなり元気よかったんだがなぁ~。)と不審に思いつつ誠仕事を続ける。
2. Gossip.
次の日、島での発掘作業終了後。
生徒達が何人かがホテルロビーの片隅に集まり写真を見ながら話して居るのを誠が通りかかり生徒達の会話を耳にする。
「悠貴の奴、この車は何処から調達したんだ?」
「そりゃぁ~。あの御曹司に頼んで借りたんだろ?でも凄い車だよな?いくらするんだろ?いいなぁ俺も1度でいいからこんな車を運転してみたいなぁ~」
「まぁ、相手が樹里亜ならこの位の車を用意しないとなぁ。今をときめくテレビ局美人アナウンサーだからな。
しかし、この2人が付き合って居るとはなぁ~意外だ。でも、杏ちゃんは、可愛そうだよな?二股かけられて居たってことだろ?」
「まぁ元々悠貴に猛烈に水嶋がアタックしていたけどさぁ~。でも樹里亜と二股とはね」
誠は生徒の傍に行って「どういう事なの?」
「あぁぁ、教授なんでも………」
「あまりいい噂ではないよな?どういう事か教えてくれないか?」
噂をしていた、生徒は顔を見合わせ何枚かの写真を差し出す。
その写真は悠貴がテレビ局前に高級スポーツカーから降りて樹里亜をエスコートしている写真や夜の公園を2人で歩いて居る写真、2人で高級レストランに入る写真だった。
「なんでまた、こんな写真が?」
「たまたま、テレビ局に報道志望の奴が研修行っていたら、悠貴がデートを兼ねて樹里亜に頼んでテレビ局見学に来て熱愛ぶりを振り撒いていたから少し付けたみたいですよ」
「ふーん悠貴がねぇ~。でも、樹里亜君とは考古学研究会の頃から一緒にいた仲間だろ?」
「教授、その仲間が、わざわざ高級スポーツカー用意します?そのレストランだって気合い入れたデートで無きゃ行きませんよ?いくらお金がかかるか、学生には高級過ぎますよ?それに食事後、夜の公園の2人きりの散歩とか」
「そうだな?あの2人がねぇ~。しかし、悠貴は最近水嶋君と付き合い始めたと私は、聞いていたんだがなぁ?」
「二股ですよ。その写真が動かぬ証拠です」
「その写真貰える?」
「え?まぁいいですけど。俺達が教授に言ったとかは………」
「あぁ、悠貴には言わないよ」
「危険を伴う発掘現場であまりチームワーク崩す出来事は事故になりかね無いからね」
「はい」
「それと、この事はあまり噂にしてやらないでくれるかい?水嶋君も傷つくだろ?女性を悲しませる様な噂はしない方がいい」
「すいません」
「まぁ君達が謝ることでも無いけどね」と写真を持って誠は生徒達から去って行く。
「誠!誠!」
エレベーターに乗ろうとすると背後から聞き慣れた声がする。
「ん?雅治か?なんだ、また苦情か?それとも時宗の愚痴か?廉君はいい加減諦めろよ!」
「廉は簡単に諦められるかよ?
まぁ、そんなことより時間が出来たから飲みに行こうぜ」
「廉君はそんなことなのか?」
「バカか?そんなわけ有るかよ!」
「お前が言ったんだが?」
「ん?なんだ。その写真」
雅治は誠から写真を奪い見ながら口笛を吹く。
「ガキだと思っていたが、悠貴の奴やるな」
「まぁここではなんだ。飲みに行くか?」
「そう、こなくては。何処行く?」
「何時ものところでいいだろ?俺は荷物置いて来るよ」
「あぁ待ってるよ」
ホテルのラウンジ
「ウニやアワビ食い過ぎてお腹下した奴でもスポーツカーで女性をエスコートとはな」
「う~ん、悠貴はそんな洒落た奴では無いんだがなぁ?それに、その車、藤堂君のだろ?時宗が玲音君達に車を買い与えるとは思えないからな」
「あぁ、免許取るのもあぶないとか愚痴って居たくらいだから玲音や廉の物ではないな?
自分は親父の猛反対受けても飛行機の免許まで取ったのにな。親バカだよな」
「あ~。あの免許は本当に面倒くさかったな」
「雅治、お前が時宗の前で飛行機の免許取りにアメリカに行くと言わなければあんな騒ぎにならなかったんだろ?」
「黙って行くとばれた時、それ以上に面倒くさいだろうが!
