ああ、これからどうなるのだろうか?
二十七、
「爺さん、どこに行くんだ?」
「・・・・とりあえず、この前のは冗談だったとして、もうチョイお前を鍛える。」
それから爺さんは何も喋ることなく、目的地までもくもくと歩いていった。ずっと真っ暗なところを歩いていたが、ある意程度まで歩いていくと、その暗闇もなくなり、神社のようなところに着いた。
「爺さん、ここはどこだ?」
「ここか?ここはな・・・・いわば修行をする場所じゃ。ほれ、あの巫女さんを見てみろ。あんな小さいこも修行をしているのじゃ。」
指差すほうには赤いはかまを着た女の子が竹箒で境内を掃除している。一見すると、何事もないように見える。爺さんが女の子に近づくと、女の子はこっちを見て、爺さんに頭を下げた。
「・・・菜々美たん、今日もええけつしてるのぉ?」
「気持ち悪いです!!せりゃぁ!!」
そういうと、持っていた竹箒を爺さんに向かって振り落とす。だが、さすが爺さんというべきだろうか?それをあっさりと避けて俺の元まで帰ってきた。むなしく空を切った竹箒はそのまま地面に着弾・・・・その部分がめり込んだ?
「うむ、まだまだひよっこじゃな。」
「爺さん、竹箒が何で地面にめり込むんだ?」
「・・・・ああ、気にするでない。お前に関係ないからな。それに、菜々美たんはわしのものじゃ。貴様にはやらん。」
そういって俺はその名波という少女がいるほうとはちょっと違うとこに俺を連れて行った。そこには何もなく、あるのは爺さんの形をした大きな像だけである。
「どうじゃ、輝・・・・すばらしいだろう?細部に渡るまでわしに似せて作らせてある。そう、いわばこれはわしの生き写しじゃ。だがな、これを怒らしたら怖いぞ?」
「・・・・で、それはいいとして俺は何をしないといけないんだ?」
「つれないのぉ、ま・・・いいか。とりあえずそこに座って精神を集中しろ。雑念があれば、問答無用で・・・・」
爺さんは指を鳴らすと、菜々美という女の子が・・・・・とげとげしたものをバットに打ち込んだ多分特別仕様の奴を持ってやってきた。
「・・・・菜々美たんのお仕置きが貴様を貫くだろう・・・」
菜々美という女の子はそのまま爺さんに向かって持っていたものをぶつける
「・・・・そう、こんなふうにな・・・・」
爺さんはその場に倒れ、残ったのは爺さんを倒した女の子と俺だけである。
「・・・・さて、集中、集中!!」
俺は倒れた爺さんを見なかったことにして座禅を組んで頭の中を真っ白にさせる。
ごす、ごす、ばきばき!ぐしゃぁぁ!!
後ろではきっと見たらモザイクがかかるような光景が広がっているに違いない。そう、あの菜々美と言う女の子がきっと倒れている爺さんに鉄槌を下しているのだ。そして、もしも俺が少しでも動いたら・・・・きっと爺さんのようになるに違いない。それだけは避けたいものだ。
だが、どうやらその少女が叩いているものは爺さんではなかったようだ。その証拠に今、
「・・・・輝、ほれ、真っ白のパンツじゃよ?どうじゃ?」
そう、俺の周りをうろうろしているのだ。そして、眼をあけていないのでわからないがきっとその手に持っているものを俺の目の前でひらひらさせているに違いない。く、むかつく!!
