表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/56

あなたの口から教えて

「……ライトッ!コーベライト!」

 痛い。全身がズキズキいっていて動けない。電撃を食らった人というものはこうも痛い思いをするものなんだなぁ、と思いながらコーベライトは自分の持ち味である電撃技を浴びさせた人たちの顔を思い出す。

 痛いけど、身体が睡眠を欲している。だがその欲を打ち払って、まどろみの中から自分の身体を引き上げるようにして目を覚ますと、そこには心配そうな顔をしている親友と妹の姿があった。上を見上げると真っ白な天井。そして視界の隅に見える緑色のカーテン。それを見て、ここは保健室だなと思った。

「無事でよかった……」

 カーテンで仕切られた空間の中に、ほっと胸をなで下ろしたようなフローライトの声が聞こえた。先ほどまで泣いていたのだろうか、ヴィオラに背中をさすられてぼろぼろと涙をこぼしているフローライトは、コーベライトの手に触れようとした。

「フローライト!気持ちはわかるけれど、だめよ」

「……あ、はい。すみません……」

 すっとひっこめるその手を見て何故だろうと思いつつ、先ほどフローライトに注意をした人物の声が聞こえた方向へ目をやる。そこにはアマがいて、よくよく見ると自分の左手に球体のようなものを握らされている。その球体はバチバチといっているが、アマはそれを怖がることもせずに、握ったコーベライトの手を自分の手で包み込むように握る。

「コーベライト、今からちょっと痛いけれどいいかしら?」

 今からアマがやる行動を察しながらコーベライトは頷く。次の瞬間にバチィ!と左手に持った球体が熱を帯び光を発した。コーベライトは動かない身体を動かそうと身をよじった。

短い悲鳴が保健室を包み、見ていられないと言った様子でフローライトはヴィオラの近くに泣きながら寄り添った。

「大丈夫。コーベライトは大丈夫だ、フローライト」

 そう安心させるようにフローライトの頭をヴィオラは撫でた。撫でているヴィオラも悲しそうな顔をしており、やっぱりヴィオラも見ていられないという様子だった。

 ……左手に持った球体が光を発するのをやめた。それと同時に動かない身体を動かそうと身をよじっていたコーベライトは、右手は動くようになり、次に全身が動いた。その衝動でコーベライトは保健室の簡易ベッドから転げ落ち、潰れたような声をあげるのだった。

「これでもうコーベライトの体内の電気はなくなったわよ」

 アマがほっとして笑顔で言う。ベッドから落ちたコーベライトにはフローライトが手を差し伸べ、彼はその手を取った。するとフローライトの後ろにいたヴィオラがタオルを差し出した。

「お兄ちゃん……すごい量の汗かいているよ」

「…………へ?」

 ヴィオラが差し出してくれたタオルで顔を拭くと「わ、本当だ……」と自分が汗でびっしょりとなっていることに気がついた。タオルで顔を綺麗に拭き、さて着替えはどうしようと思っていると、アマが着替えを持ってきてくれた。

「フローライトが持ってきてくれていたのよ。よくできた妹さんね。……じゃあ私達はカーテンの外で待っているわね」

 アマは笑顔で言ってカーテンの仕切りの中にいた三人は出て行く。ぽつんと一人になった途端、自分が保健室にいる理由が脳裏を駆け巡った。ルアが、自分で電気技を放ったのだということを思い出した。

 失踪事件の被害者にしたかったのかな、でもルアは乗り気ではなかったからちょっとおかしいな……。

 そう思いながら上着を脱ぐ。肩が異常に熱を帯びていているのは気のせいかと思いながら肩を見ると、ずっと前につけてもらった光の証がちかちかと点滅しているところだった。よく光の証を見ていると、それは点滅しながらぶつりと光ることをやめた。

「……?」

 コーベライトは直感的に思った。これは確実にこの光の証が関係していると。ルアに聞きたいことがたくさんある。失踪事件の事実を聞くために、コーベライトは急いで着替えてカーテンを開けた。そこで一人の人物と目が合った。

「ルア……?」

 カーテンを開けた先、そこの椅子に座っていたのはまぎれもない、自分を事件に巻き込もうとしたクラスメイトであるルアがいた。そして彼女を横目で見ながら複雑そうな表情をしているヴィオラの姿もあり、心配そうにコーベライトを見つめるフローライトもいた。

 急いで情報を聞き出すのはあまり好ましくないことだと知りつつも、コーベライトはつかつかと歩み寄ってルアの前に立つ。

「ルア……今なら話せる?」

「コーベライト。ルアをあまり刺激させないであげて」

 制止をしたアマの表情を見ながら「大丈夫ですよ」と笑ってルアに向き合う。

「真実、今なら話せる?話せるなら教えてくれる……?」

 そう言うコーベライトをルアは見、そして頭を垂れる。ルアの長い真っ黒な髪の毛がさらさらと流れた。彼女の一瞬だけ見えたその表情は、悲しそうで自分を責めている複雑な表情をしていた。コーベライトは黙ってルアが口を開くのを待つ。ルアがまたコーベライトを見、保健室の中にいる人の顔を見回すと、頭を垂れたまま重たい口を開く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