二匹と数えるべきか二人と数えるべきか・・・・
七、
ぱらぱらと雨が降る中、家の前におばさんが立っていた。俺の目がおかしくないのならおばさんはまったくぬれていない。
「・・・遅かったじゃないか?どこで油を売ってたんだ?」
・・・・言えない、ちょっとじいさんと会ってたなんて口が滑ってもいえねぇよ。
「いえ、ちょっと雷が俺に直撃しただけです。」
そして俺は背負っている少女を指してこういった。
「葵の妹なんですが・・・この子も居候させていいですか?」
なんとも適当な設定で悪いがしょうがないのだ。俺の平均的な頭ではこのくらいが限度・・・それにこれ以上複雑にしてしまったら説明に苦労するに違いない。
「・・・・そうかい、あんたが責任をもってきちんと世話するんだよ。ところで名前はなんと言うんだい?」
俺はてっきり後ろの少女が答えると思ったが、予想に反することがおきた。
「私の名前なんてないわよ。輝が決めなさいよ。」
小声だがたぶんおばさんには聞こえているに違いない。しかし、葵の時といい、名前がないなんておかしいんじゃないのか?俺としてはなかなか考えるのが難しいのだが・・・・
「・・・で、その子の名前はなんていうんだい?輝、早く言わないと私は家に入るよ。」
「ああっ、加奈です!!加奈って名前なんですよ。」
かみなりの一文字目と三文字目をとって加奈・・・。ああ、慌てて考えたがなかなかいい名前に違いない・・・・と思う。
「そうかい、じゃあ、さっさと風呂に入っちまいな。そんな泥だらけでずぶ濡れの格好を女の子にさせるもんじゃないよ。」
そういえば俺と加奈の体はすごい汚れようだ。特に俺の服は加奈の電撃で思いっきり黒くなっている・・・いや、そういえば俺の着ている服は黒色だったか。
「はい、じゃあ俺が先に入りますね。」
「おまえは馬鹿か?まずは汚れている女の子を先に入れるもんだろう!!」
はい、それはわかりましたが・・・俺の顔にパンチをしないでください。
「は、はい。わかりました。」
葵が風呂の準備をしていてくれたのですぐに入れそうだったのだが、先に加奈が入ることになったので俺は汚いまま家の周りでストレッチをしている。
「わんわんわん!!」
「あー、うるさいわい!!」
庭にいる犬(名前はホワイティーという画からだの色は真っ黒だ。性別はメスらしい、俺にはほえまくりである。)が今日も俺に異議を申し立てている。
「わんわんわんわん、ホールインワン!!」
「犬はしゃべっちゃ駄目だろ!!」
暇なのはわかるが意味のわからないボケはやめてほしい。俺は今、かなり疲れているのだ。
「輝さん、次いいですよ。」
「わかった。」
俺にほえまくっている犬を無視して風呂場に向かった。まったく、俺より後にこの家にきたくせしてなぜ俺だけに冷たくあたるんだか?ああ、できれば猫がいいなぁ。
がららぁ
「!?」
「うわぁ、なんだ、加奈がまだ入っていたのか・・・。早く着替えろよ。」
「このスケベェ!さっさと出ていけぇ!!」
「・・・ふん、見られて恥ずかしい体になってその台詞を言いやがれ!!」
俺はさっさと扉を閉めてその場を離れた。もしかしたら電撃が俺を襲うかもしれないと思ったからである。そして、俺を襲ったのは電撃ではなく、おばさんの鉄拳であった。
「・・・いいかい、輝、絶対に女の子にそんなことを今度から言っちゃだめだよ?もし今度そんなこといったら私がお仕置きするからね?きちんと加奈に謝っておくんだよ。」
腹にめり込んだその一撃の効果は麻痺効果だったようだ。俺はその場で悶絶してしまいおばさんは俺を踏んでどこかに去っていった。風呂場の扉が開き、中から加奈が姿をあらわした。
「自業自得よ、輝・・・・」
「・・・・加奈、すまんかった。」
ここは素直に謝ったほうがいいだろう。この一撃は死にはしないだろうが予定されている寿命が早まっていく気がしてならない。見事に急所にあたっている。
「もういいのよ。それより大丈夫?」
ふ、なかなか優しい所があるじゃないか・・・。俺は壁を支えにしながら立ち上がり加奈に首を動かすだけで返事した。そして、扉を閉める。
「はぁ、やれやれだぁ。」
今日は厄日だ。ついてない。きっと今日の正座占いは間違いなくワーストワンはかに座に違いない。ああ、そういえば葵もかに座だったかな?あいつもなんか悪いことでもあったのか?
「さて、体でも洗うかな?」
「輝さん、石鹸はここですよ。」
「おお、ありがと葵。気が利くな・・・・?」
あ、あれ?なんで・・・・なんで葵がいるんだぁ!!
「どっどどどどどどうしてここに葵がいるんだぁ!!」
「輝、うるさわよ。」
「あ、加奈すまん・・・?」
?あれ、おかしくないか?・・・・なんで加奈までいるんだよ?
「どうしたんですか、輝さん?顔が真っ赤ですよ?」
「ちょっと湯船に長くつかりすぎじゃないの?ちょっと体を冷やしたほうがいいわよ?」
「・・・・あ、ああ。じゃ、さきにあがることにするわ。」
な、なぜこんな・・・穴があったら入りたいような状況になっているんだ?
俺はとりあえずこの危機的状況から脱出するために脱衣所へと逃げ出したのであった。まぁ、あれだ・・・こういうのはいけないことだと思うし・・・いや、いたほうがいいのかもしれない。
「よ、輝。楽しかったかい?」
脱衣所にはおばさんがニヤニヤしながら立っていたのであった。犯人はあんたかぁ!!
さぁ、まだまだ土俵にも上がっていませんが・・・・まだまだがんばっていきたいと思います!!読んでくれる人がいる限りがん張りたいと思います。