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未来予想図?1

十七、


 俺は今、自分の部屋で悩んでいる。なぜ、悩んでいるかというと・・・すべての責任はおばさんにある。

 今日は日曜日。部活に入っていない俺は日課となっているランニングをした後に朝食を食べに家に戻ってきた。


「輝、たまには頭も使うトレーニングをしたらどうだ?」


 目玉焼きを口に運びながら俺は考える。こんなことをおばさんが言ってくるのには何か裏があるはずだ。一応覚悟して聞いてみる。


「・・・・何か案でもあるんですか?」


「そうだ、お前がもしも誰かと結婚した後のことを考えもらおう。輝は夢というものを持ったことがないからな。」


「け、結婚ですか?それと夢が何か関係あるんですか?」


「さぁな。ああ、状態は新婚状態がいいな。相手は誰でもいいぞ。私が家に帰ってくるまでにそろえておけ。」


 おばさんはそういった後にすぐに出て行った。この家にいるのは犬と俺だけ。三匹の竜たちはどこかに行っている。俺はため息を出してから自分の部屋に向かった。


 まず、相手がいるのかどうかさえわからない。今までした会話したことがある相手でいってみることにしよう。


〜葵の場合〜


 俺は今、誰かに強く揺さぶられている。まだ目を開けるのにはかなり早い時間である。


「輝さん、おはようございます。」


 すでに着替えたのかパジャマ姿ではない葵。今日も彼女の顔はすっきりさわやかといった調子である。俺は目の下に熊をつくってそうな感じであるがしょうがない。昨日は夜遅くまで葵と外で遊んでいたのだ。


「さ、おきてください。」


「・・・・わかったよ。」


 さっさと起き上がることにして、一階に降りていく。家に住んでいるのは俺と葵だけだ。引越しをしており、二人だけの空間。

 台所に立って味噌汁をついでいる葵の後姿を見つめる。なんともいえない感じになり、目をそらす。顔がほてってきた。


「輝さん、どうかしたんですか?」


「い、いや・・なんでもない。」


 葵は不満そうな顔になる。そして彼女は俺の手をおもむろにつかむ。あわてて手を離そうとしたがどうやら遅かったようだ。葵の顔が赤くなっている。


「・・・・私たちは夫婦なんですから、後姿を見ていることで覗き見なんてなりませんよ。」


「・・・そうだな。」


 葵相手に嘘はつけない。それはある意味おっかない事実だ。俺は彼女が作った味噌汁を口に運ぶ。今日もまずい。


「・・・・葵、今日もまずいぞ。」


「・・・・そうですか?輝さんの味覚がおかしいんじゃないんですか?」


 俺から言わせてもらえばなんでこんな物が飲めるのか・・・。味噌汁が入っているなべを見ると魚の尻尾が突き出ている。近くまで行ってみてみるとおまけなのか今日はザリガニがいい湯加減になっている。


「葵・・・」


「はい?」


 俺は振り返ってこの味噌汁なのか何なのかよくわからないものを作った本人を見る。葵は口の中にザリガニのはさみを放り込んでこっちを見ている。まだ動いているような気がするのだが・・・・。


「・・・・・葵、味噌汁の中にザリガニをいれるのはやめてほしいんだが?」


「椎名さんがこの前いれたらおいしいっていったんですよ?ほんとにおいしいんですね。」


 おばさんが口ぞえしたようだ。葵はすんなりと人を信用してしまうことがよくあるので困ったものだ。俺は味噌汁はあきらめてご飯を食べることにした。ご飯はおいしく作ってあるのでほっとする。


「輝さん、今日はどこかに行きませんか?」


「あ・・・そうだな。行こうか?」


 俺は二匹目のザリガニを口に放り込んで話しかけてくる葵に肯定の言葉を投げかけた。ザリガニを口にいれた状態でよくしゃべることができるなぁと感心してしまった。


 俺は流しで食器を洗うことにした。葵は近くの水槽に近づいて何かをやっている。


「葵、なにやってんだ?」


「ライデとアズナブにえさをやっているんですよ。」


 見るとそこには大きなザリガニが二匹入っていた。なぜか喧嘩もせずに仲良く水槽の中に納まっている。


「・・・・それ、飼うのか?」


「いえ、今度の晩御飯にする予定です。」


「・・・・・そうか・・・・」


 俺はため息をついた。


〜葵編終了〜


「はぁ、やっぱり葵が相手だと疲れそうだな。」


 机に座りなおしてから大きなため息をつく。まだおばさんが帰ってくるのには早いだろうが・・・ちょっと難しい。

 冗談でザリガニの話をしたのだが、あながち起こりそうでかなり怖い。


「・・・輝さん、ただいま戻りました。みてください、大漁ですよ!!」


 どこかに行っていた葵がそんな声をだしながら俺の部屋にまっすぐ向かってくる。背筋が寒くなったのは気のせいであってほしい。


「輝さん、ほら、みんな新鮮ですよ。」


 バケツいっぱいのザリガニを持って葵は俺の部屋にやってきた。俺はただただ、そのザリガニを眺めるだけであった。


「葵、もしかしてだが・・・こっちの大きいのが・・・ライデとアズナか?」


 どうせ違うだろうと思いながらも葵にたずねてみる。


「ええ!!なんでわかったんですか?」


 葵はなんだか驚いているような顔をしている。もうひとつ、きになることがあるので聞いてみることにした。


「・・・葵、こっちの小さいザリガニたちは食べたらおいしいかな?」


「はい、ちょうど私も食べようと思ったんですよ。刺身にしましょうか?それとも踊り食いがいいですか?」


 嬉々として俺にそんなことを言う葵を見てため息をつくしか俺はしなかった。




 少し出すのが遅くなってしまいました。ごめんなさい。

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