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動き出したなんかの運命

四、


 葵の体を引っ張り起こして俺は手を放そうとしたが、葵は俺の手を放そうとはしなかった。


「何で手を放さないんだよ?」


「別に減るわけじゃないからいいじゃないですか。」


 ぐ、もっともな意見だ。反論の余地がねぇ・・・。俺がそんなことを考えていると葵が話し掛けてきた。


「私に手を差し伸べてくれる人は今までいなかったんですよ。だから、私はその手にすがりたいんです。これはいけないことですか?」


 なんだ?このなんか難しそうな質問は?イエスかノーで答えればいいのか?


「いや、俺だって誰かにすがりながら生きている毎日だからな。すがることで関係ができると俺は思っている。」


 何気にいいこと言ってんじゃねぇの俺?


「そうですか、ありがとうございます。」


 お礼まで言われたからうれしいなぁ。しかし、手に力を入れて俺の手をぎゅっと握ってくれるのはうれしいがそりゃちょっと力が強すぎじゃねぇのか?あたたたたたっ!!


「・・・・さ、早く夕飯を食べに行きましょうよ。」


「ああ、そうだな。」


 なんだかとってもいい場面である。うん、これは来たね。何が来たのか知らないが俺としてはなんかこう、心にぐっと来たね。




 そして、夕食後。

 いやぁ、葵のたべっぷりは凄かったなぁ。まだ仕事から帰ってきてないおじさんの分までたべっちゃったからなぁ。ついでに俺のトンカツもいつのまにか皿の上から俺を残して去ってしまった・・・・。ああ、トンカツよ、おまえのことは忘れない。


「うぷぅう。ちょっと食べ過ぎたみたいです。」


「そりゃまぁあれだけ食べれば苦しいわな。」


 今、葵は和室の畳に寝転がっている。お腹はパンパンに膨れている。まるで風船だ。


「う、生まれる。」


「何が?」


「輝さんの子ども・・・・」


「叩いていいか?」


 まったくなんて奴だ。お腹さするの止めちまうぞ?おまえは幸せだろうが俺は腹が減ってるの!!


「輝さん、死ぬ前に一つだけお願い事を聞いてください。」


「なんだ?」


「テレビつけてください。」


・・・パシリか?ここで文句をいうのも子供くさいので俺は黙ってテレビをつけた。テレビでは明日の天気予報をやっているようだ。


「・・・・明日の天気は、全国的に晴れる事はまずないでしょう。多分、雷雨となると思われます。さて、次に雷が落ちる確率です。」


「輝さん、今はこんなのもあるんですね?」


「いや、俺も見るの初めてだ。」


「・・・・おとめ座に落ちる可能性は・・10パーセントです。」


・・・・・なんだこれ?新手の占いか?


「そして、最も確立が高いのはかに座のあなた!!95パーセントです。」


 俺、かに座だぁ!!


「あ、私かに座ですよ。」


・・・なんて不吉な前兆だ。こんなもん、あたるわけがない。


「・・・・じゃ、俺風呂はいって来る。」


 俺は和室を出て風呂に向かった。こんな不安がぬぐえないときは風呂に入るのが一番だ。




「ふぃぃぃぃ。」


 親父くさいと言われそうだが、しょうがない。俺は顔をタオルで拭いて湯船から上がり体を洗おうとしてギョッとした。


「輝さん、背中流しましょうか?」


「な、何入ってきてんだよ!!」


 見れば扉を開けて葵がこちらにやってきているではないか!幸か不幸かしろいもやでほとんど見ることはできない。俺は当然のように後ろを向く。


「敵に背中を向けるのはいけないことですよ。」


「いや、裸でくるほうが卑怯だろう!!もうちょいで風呂から上がるから葵は外にいろよ。」


「遠慮しないでくださいよ。大体裸ではありません。タオルを巻いてますよ。」


 なるほど、後ろを振り返ってみると葵はタオルを体に巻いている。


「ね、これで安全ですよね?」


「いや、やっぱ俺には無理だ。じゃ、先にあがるわ。」


 葵の隣を歩いて出口に向かう。すると、再び扉が開いた。そこに立っているのはおばさんである。


「いいか、輝。これも修行だ。おまえは女の子に弱いからな。あの女番長の時もまったく抵抗せずにぼこぼこにされたからな。葵でなれることだな。」


 そして、俺は覚悟を決めた。




 あとは寝るだけとなったので自分の部屋にあるベッドを眺める。さて、ここで一つだけ問題がある。


「さ、夕方のように私に覆い被さってきてください。」


 葵が俺のベッドに乗っているのだ。これはどうしたことだろうか?まぁ、別に何もしなければいいのか?へ、上等だぜ!!こうなりゃやけだ。


「・・・・何もしないでくださいね?」


「まかせておけ、葵に手を出すわけがなかろう!!」


 ふはははは、甘かったな葵。俺をなめてもらったら困るぜ!って、葵、おまえなにやってんだぁ。


「葵、俺を後ろからホールドするな。」


「いいじゃないですか、何か減るんですか?」


 俺に二度目の攻撃は通じない。これが俺のこたえだぁ!


「減るんだよ、なんか、こう、精神力ってやつがな・・・」


「それならもっと減らしてあげますよ。」


 その日、俺は心の中で悲痛の叫びをあげまくった。だが、まだまだこの生活は始まったばかりである。俺はその次の日にそれを知った。


 えーっと、まだまだ始まったともいえないですが・・・できるだけ面白くしていきたいと思います。努力はしてみますね。

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