表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nostalgia - 追憶 -  作者: 天野 花梨
To find each other, and to feel.
10/40

A New Hope

1. Transformer gate.


 時宗の家でガーデンパーティが開かれている。

 時宗が手掛ける新規事業設立パーティなので事実上、時宗側近の慰労パーティの様な感じであるが関係者家族を含めると出席者は大人から子供まで含めると100人以上はいる。

 今年の幹部候補として入社した齋藤と藤堂、周藤はじめ玲音の遊び相手として、千景、廉、その他取り巻きの子供達とその親達もいる。

当然、五十嵐和也夫妻、橘准一夫妻、加藤、伊集院の面々もいる。


 子供達は庭を駆け回り、大人の男達は、酒を飲みながら会話をし、女性達はティーパーティさながらお菓子とお茶と会話を楽しんでいる。


 時宗と誠の2人が話している。

「面白い情報があるぞ?」

「ん?」

「今、世界各地で妙な遺跡が相次いで発見されて居るんだ」

「ん?確かに面白そうだな?」

「全貌が解明出来れば、さぞや面白いさ」

「どう言うものなのか?」


 1人の少年がかくれんぼで隠れる場所を探しながらこの大人2人の話しに聞き耳をたてている。

「最初の発見は5年前。アマゾンの奥で発見され、それを皮切りに翌年にアメリカ大陸中央付近のカナダのサスカチュワン州 、オーストラリア大陸の西オーストラリア州 、アフリカ大陸のナイジェリア、イギリス、スイス、ソ連、インド、南極、北極と世界の大陸全土で次々、トランスゲードらしき共通性のある遺跡が出てきてる」

「結構大掛かりな話しなんだな?」

「あぁ、発見した考古学者が調査した所ただそれらは出入口らしくメインゲートが他に有るはずただと、どの遺跡からの調査で結論付けられている。そのメインゲートが見つかれば世界最大の発見になるぞ。

 今、世界中の考古学者の間ではその話題で持ちきりで、血眼で探しているよ」

「当然、誠。お前も探して居るんだろ?」

「あぁ、でも手がかり少ないし、俺がゲートを発見した訳ではないから調査することが出来無いからなぁ~。取り敢えず今、色々な文献を調べているよ。

 東南アジア圏だけゲートまだ見つかってないだろ?日本の近くで眠っているかもな?北極で見つかったゲートの資料がネットに流れている。その資料が一番具体的だから広く情報集めのためなのかな?」

「行き詰まっている。と言うことなのか?」

挿絵(By みてみん)

「まぁ、情報公開してると言うことは、そうなんだろうな。兄貴が世界の謎解きして場所見つけてくれないかな?」

「数学で解けるのか?」

「さあな?論理は解けるかもだが真相はどうかな?」

 そこに玲音が近づいてくる。

「パパつまんないよ!部屋に戻ってもいい?」

 千景は玲音達に見つからないようにその場を離れた。

(トランスゲートかぁ面白そうだな。)

「千景、見つけた」

「ちぇっ、廉かよ?お前が鬼なのか?」

「いや、違うが退屈だ。どこかに隠れようぜ!」



2.New friends


 玲音は取り巻きの子供と遊ぶ事にうんざりしていたが時宗に適当に誤魔化され、パーティに居るように言われ庭の隅でふてくされながらベンチに1人で座っていた。

 それに気がついた藤堂が齋藤達の話しの輪から離れて玲音の傍にやってきた。

「どうされました?こんな所に1人で居ないで、廉君や他のお友達と遊んできたらどうですか?」と優しく丁寧に話しかける。

「楽しく無いもん」

「そうですかぁ~。でも、ここに居てももっと楽しくないですよ?」

 周藤がカメラを持って回ってきた。

「ほら、玲音様、写真撮ってくれるそうですよ?ほら笑って」

「玲音君こっち見て笑って~」と周藤も言うが玲音は最後まで笑わなかった。周藤は他の来賓客を撮影するため去って行った。


 藤堂は玲音の隣に座り話しかける。

「僕も一人っ子でね、兄弟居なかったから両親が忙しいと構って貰えなくて寂しいのは分かるよ?でもね。僕にはちゃんと兄弟のような友達が居るんだよ?兄弟以上に仲のいい友達がね。

