ああ、俺はもう・・・天にも昇る気持ちだ。
二十五、
・・・・輝、おまえの・・・・を・・・もらう!!
「・・・・うわぁあ!!はぁはぁ・・・」
俺は目を覚ました。部活が発足して次の日の朝に・・・・。どうやら嫌な夢を見ていたらしい。だが、その中身は思い出すことが出来ない。
外はまだ暗く、起きるのには早かったのでとりあえず寝ることにした。それにしても嫌な感じだ。
そして朝、眠たいので布団を抱き枕のように扱う。今日の布団は前日干してもいないのにやわらかかった。う〜ん、もっとこうしていた・・・
「・・・・・・・・・!!!!」
いやいやいやいや・・・俺が抱いていたのは布団じゃねぇ!!加奈だ!!加奈を抱きしめてるじゃねぇか!!
「あわわわあわあわわわわ・・」
俺の目は完全に覚醒。なんだかこの勢いならお化けだって見えてしまいそうなくらい、目がさえている。いや、ほんとになんで加奈がいるんだ?あ、ちょうどいいや。目を覚ました。
「・・・・か、かなぁ・・・な、何で俺の布団に入ってんだ?」
「・・・?あれ、おかしいな?トイレの帰りにちゃんと部屋に戻ったと思ったんだけど?それに、どうやらトイレを間違えたのは私だけじゃないみたいだよ?」
そういって加奈は俺の右側・・・を指差す。
「す〜す〜。」
「・・・・。」
そこには葵と碧さんが静かに寝息を立てていた。い、いつの間に!?
「ど、どうなってんだ?」
俺は、布団から飛び出るきっと一糸まとっていないだろう、竜たちの肩を見る。いや、何も布団をはがして服の有無を確認するわけではありません。ここからでもきっと服を着ていないのはわかります。
「・・・・加奈、とりあえず俺は下に行くから他の二人が起きたら服を着せてから降りてきてくれよ?」
「え、うん。わかったよ。」
布団がはがれないように気をつけながら俺は布団から這い出る。こんなところをおばさんに発見されたあかつきにはきっと吊るされた後に皮をはがされるに違いない。ああ、考えるだけで背筋が・・・・って!!
「なんで、何で穂乃香ちゃんまでいるんだぁ!!!」
加奈の隣には俺の幼馴染が寝ていた。いや、すごいな・・・・てかこんなに大人数がはいっているのにどれだけでかいんだ、俺の布団・・・・・。
「まぁ、何事もなかったようなのでよしとしよう。さて、おばさんにばれないようにしないと・・・・」
「へぇ、誰にばれないようにしようだって?」
俺の体が固まる。かちんこちんに・・・・・勇気を出してその声がしたほうをみる・・・と、そこは窓であった。知っていると思うがここは二階だ。なぜ、おばさんの顔が窓の向こうにあるのだ?
「輝、ハーレムにでも目覚めたか?」
「いえ、滅相もございません!!気がついたらこのような状況に追い込まれており、自分としてもなぜこうなっているのかさっぱり見当がつきません!!うれしいかと聞かれたら首が折れるまでふれる自信は一応、あります!!」
「そうか、じゃあ、話があるからさっさと下にきな。」
ああ、この調子で行ったら俺は死刑確定か?最後に天国のような光景を心に刻んでおくべきだろうか?う〜ん、これは困った。
とりあえず、少しだけ悩んですぐに下に行くことにした。ま、なんとかなるさ。いや、なってもらわないと俺の命は風前の灯。
下に降りた俺を待っていたおばさんは台所に立っていた。その手には良く切れるだろう、包丁が怪しく輝いている。ああ、おばさんはぶつ切りが好みですか?それともミンチがお好みでしょうか?
「・・・・さて、輝、これからお前にはいろいろやってもらいたいことがある。」
「はい!何でもおっしゃってください!!」
「この地域にある道場をすべて潰せ!!」
「は!!了解いたしました!!出来ればその理由も教えてくれると非常にうれしいのですが?」
これはふざけているのではない。生き残ろうと俺も必死なのだ。そう、これは命令を上級兵士が下級兵士につげるようなものだ。もしも、却下されたら俺はどうなるのだろう?
「・・・・とりあえず、お前が使っている拳法のことを自分で知るチャンスをやっていると思え。」
「は、質問に答えていただき、天にも昇る気持ちです。」
「そうか、それじゃ、天に送ってやろうか?」
「結構です!!」
そういって俺はその場から逃げ出した。とりあえず、比較的安全だろう、トイレに逃げ込む。
「・・・・俺の使っている拳法を知るチャンスか・・・・」
そういって俺はため息をつく。結局、知るためには自分で調べないといけないのであろう、それにあのおばさんのことだからパンドラの箱を開けるよりも大変なことがあるのかもしれない。でもまぁ、もしかしたら葵たちのことを詳しく知ることが出来るかもしれないのでがんばってみよう。
「・・・・輝さん、早く出てください。」
「あ、すまん・・・」
やってきた葵がトイレの前で声を出す。そして、俺はトイレを出る。そしてまた、俺の身に信じられないことが起きた。
なんと、葵が俺の胸に飛び込んできたのだ。
「・・・・輝さん、どこにも行っちゃ嫌ですよ?もしも私たちをおいていったら覚悟してくださいね。」
「あ、ああ?よくわからんがわかった。肝に銘じておくよ。」
そういうと葵は俺から離れた。その顔には笑顔が広がっていた。
「・・・・約束するから、目をつぶってください。」
言われたとおりに目をつぶると、唇に何かあたった感触を覚えた。目を開けると、そこには葵の顔が広がっているだけであった。・・・・・・あははははは・・・・いや、はずかしいねぇ。
そして、俺は学校に遅刻したのであった。
遅くなってすいません。ちょっといろいろ事情がありまして・・・・というより、今に始まったことではないですが大量の誤字を発見し、修正していました。