種族について
セフィールには、亜人と呼ばれる人間に近しい容姿を持つ種族が存在する。彼らは人間と同程度、あるいはそれ以上の知性を持っており、人間と同じように生活をしている。ちなみに、この亜人という呼び方は人間が勝手につけた呼び名であり、この表現を嫌う者も存在する。この作品では、便宜上の都合で亜人という表現を使用している。
他種族との交配は可能である。その場合、産まれてくる子供の種族は父か母どちらかの種族となる。ただし、人間と他種族の場合は例外であり、ハーフとして子を成すことが出来る。例えば、人間とエルフが交配した場合は、ハーフエルフの子が産まれてくる。ハーフの特徴は、寿命が普通の人間に比べてやや長いこと(ハーフとなった種族に依存する)、個体差はあるがその種族の外見的特徴が少し現れるなどである。ただし、異なる種族同士の交配で子供を成すことは困難とされている。また、ハーフの場合は偏見や差別の対象となることがある。
種族によって寿命は大きく異なるが、セフィールでは、種族を問わず18歳から法的に成人として扱われる。ただ、我々の世界と同じようにあくまでも法的に認められるだけであり、身体的な特徴などはこの限りではない。また、我々の世界とは異なり、年齢による制限は意味を成していないことが多い。特に治安の悪い地域になると、成人していない者が水商売を行っていたり、アルコールや麻薬などを常用している者も珍しくない。
【人間】
セフィールにおいて、最も人口が多い種族であり、現代の文明の大半を築き上げたのもこの種族である。平均的な能力を持っており、突出したものこそないものの、何でもソツなくこなすことが出来る。
突出した能力を持っていないが、その数の多さと古きを捨て新しきを取り入れんとする革新的な姿勢で、他種族を差し置いて、多くの国々における支配階級として君臨している。そういった背景からか、他の亜人を見下す者も少なくない。尤も、この辺りは人それぞれであり、亜人に対して好意的な者も当然ながら存在する。
寿命は80~100歳程度。我々の世界と同じく、外見と身体能力は20~30歳程度でピークを迎え、その後は歳をとるたびに老けていく。全ての知性ある種族の中でも短命である。
【エルフ】
針葉樹の葉のような細長い耳と、スラリとした長身を持つ種族。人里離れた場所に小さな集落を作り、暮らしている者が多い。森林での生活を好んでおり、廃れつつあるドルイドを信仰している者もいる。
非常に高い魔術適性を持っている故に、戦いに身を置いている者の多くは、真っ先に魔術を学ぶようだ。魔術に関しては、支援系の術よりも攻性魔術を好む傾向にある。華奢なために白兵戦能力は他の種族に劣るが、他の種族に劣るというだけで、決して向いていないワケではない。ただし、前線に出ることは少ないため、白兵系の武器よりも弓やクロスボウなどを扱うことが多い。
寿命は300~1000歳程度と個人によって大きく異なるが、人間より遙かに長い寿命を持つ。成人するまでは普通に成長するが、それからはほぼ成長が停止し、寿命が近づくと再び老い始める。そのため、高齢でも若々しい外見の者が多い。
【イヴルアイ】
基本的な外見は人間と変わらないが、額に第三の眼を持つ種族。肌の色は全体的に色白、髪は原色系の色を持つ者が多く、何処となく儚げな外見を持つ。エルフと同じく、ドルイド信仰が多いのも特徴。
エルフほどではないが魔術適性は高め。第三の眼による予知能力も持っており、魔術師の他に占術を生業としている者も多い。ドルイドが多いのもこのためである。ただし、予知能力は全てを見通せるわけではなく、完全な危険予知などは不可能。あくまでも、大まかな未来を見通す程度のもので、その未来が変わることも決して珍しいことではない。全体的に華奢な者が多いのだが、戦士としての適性も低くはない。筋力は低いため、感知能力に頼った戦い方を好むようだ。