たかが親父が入院して5日程黙って帰国した時も、『なんで雅治だけが1人帰国しているんだよ。俺達にも相談してくれてもいいんじゃ無いか?』って。相談してどうなるんだよ?親父の見舞いだぞ?そんな悠長に構える位なら帰らねーよ」
「お前が太陽の塔とかの写真見せるからだろ?あの後、『誠!俺達も太陽の塔見に行こうぜ。』と訳の分からない事を2ヶ月も言い続けたんだぞ。なんでイギリスから日本にわざわざ見に行く必要性があるんだよ?卒業して帰国後に行けば良い話しだろ?無くなる訳でも無いのに…」
『あいつだけは今も昔も理解出来ないよな』と2人、口を揃えて言う。
「しかし、悠貴と樹里亜の組合せは意外だな?樹里亜も時宗の姉ちゃんの娘だけ有ってかなりの強者だぞ?」
「そうだよな?どう考えても変なんだ。
2、3週間前に悠貴から『教授。俺、杏ちゃんと付き合おうと思うんだけど良いかな?』と相談受けていたんだよな。
凄い恥ずかしそうにでも、嬉しそうに」
「誠はなんと答えたんだ?」
「ん?悠貴の気持ちが真剣ならいいんじゃ無いか?でも、発掘現場や研究室にはそう言う気持ちを持ち込むなよ?」と言ったら。
「『うん。真剣か?と問いつめられると少し躊躇うけど杏ちゃんが自分に一生懸命向いてくれているからさ。それに答えて見ようかと思うんだ。』と言っていたんだよな。ちょっと
"Fanned fires and forced love never did well."
(煽られた火と強いられた愛はうまくいったことがない。)と言う言葉が正直よぎったんだけどな」
「誠は慎重過ぎなんだよ。
"Tis better to have loved and lost than never to have loved at all."
(失恋でも恋しないよリまし。)と言う言葉が有るくらいだ!悠貴は、まだ若いし恋して成長していくんじゃないか?」
「雅治は軽率過ぎだけどな!」
「何でだよ!俺は恋愛で揉め事や騒動を起こした事は1度も無いぞ!
時宗なんか駆け落ち騒動起こすわ、失敗すると会社に辞表出すわ。しかも相手の両親にグループの事は全く知らせずに強引に結婚したじゃないか?
あいつ結局、両親の許可でないまま先に結婚式は当人の2人だけでイギリスの教会で挙げたんだろ?その後、双方の両親が折れて披露宴盛大にやったけどなぁ」
「雅治、時宗を基準にすると世界中の全てがおかしくなるだろうが!」
「まぁそうだなぁ。しかし、俺はまともな恋愛しかしてないぞ?。ただ恋愛の先には結婚があり得ないだけでな」
「まぁ、それが一番なのかなぁ?」
3.A man has free choice to begin love but not to end it.
「誠。そろそろ教えてくれてもいいんじゃ無いか?」
「ん?何を?」
「離婚に至った経緯を………」
「親父さんから聞いたんじゃ無いのか?
ああ見えても親父は一流の弁護士だぜ?クライアントの守秘義務は絶対だよ。息子の友人だろうと、何が有っても教えてくれるもんか!
それに、俺も本人の口以外から聞く様な卑怯な事するかよ!」
「そうだな。雅治も時宗もそう言う奴だよな。
もうかなり、昔の事だからな忘れ欠けているが、仕方無いから全て吐き出す事にしようか?」
「彼女とはあの学園に入ってすぐに出会った。まぁ俺の一目惚れかな?
彼女はいつ見ても笑顔で優しかったし、考古学バカな俺は初めて足を踏み入れた社会だったからな。
社会人として右も左も何もわからないし、イギリスでの生活から抜けきれて居なくて日本での社会情報に疎く困って居ると何時も彼女が優しい笑顔で手を差しのべて色々と助けてくれたんだ。
すぐその好意と笑顔が俺の心を射抜いたよ。
雅治と違って女性に抗体も無かったしな。強いて言うなら時宗の姉さんぐらいであれはある種の特別だと思っていたからな。一般人の女性が男に対して表と裏が有るとは思っても見無かったし。当時の社会情勢が打算的な気持ちで恋愛と結婚を切り分けているとは夢にも思って無かったからな。
あの当時、結婚は条件で選ぶ女性が多いなんて夢にも思って無かったからな。
一般に俺は、当時言われた【高収入*高学歴*高身長】を全て満たして居ると見られていたみたいだよ?