 玲音様もそう言う友達が早く出来るといいですね」

「だってパパとママがあちこちするから、学校に行っても仲良くなる前にいつもお別れしなきゃいけなくなるんだもん」

「そうですかぁ。では、私と友達になりましょう。私は、玲音様のお父様達とこれから一緒に御供致しますから、玲音様のお側にいつもいますよ?私とお友達になってくれますか?」

 玲音は暫くの間、藤堂の顔色をじっと見つめた後、にっこりとして「よろしくね?お兄さんは、なんて呼べばいいの?」

 私の名前は「藤堂十碧」と言います。

「じゃあ【とうどうのお兄さん】だね」

「はい」と言って藤堂は笑う。

「十碧!十碧!なにやってるんだ?」と齋藤がやって来た。

「ん?内緒ですよね?玲音様」

「うん!」と玲音は屈託なく笑う。


挿絵(By みてみん)


 藤堂と玲音の様子に気付いた雅治が遠目からみながら、時宗にいう。

「なんで玲音をあの学園に入れないんだ?」

「ん?あの歳で家族と離れて寮に入れるのも可哀想だよ」

「あの藤堂と齋藤達は地方出身者だから初等科から寮だろ?

 あの学園は、初等科でも結構な人数の地方出身者で入寮者が居るから大丈夫なんじゃないか?連れまわして友達が居ない方が可哀想だ」

「まぁそれは、そうなんだが。玲音には将来外国語には苦労させたくなくてさぁ~」

「お前、まだ英語がトラウマになっているのか?それに玲音は英語を始めフランス語もドイツ語もイタリア語も喋れるだろ?」

「いやぁ~発音はね、小さい頃に培われるだろ?それに、あの歳で手離すのは親としても寂しいじゃないか?もっと傍に置いて起きたいしさぁ~」

「親父のエゴかよ?親が傍に居ないより、友達居ない方がよっぽっど可哀想だよ!」と呆れながら雅治は言う。

「う、うん。まぁ中等科からはあの学園に入れるつもりだからさ。後4年は俺達の傍に居てもらわないとなぁ。あぁ後たった4年だぞ?一緒に居れるのも4年かぁ~短いよな?」

「時宗、お前は本当に自分の事は棚上げだよな?」

「ん?そうかなぁ~」

「玲音がお前の跡継がないと言ったらどうするんだ?」

「ん?いいんじゃないか?好きな事やらせるさ。俺は親父とは違うよ?」

「そうかなら、成人すると一緒に仕事も出来ないし、離れて暮らす事になるな。おそらくお前と同様に実家には殆ど帰らないぞ?」

「え?ええぇ………。と時宗は愕然としながら玲音を見る」

「お前、子離れする覚悟しておけよ~。後、4年でな?」

「う、うん………4年かぁ~。中等科からじゃなく高等科からの編入にしようかな?」



3. A New Hope.


 雅治の言葉に動揺を隠せない時宗だか雅治は質問は続く。

「今年の幹部候補はあの3人だけか?」

「あぁ、空き事業もないし新規事業に短期間で上三役にあげる候補はなかなかなぁ。それに失敗すると、大変だからな。

 まぁ、あの3人は兄貴の推薦が大きいよ。兄貴の才能を見る目は確かだから踏切ったけど………。正直若いから経験無い分本当は少し心配なんだが……。

でも、あの齋藤君は色んな所で才能をアピールしてるからな。彼は面白い人材だよ。作れない橋のデザインなんて、なかなかのアピールだ。しかも設計上は問題ないとは、驚くべき発想だ。本社ビルのデザインも斬新だったしね」と時宗は齋藤の方を見ながら言う。