高いポテンシャルを持つ種族だが、その絶対数は少ない。何故なら、強力な魔力を持つ第三の瞳を狙った者達に狩られる傾向にあるためだ。多くのイヴルアイ達は、利益の追求した者達の非道により、命を落としているのだ。また、美しい外見の者が多い故、第三の瞳を奪われた後に運よく生き残ったとしても、娼館などに売り飛ばされるケースも少なくない。
寿命は300~400歳程度。エルフ程ではないが長い寿命を持ち、成人するまでは普通に成長するが、それからはほぼ成長が停止し、寿命が近づくと再び老い始める。そのため、高齢でも若々しい外見の者が多い。ただし、上記に述べた通り狩られることがあるために、その寿命を全うする者は少ない。
【ハルピュイア】
背中に一対または二対の翼を持つ種族。翼は鳥類と同じように、空を飛ぶために使われる。エルフやイヴルアイと同じく美しい出で立ちを持つ。ただ、彼らとは異なり肉体的に恵まれた外見をしており、男性は筋肉質、女性は肉感的な者が多い。
優れた筋力と飛行能力を持つことから、優れた戦士が多いのも特徴。戦闘スタイルから、スピアやハルバードなどの長物を好む者が多い。魔術適性はやや高いが、魔術師よりも戦士を選ぶ傾向にあるようだ。種族として清廉潔白な思想を持っており、プライドが高い者が多い。
寿命は170~200歳程度。成人するまでは普通に成長するが、それからはほぼ成長が停止し、寿命が近づくと再び老い始める。そのため、高齢でも若々しい外見の者が多い。
【ワービースト】
獣のような耳と尻尾、種によっては角を持つ種族。血筋や種によって獣の特徴は異なり、犬や猫の他、狐、狼、兎など様々である。なお、異なる特徴を持つ者同士でも交配は可能で、子はどちらかの特徴を引き継ぐ。
器用さと敏捷性に長ける。優れた軽戦士として活躍する者が多いのも特徴。脚力にも優れ、走力は勿論のこと、跳躍力は他の種族と一線を画す。ただし、身体能力が高い分、魔術適性は最低クラスであり、補助程度に使うことはあれど、余程の物好きでなければ魔術を専門に学ぶことはないようだ。
イヴルアイと同じく、狩られることが多い。ただ、その理由の多くは獣人と同等の存在として見られるためで、殆どの場合は捕らえられずに殺されてしまう。ただし、女性はイヴルアイと同じように娼館に売り飛ばされ、愛玩動物や奴隷として、ある意味殺されるよりも非道な扱いを受けることがある。
ただ、イヴルアイとは異なり、全体として陽気な者が多い。また、自由気ままに暮らすことをモットーとしており、多くのワービーストは冒険者稼業で生計を立てている。
寿命は170~200歳程度。人間と同じく、外見は歳を重ねる度に老いていくが、老いのスピードは緩やかである。
【ドワーフ】
小柄な種族で、男性は樽のような体型に立派な髭を蓄えている者が多く、女性は人間の子供に近しい外見をしている。ドワーフの成人男性にとっての髭は誇りでもある。成人しても、身長は120cm程度にしかならない。
外見に似合わず手先が非常に器用で、荒々しい風貌からは想像できないような工芸品を作り出す職人が多いのも特徴。筋力も高いために戦士としての適性が高いがやや鈍重。魔術適性は低めのため、魔術師になる者は少ない。一見付き合いにくそうに見えるが、亜人の中では最も人間社会に関わっており、会話をしてみると意外に気さくで豪放磊落な者が多い。また、無類の酒好きが多いことも特徴で、ドワーフを酔い潰すことは難しいとされる。
寿命は200~250歳程度。人間と同じく、外見は歳を重ねる度に老いていくが、老いのスピードは緩やかである。ちなみに、人間は老いることを忌避する傾向にあるが、亜人、特にドワーフは老いることを誇りに思っている。