当時、あの学園の女性職員にしてみれば、まぁいい結婚相手捜しの場だったじゃ無いのか?教師は皆エリート揃いだからな。
それに他の私立の学校と比べても給料は格段に良いからな。
更にあの学園の中の男性職員を振るいにかけると兄貴と俺が上に上がって居たみたいだが兄貴は結婚したばかりだったからな。
そうなるとあの学園の独身女性の目は殆ど俺の方に向いて居たんだと。
俺は、そんなこと全然思っても見ないから周りの女性に持て囃され、優しさや好意を受けても世間的にそういうものなのかと勘違いもしていた。
そんな中で特に彼女の優しさや笑顔は半端なくて、それが打算的なものだとは思っても見ないからまんまと乗せられたのさ。
だから結婚した後の豹変ぶりには正直驚いたよ。
仕事を辞めて専業主婦になると言うから、まぁ家庭に収まって家事等一切をやってくれるのかと思えば、料理は出来ないから、デパ地下の惣菜が食卓に並び、洗濯もしてもしわしわのままでアイロンさえかけてくれない。それでは困ると言うと、全部クリーニングに出す始末さ。
俺の居ない平日の昼間は同じ専業主婦の友人と集まりランチしてるし、夕食は月1回は高級レストランに連れて行けとか、高いブランド品とか買ってくれとか、旅行に連れて行けとかお金のかかることばかりねだられたな……。
年に何回か発掘作業で何ヵ月単位で家を留守にすると帰って見ると彼女は実家に帰っていたり。
結構いい給料貰っているはずなのに貯蓄なんか無かったな。
家事だけでも当たり前にしてくれと頼むと『私は家政婦なんかじゃない。あなたはいつも好きな発掘作業やなんかで自由に外にでてるけど、私は家事仕事で1人この家に閉じ込められるのは嫌』とか言われて好き勝手に友人と海外旅行とかしてたよ。
結局、喧嘩になるとなんでも発掘作業の長期の留守を責められるから、『なら、教壇だけにするから、きちんとした家庭を築き上げよう』といっても、そうなると収入が下がるとか、言われてどうしていいのか分からなくなって兄貴にありのまま話ししたら、
『お互いの事を考えるなら別れた方がいい。このままだとお前がダメになる。
"Great lawing, small loving."
(訴えが多いのは愛が少ないしるし。)
誠お前は、なんの為に一生懸命勉強した?彼女に逢うためか?
今までの努力とお前のこれからの将来を全てを引き換えにしても、彼女が傍に居て欲しい人なのか?
このままお互いの傷深くしあっても彼女笑顔は戻らないぞ?』 と言われて目が醒めたね。
俺は彼女を愛していると思いたい。
彼女からも愛して貰っていると思いたい。
それに拘って居るだけで本当の愛はそこには無いんだって。
その夜、彼女に別れようと言ったら泣きじゃくって私の人生終わりだとか、戸籍に傷が付くとか、貴方と一緒に居た時間が無駄になる。私の人生返してとか、絶対別れないとか散々拒否されたよ。何度こちらから話し合いを持ちかけても泣くだけで平行線だった。
それで雅治の親父さんに頼んで離婚調停してもらったのさ。
今、思えば、勉強ばかりして世間知らずの癖にオックスフォードに行った事で世の中を知っているとなめていたんだろうな?」
「誠と時宗を足して2で割れば調度いいのかもな?」
「いや、俺と時宗と雅治足して3で割ってもまだ時宗のマイナス要素には勝てないぞ
あの脳天気ぶりは強者だ」
「あぁ。そうだな訂正するよ」
「しかし、そんな強者が一番の幸せ掴んで居るよな?」
「あぁ、勝手に結婚したと聞いた時は、とうとう頭どうかしたかと思ったがな。
しかし、どうやって出逢って、どこでプロポーズしたのか一切口を割らないよな?」
「多分ろくでも無いんだよ。兄貴も言ってたぞ『あれは並々ならぬ事件だ。触らぬ神に祟りなし。"Let sleeping Tokimune lie."』とな」
「そうだな【寝ている時宗を起こすな】は名言だな」
「最近はこの上が居るがな……」
「"Let sleeping Leon lie."かぁ?」
「俺、起こしちゃったよな絶対……」
「ん?あぁ、廉君倒れた件か?」
「そう、それなんだよ! あぁ、俺の人生詰んだかなぁ?どうしよう半端なく、怖いぞ?考えあぐねて兄貴に相談に行ったら……」
「行ったら?」
「『アホか俺の知恵が及ぶかよ?