なら・・・・・あの少女は何を相手にあんな恐ろしい音を立てているのだろうか?途端、俺の心に好奇心が湧き上がり、確かめたくなった。しかし、爺さんがうろうろしている状態ではそれも難しい。つまり、結局のところは爺さんがやめというまで後ろの光景を見ることが出来ないようだ。
それから少しの時間が経った。
その間も爺さんはいろいろと俺に試してみたらしく、爺さんがあきらめて俺に終わりを告げたのだ。あたりにはいろいろなものが散乱している。・・・・記念に持って帰ろうかな?いや、もって帰った場合は・・・・再びこっちに送り返されるかも知れん・・・・そのときは葵たちの手によって葬られることだろう。
後ろの音はほとんどしなくなっており、時折聞こえてくる音は
ひゅ!どがん!!はぁはぁはぁ・・・
といった誰かが誰かの攻撃を避けるような感じの音であった。それに荒い息遣いの音も聞こえてくる。
「・・・輝、第二ステップじゃ。菜々美たんより先にあの黒龍を倒してこい。」
ようやく、しょげていた爺さんは俺に次の壁を与えた。そして、後ろを向いた俺は驚愕したのであった。
なんと、あの爺さんの像の一部が竜になっているではないか!!いや、微妙にあれは下ねただ!!
「・・・・爺さん、あのふざけた竜はなんだ?」
「・・・・ここの主じゃ。暴れくるっていた奴をわしが封印してな、征服した証としてあのような形となった。名前はさっきも言ったが黒龍といってな・・・・いやぁ、なかなかのじゃじゃ馬じゃった。輝、がんばれよ。」
爺さんはそういうと、あたりに散らばっているものの中からエロ本を探し当てると読み出した。これ以上、俺と話していても面白くないと思ったのだろうか?まぁ、今はそんなことより、あのお下品な龍をしとめるのが先だろう。俺がその竜の近くに行くと、後ろから爺さんが何か言ってきた。
「・・・・輝、お前に前教えた呪文はな、人外のものから力を奪い取るものじゃ。それによって、力をある程度まで抑えられた竜は他のものに形を変える。そうじゃな、友達が欲しいとおもえば、その種族と同等の形になる。まぁ、そんなことより、力を奪えばその力を使えるわけじゃ。しかし、使い方はお前ががんばって見つけろよ。最後に・・・・黒龍が菜々美たんに倒された場合、お前の負けとなり、今度は輝が彼女の下僕となるから気をつけろよ。」
え・・・・それって意外と重要なことじゃない?そんな・・・鼻くそほじりながら言わないでくれよ!!
俺はあわててすでに戦闘が始まってかなりの時間が経っているだろうことが予想される戦場に飛び込んだ。戦況はどうやら、下ねた竜のほうが優勢のようだ。彼女が持っていた武器はすでになく・・・・一応、あるのだが爺さんの像の顔部分に思いっきり突き刺さっていた。
「・・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
片ひざついた菜々美に黒龍がほえると、かまいたちでも発生したのだろうか?菜々美の服がところどころ切れた。
「おおっ!!絶景じゃ!!」
後ろで爺さんがほえている。とりあえず俺は負傷している彼女のところまで走っていき、黒龍から遠ざけた。まだ、抵抗する気があるのか菜々美は俺に抱きかかえられたときに俺の股間をけりやがった。くぅぅぅぅぅ!!いてぇぇぇぇ!!
「胸触んないでよ!!変態爺の孫!!」
「・・・・ぅぅぅ、いてぇぇよ。というより、爺さんと俺を一緒にするな!!そんなペタンコな胸なんて俺の眼中に入ってねぇよ!!とりあえず、危ないからどかしただけだ!!」
俺はそのまま竜の攻撃範囲からおよそ離れている場所に菜々美をおき、寄ってきた爺さんを気絶させると一人で黒龍のもとに走っていった。黒龍は暴れたいのか近づいてきた俺に攻撃を始める。
「しゃぁっぁぁぁぁ!!」
その動作がかなりゆっくりに見えたような気がしたので避けてみると、あっさりと黒龍の攻撃を避けることに成功した。そして、黒光りする流れ弾は爺さんに直撃!
さて、竜には何度殺されたことか・・・・・ここで仕返しをしたいと思うので俺は本気で行くことにするぜ!!