表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/28

未来予想図?4

二十、


 車がほとんど通っていない道を碧さんと話しながら一緒に歩く。彼女の歩き方は一言で言うと優美である。


「輝君は何で部活にはいらないんですか?輝君のクラスの男子はすべて部活にはいっているでしょ?」


「・・・・予習とかする時間がないから部活にはいらないんですよ。それに・・・・部活に入っている連中と入ってない奴等はちょっとみぞみたいなものがありますからね。」


 端的にいうなら部活をやっている連中は彼女がいる。運動部なら休日などの練習試合にも自分の彼氏を応援しようと彼女たちがやってくるのだ。そして、文化部なら彼女と一緒に入っていちゃついている連中もいる。俺は一日目・・・・入学式のときに部活動をすべて見てまわったからわかる!!俺は彼女もいないからなぁ・・・・。もてない男はつらいぜ。


「あ、ちょっと学校に用事が残っていたのでちょっと行ってきますね。」


「はい、いってらっしゃい。」


 俺は一人になったので再び集中して考えることにした。もう、時間がない。


〜穂乃香の場合〜


 俺は目を覚まして隣で可愛らしい寝顔の幼馴染を見やる。


「・・・・。」


 しかし、実はこれは間違いなく嘘の寝顔だ。穂乃香ちゃんは相手を油断させて敵を倒す。どこからともなく木刀を出して相手がナイフを持っていたとしても勝ってしまうに違いない。


「アキ、隙ありぃ!!」


 寝ている体勢でそのまま俺に木刀を振り下ろす危険度が高い幼馴染。だが、俺はそんな木刀を押さえつけて相手の体に馬乗りになる。


「まったく、朝から危険なことをしない!!」


「だって、隙があったんだもん。」


 そんなことを言う彼女はまるであのころのわがまま娘だ。俺が小学二年の最後に不良から救ってあげた後はちょっかいを出さなくなったんだが・・・・。


「ほら、朝食を作るから起きてくれよ。」


「ねぇ、私のこと嫌い?」


 突然のことで俺はびっくりしたが・・・なにを言っているんだ?


「嫌いならいつでも木刀を俺に向けてくる穂乃香ちゃんの隣にはいないよ。何か悪いものでも食べたのか?」


「だってさ、なんだが・・・・避けられている気がするんだよ。」


 俺はとりあえず彼女からどいて虚言でも言っている自分の妻の顔を見る。そんな彼女は俺に向かって再び木刀を振り下ろす。俺は難なくそれをよける。


「ほら、また避けた!!」


「そりゃよけるわ!!あたったら痛いじゃすまないだろう!!」


 彼女の一撃はとっても重い。木刀でたたかれるのではなく、電柱があたるような感覚に違いない。


「じゃ、次の一撃は絶対に避けないでね?」


 そして、そういった彼女は俺に抱きついてきた。無論、俺はその攻撃をしっかり受け止める。


「・・・・おはよ、アキ・・・」


「ああ、おはよう・・・穂乃香ちゃん・・」


 朝からラブラブ・・・なのはうれしいことだが彼女相手に隙を見せてはいけない。これは彼女なりのテストなのだ。俺がここで隙を見せれば・・・・彼女は容赦なく木刀を俺の体のどこかに直撃させるに違いない。そして、俺は彼女に嫌われるだろう。

 抱き合ったまま、数分の時間が過ぎる。


「アキ、腕を上げたね・・・そろそろ・・・朝ごはん食べようか?」


「そうだな。」


 ふぅー緊迫した時間であった。見ると彼女の額にも汗が吹き出ている。そんな彼女の右腕にはいつの間に握ったのか先ほど落とした木刀がしっかり握り締められていた。



 朝はトーストとサラダ・・・そしてオレンジジュースで軽くすませる。その後は彼女の日課となっている素振りを隣で見学する。


「・・・・アキ、今日はどっかに行こうか?」


 俺は思いっきりしかめっ面をした。俺が一昔おばさんにいわれてやっていた看板のお使いを穂乃香はどこからか聞いてきたのだ。それ以降、彼女は道場を片っ端からつぶしていっている。その勢いは誰にも止める事はできないだろう。


「・・・いや、今日は一緒にお菓子でも作ろうか?」


 俺はお菓子作りをするのは苦手だが、こうすることにより低い確率だが彼女を道場破りに行かせないですむ。


「そうだね、そうしようか?」


 こうして俺は何とか家の看板が増えるような自体を安全な方向に導くことに成功した。しかし、彼女とお菓子を作るのはかなり大変だ。何事も真剣で熱血的な性格の穂乃香ちゃんは自分なりに完璧になるまでやめることを知らない。それはもう、おしりに火のついた猪のようなものだ。


「じゃあ、今日は・・・・ホットケーキを作ろうか?」


「うん、まかせておいて!!」


 こんな簡単なお菓子でもスイッチを押した彼女は止まらない。きっと残りの食事(昼食、三時のおやつ、夕食、夜食。)はホットケーキになるだろう。もしかしたら明日のお弁当もそうなるかもしれない。


 俺は道場のみんなの代わりに自分のみを犠牲にしたのだ。ああ、誰かが喜んでくれると救われるんだが・・・・


「全力でいくよぉ!!」


〜穂乃香編終了〜


 結果として俺は・・・どれも微妙なところで終わってしまった。これではおばさんに何を言われるかたまったものではない。


「アキ、どうかした?」


「うわぁ!!なんだ・・・穂乃香ちゃんか・・」


 まるで夢遊病患者のような歩き方になっていた俺の目の前に現れたのは何事にもまじめな幼馴染であった。


「大丈夫?もしかして・・・誰かに襲われたとか?」


「いや、大丈夫だよ・・・・」


 そう心配してくれる穂乃香ちゃんに告げて俺は回れ右をして全速力で走り出す。彼女の後ろには・・・・おばさんが立っていたのだ。最後に確認できたのはにたりと笑うおばさんの顔であった。


「輝、私が言ったことを守るどころか・・・デートしてるなんてねぇ。」


 俺はおばさんから逃げることができなかった。無念だ・・・・。



 え〜これで・・・四人との心温まる?未来予想図が終わりました。皆さんの中ではどれが面白かったでしょうか?教えてくれるととってもうれしいのですが・・・・。これからはとりあえず道場の話になっていくと思います。皆さん、これからもよろしくお願いしますね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