あの子は時宗の数十倍、いや、計り知れない程、怒らすと手に負えないぞ。
現に時宗だって自分の息子なのに頭上がって無いじゃないか?
しかも、直接忠告受けて居たんだろ?
あの子はルシフェルの生まれ変わりだ。
恐ろしいほどの才能と人を惹き付ける能力がある。しかし、怒らせて見ろサタン顔負けの報復するぞ頭が良いからな周到な方法でな。静めて貰うにはミカエルに頼むしかないよ』って見棄てられた」
「正論だな。ミカエルも中々の頑固者だけどな。まぁルシフェルに比べると物分かりはいいし、大人の考え方が出来る。だが、能力はevenだな。でも、明らかにルシフェルの弱点はミカエルだよな?まぁ素直に謝り倒すしか無いだろ?」
「なんとかミカエルを俺の傍に置けないかなぁ~」
「そうなると、もれなくルシフェルも付いてくるぞ」
「それはそれで扱い方さえ間違え無ければね?」
「雅治、よく考えろ?時宗の何千倍だぞ?
ただでさえ俺達、時宗に翻弄されているのに扱えるかよ!
時宗が地雷だとすると玲音は核弾頭だぞ?廉がその核弾頭のスイッチだぞ?」
「………………………。どうせ人類が滅ぶなら!」
「おい!辞めておけ。それより今迫る核の脅威を取り払えよ!」
4.I’m trying to do what’s right for both of us.
翌日学園考古学準備室
(あー、昨日は流石に飲みすぎたなぁ~。)
「教授おはようございます。二日酔いですか?」と悠貴が誠に珈琲を持ってくる。
「おはよう。何時もありがとう」
「いえ、毎朝自分も飲むから」
「悠貴、ちょっといいか?」
「ん?なんですか?」
「俺は、あまり人の恋愛沙汰に首を突っ込む気は無いんだがな。うちのゼミの中の事だし、今の作業は水中で危険を伴う発掘現場であまりチームワーク崩す出来事は事故の要因になりかね無いからね。敢えて聞くんだが水嶋君と付き合っているのか?それとも樹里亜君と付き合っているのか?」と言って写真を出す。
悠貴は溜め息をつきながら悲しそうに説明をはじめる。
千景に樹里亜からストーカー退治依頼が来て犯人を誘き寄せる為に千景から頼まれて無理矢理恋人のふりをさせられていたら、たまたま居合わせた報道部の連中に写真撮られた事、その写真と噂を信じた水嶋さんが自分の話しを一切聞いてくれない事。
「そう、それは災難だったね。それで悠貴はどうしたい?噂はほっておけば消えるだろう。水嶋君にきちんと説明すれば許してくれるだろ?やり直ししたいならね?」
「教授だから本当の気持ちを言うけど、親友の潤は昔から樹里亜の事が好きなんだ。今アメリカに行って訓練受けて居るんだけど潤の所までメールで写真が届いて噂を聞いているんだ。でも、潤はちゃんと俺に『なんか理由があるんだろ?それとも本気で好きになったならきちんと言ってくれ。でも俺は、親友の悠貴が相手でも、簡単には諦めないぞ!』と言って俺ときちんと向き合い俺の話し聞いてくれたんだ。
でも、杏ちゃんはあんなに俺の事好きだから付き合ってとずっと言い続けてたのに実際付き合って見るとこの噂を聞いてから浮気者とか言って全く俺の話しを聞こうともしてくれないんだ。なんかがっかりだよ」
"Enter upon love when you will; but give over when you can."
「悠貴にはこの言葉が調度いいのかもな?」
「教授どういう意味?」
「【恋は自分が恋をしたいと思う時に始めよ、しかしその恋に終止符を打ちたいならば、それができるチャンスが来た時にすかさずそうすべきだ。】と言うことだ」
「惰性で彼女を追い続けても悠貴の心は離れつつ有るのだろ?ちゃんと彼女とは清算して次はきちんと悠貴が心から信頼出来る相手見つける事だな。変な拘りでチャンスを逃すとお互いが不幸になるよ?
それより素晴らしい未来へ一緒に歩んで行ける人を探すことだよ?
長い人生なんだ何度かは人違いすることは有るだろ?間違えたと分かったらお互いがいい時期に傷付く事無く間違えを改めないとね」
「うん。そうする。教授ありがとう。吹っ切れたよ」
「そう、ではドイツ行くまでにこれだけは作業済ませて置くぞ」
「はい」