「齋藤は目立つ存在だが、あの藤堂もサポートさせれば超一流だ。ほら玲音を見てみろよ。もう、あの玲音がなついて居るぞ。橘の下で2、3年仕事を覚えさせば、将来必ず玲音の役にたつぞ。彼の考えは先を見通す考え方をするしな。

 あの周藤も正義感が強く、芯の通った青年だ。報道マンとなれば、かなり活躍するだろうさ」

「雅治。なんでそんなに詳しいんだ?」

「お前、忘れているかも知れないが、俺はあの学園の非常勤講師だぞ?

 将来、俺の右腕になる人材を探す為に忙しいのに時間を作ってわざわざ講師してるんだからな。そのくらいの情報は集めるさ。将来、玲音は俺の右腕になっているかもな」

「それだけは何としても阻止したい」

「なんでだよ?」

「さあな、ところで兄貴は?」

「兄貴がこんな所に来るかよ!数学バカだぞ?暇あれば数学の世界に没頭してるさ。代わりに奥さんが来てるよ」

 雅治と時宗が話しをしている所に誠がやって来た。

「何を話して居るんだ?」

「ん?兄貴が来てないなって。奥さんは来てるけど…」

「兄貴は、確かNYの学会だと思うぞ?」と誠は言う。

「なんだ数学の世界に浸って居るわけでは無いのか?そう言えば最近は数学の世界にダイブはしてないようだな?」と雅治が言う。

「時宗!兄貴が文句言ってたぞ!時宗の奴校長になれば数学の研究の時間出来るとか言って居たが学園の教育方針丸投げで、研究どころか本を読む暇もないと…」と時宗を見ながら誠が唯野の代わりに苦情を入れる。

「ゆうだいの兄貴は数学者と言うより教育者だよ?兄貴は数学にダイブするより教育者として生きる方が合ってると思うけどな」と時宗は平然と言う。

「しかし時宗お前は、何でも丸投げし過ぎだ」と誠が呆れながら言う。

「俺は、忙しいんだよ?玲音やママとの家族の時間もあまり取れないし、仕事では通常業務の間に新規事業設立の為の工作しないといけないんだからさ。本当は今日も次の新しい事業について検証したいことあるんだけどなぁ」

「親父さんは、完全に隠居したのか?」

「ん?親父?2年前に完全に会社経営から手を引いたよ。一応名ばかりの会長に収まっては居るけど俺に全部丸投げして箱根の家に移っているよ。

 だから、玲音の面倒見るから箱根に置いて行けってうるさいんだ。『玲音の面倒は俺が見る。ここに居れば友達も出来るし、俺達が構ってやるから寂しい思いをさせなくて済むだろ!』とかさ。

 そうなるとイギリスのじいさんが黙っては居ないからな………。面倒くさいんだよ?それに、俺が寂しいじゃないか?玲音居ないとさぁ~」

「お前以上に面倒くさい奴はいないが?」と雅治が呟く。

「同感だ!それに玲音の事をもっと考えろよ?いい加減子離れしろよ!」と誠も言う。

「ん?う~ん。」

「さて、次の事業は何に手を出すんだ?」

「リゾート開発を考えているんだかなぁ~。ありきたりだとなぁ~」

「島まるごと買い取って島全体レジャーランドにしたらどうだ?」と誠が言う。

「それ、面白そうだな。徳川の埋蔵金探しより断然いい」と時宗がいう。

「…………。徳川埋蔵金はお前もノリノリだっただろうが!しかし、あの謎さえ解ければなぁ。都市伝説では、なくなるかもなぁ~」

「誠、お前が解けばいいじゃないか?」と雅治が言う。

「俺はトランスゲートと時宗の無理難題と兄貴の雑用処理で手一杯だよ」と誠は時宗を見ながら言うが時宗は既にリゾート開発事業の事で頭をいっぱいにしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