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初めて貰った・・・手紙

二十三、


 ライバル宣言を受けた次の日の朝、俺はこれまで生きてきた中で初めての経験をした。やり方が古風だと思うが、俺の下駄箱の中にピンク色の便箋が入っていたのだ。その便箋には達筆な字でこう書かれていた。


『放課後、校舎裏で待ってます。A、K』


 その手紙の中を読んでから俺は教室で飛び上がったね。だが、今日の放課後はすでに予定がはいっている。そう、昨日碧さんと約束した場所に行かないといけないのだ。


「う〜ん、困った。」


「白川、うん×をこの場で出したのか?」


 そんな下品な内容で俺に近づいてきたのは言わなくてもわかるだろうが、中学からの友達だ。仮に男子Aでいいだろう。


「・・・・いや、実は生まれて初めてラブレターとやらをもらったんだが?」


「突っ込みはないのか?まぁ、別にいいけど・・・。そうか、白川には春がやっと来たのか?だけどお前には葵さんと加奈ちゃんがいるじゃないか?更に言うなら穂乃香ちゃんもいるだろう?うわさも混ぜるなら碧先生とも関係があるそうじゃないか?もしかしてこの中の誰かがお前宛に送ったものじゃないか?」


 う〜ん、俺にそんな嬉しそうな事をしてくれるのは一人でもいるだろうか?葵か?いや、葵の奴は俺にザリガニの世話を近頃毎日させてるからな。

却下したら俺を涙目で見やがったからなぁ。

じゃ、加奈か?いや・・・これもないかもしれない。

すぐ何かあったら俺をサンドバックのように扱いやがるからな。じゃ、碧さんかなぁ?・・・・違うな。この前なんか昼寝していた俺の頭を思いっきり噛み付いたからな。最後の穂乃香ちゃんにいたっては論外だ。あの人が手紙なんて可愛らしいまねをするわけがない。するとしても矢に果たし状みたいにして窓から打ち込んでくるに違いない。


「白川、四人の容疑者の中に心当たりはいたか?」


「いや、どいつもこいつのこの件だけでは白のようだ。普段は俺をぼこぼこにしたりこき使ったりしているがな。」


 特に加奈は傷害罪で牢屋に入れられるべきだ。雷なんてまとって抱きついてくんなや!!


「・・・・じゃ、誰かのいたずらじゃないか?」


「はっきり言うがまだこの高校の連中で知っているやつらは多いが仲がよい人物は数える程度だ。恨みを買われることなどほとんどないぞ。」


 俺と男子Aは考え込んだ。だが、とある女子が俺たちに話しかけてきて・・・正確に言うと俺にではない。


「・・・・くん、ちょっと来てよ。」


「うん、わかったよ、いとしのマイハ二―!それでは白川、がんばってくれよ。」


 こうしてたった一人の相棒は無慈悲にも俺の前から姿を消した。さて、一人になったけどどうしたもんかねぇ。もしかしたら間違いかもしれないから無視しておこうかな。


「輝さん、きちんとザリガニさんたちに餌をやってくれましたか?」


「ああ、きちんとするめをやっておいたぞ。」


 葵が登校してきたんで俺はいったん思考を停止することにした。青いがもしも俺宛のラブレターを見たらきっと俺を笑いものにするだろう。


「輝さん、手に持っているそれ、ラブレターですよね?」


 いやはや、竜だと直感でも鋭いのかね?一発で手紙がばれてしまった。


「・・・・ああ、そうだがどうかしたのか?」


「世の中には世捨て人がいるんですね?輝さんなんかを選ぶ人がいるなんて世も末ですよ。」


 うわ、ひでぇことを言いやがる。何だって俺がそんなことを言われないといけないんだ?まだ葵たちにはあの本はばれてないはずなのに・・・。


「きっとそれは誰かの悪ふざけですよ。」


「・・・・だってよぉ、このイニシャルに知り合いはいないんだぜ?」


「ほら、この高校で新しく知り合った人かもしれないですよ?」


 新しくできた相棒は薄情な昔の相棒よりも頭が切れるようだ。


「新しく出来たともだちねぇ・・・・いや、いないと思うけど?」


「本当ですか?ほら、忘れたい人のことも思い出してくださいよ。」


 忘れたいやつ?そんな奴いたっけ・・・・!!


「思い出した!!機能の放課後にそんなイニシャルのやつと話をしたこともあったけ?」


「昨日のことをそんなに早く忘れないでくださいよ。輝さんの頭はデコレーション前のケーキですか!」


「く、失礼なことを言うんじゃない!!まぁ、葵のおかげで無駄な時間を省くことが出来たよ。つーか、危うくだまされるところだったぜ。」


 よかったよかった。あんなやつのわなに引っかかりそうになるなんてかなり浮かれてたぜ。もうちょっとで俺は奴の笑いだねになるところだった。


「あ、そういえば・・・・今日は放課後第二生物室に皆集まるように碧さんが言ってましたが・・・輝さんもですか?」


「ああ、俺も呼ばれているけど葵もか?」


 どうやら俺以外にもいろいろ碧さんは呼んだようだな。あの天然なお姉さんが誰をよんだか注意が必要だ。ライオンやトラ、はたまた想像上の自分の仲間を呼んでくる可能性だってある。


「輝さん、何そんなに固くなっているんですか?」


「葵、気を引き締めないとやられるぞ!」


 葵は俺の顔を見て不思議そうな顔になった。今頃思い出したがこいつも人間ではなかったんだな。忘れていた・・・・てっきりザリガニの化身かと思ってたぜ。



 そして放課後、俺と葵、加奈と穂乃香で第二生物室に向かった。葵が言ったことは正しく、昼休みになって俺のもとに二度と登場してほしくなかった俺の中の使い捨てキャラがそのかっこいい顔で俺のもとにきざったらしくやってきた。


「ふ、どうやらばれてしまったようだね。」


「ああ、危うくだまされるところだったが、葵のおかげで助かったぜ。」


「そうか、葵クンとやら・・・どうかな、僕の彼女になってくれないか?」


 な・・・いきなり初対面でなんてことを言うんだ!!


「輝さんと同じにおいがするから嫌です。」


 俺はショックを受けた。いや、被害者は俺だけではない・・・・そういわれた暗も石像となり、俺は加奈により立ち直ったが、暗の奴は気がついたら俺の教室からいなくなっていた。葵は何故か怒っており、まるで怒り狂った竜神のようだ。いや、洒落になってないな・・・・。


「輝さんは私たちに隠し事をしてるから嫌いです。」


「ちょ、何のことだよ?」


 第二生物室に向かう廊下で葵は俺にこういった。身に覚えのないことなので俺は戸惑った。


「机の裏に隠してある本のことですよ!!」


 そういわれて俺の頭の中は真っ白となった。ぐ・・・ばれたか・・・・。


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