輝の過去は前編だけ?
十四、
(御爺さんからのお願い テレビを見るときは離れてみるのじゃよ?)
僕の名前は白川 輝。家には爺さんと一緒に住んでいる。僕の両親は爺さんが言うには死んでしまったそうだ。それ以降、爺さんはおじいちゃんと言うのを嫌がり、じいさんといってくれと頼んできた。だから僕は爺さんと呼んでいる。
「いってきまぁす。」
僕の家の隣は誰も住んでいなくて、幼馴染なんてできなかった。
というより、家はなんだか道場みたいなところでよくわからないものを教えていた。
まぁ、そんなことより僕は毎日学校に行っている。
しかし、今日はちょっと学校にいくのが遅かったので遅刻しそうなんだけど・・・。
こういうときは裏山を突っ切れば学校に早く着くことができる。爺さんが言うにはこの山は危ないとか言うがどこが危ないのか僕にはわからない。そして、僕は山に小走りで入りさっさと出て行こうとした。だが、普段から行ったことのない道だったので迷ってしまい、困ったことになった。うろうろしているとさらに不幸なことが起こった。
赤い蛇みたいなものが僕を見ているのだ。
その蛇は鋭い角が生えていておまけに手まで生えていた。僕はなんだかその蛇がかわいいと思ってしまい、近づいてみた。
じろっ・・・
蛇は僕の身長ぐらいは間違いなくあり、おとなしかった。もとから動物は好きなほうだったのでこんなことができたのかもしれない。僕は蛇の頭をなでた後にその体に生えている蛇のうろこを触った。硬くてなんともいえない感触だったし、初めての体験だった。僕は学校に行くことも忘れてそのまま蛇の体に体重をかけて眠りに入ってしまった。
夢でどこかで見た男の人がいた。その男の人は優しそうな顔でこういった。
「・・・・輝、その年で女の子をくどいちゃだめだぞ?あと、明はボンキュボーンな人が好きか?」
「あんた自分の息子に何いってんのよ?」
隣から女の人が出てきてその男の人に飛びげりを喰らわせた。男の人はそのまま向こうに転がっていった。
「・・・輝、『我が名において命ずる、真の姿を見せよ。』といってごらんなさい?これを唱えるといいことがおきるわよ?」
「そんな販売セールスみたいな手で僕の子供が騙せる訳ないじゃないか!」
「うるさいわね、別に騙してないからいいじゃないの!!」
その二人は喧嘩をはじめた。見ていて飽きなかったのだが、先程、女の人が教えてくれた呪文みたいなものを唱えてみる。すると、その二人は目の前から消えて、代わりにショートカットの女の子が姿をあらわした。
以上が、僕と穂乃香との出会いである。後半へ続く!!
「爺さん、後編はどこだ?」
「・・・この前、水につけて壊しちゃった。てへっ?」
「まぁ、いいや。穂乃香も人間じゃなかったのか?」
「そうみたいじゃなぁ。お前さんが竜の心を見ることがたまにあるじゃろ?」
「ああ、さっきもあったなぁ。」
「それはおまえさんに心を許している竜にしかできないことじゃ。おお、そろそろ、お天気ニュースのお姉さんが始まる時間じゃ・・・輝はさっさと浮世に帰れ。」
「わぁったよ。じゃな、爺さん。」
俺は目を覚ます。あたりは真っ赤につつまれている。
「・・・・アキ、大丈夫!!」
「ああ、大丈夫だ。いっぺん死んだ爺さんと話してたがな・・・。」
「冗談を言えるってことは大丈夫だよね?」
ま、本当のことなんだが別にいいか。そんなことより早くしないと学校に遅れてしまう。こんなところで寝ている場合ではありませんねぇ。
「あ、輝さぁん!!」
「輝、おいていかないでよ!」
「起こしてくださいよ、輝君。」
俺は後ろを振り返るとそこには三人がそれぞれきちんと制服と白衣を着てこっちに走ってきていた。
「・・・・アキ、あの人たち誰?」
「ああ、俺の友達かな?右から、葵、加奈、碧さんだ。」
近くまで走ってきた葵は寝ている俺を起こす。そして、俺に尋ねてきた。
「輝さん、この人、誰ですか?」
「ああ、この人は俺の幼馴染で・・・・」
「香山 穂乃香っていいます。」
それぞれがそのまま自己紹介し、いや、正確に言うと碧さんは詳しく穂乃香ちゃんの事を知っていた。そりゃもう、好きな食べ物から体重、身長、スリーサイズまで・・・
「・・・・先生ってそんなに物知りなんですね・・・プライバシーも意味がない見たいだし・・・」
「ついでに言うなら、コンプレックスは胸の大きさですね?」
穂乃香ちゃんは葵、碧さんを見てぐっと唸った。完璧に負けていると実感したのだろう。だが、加奈を見て何とか自尊心が修復されたようだ。
「・・・輝、何が言いたいのよ?」
「大丈夫、まだ君は幼いよ。」
「余計なお世話よ。」
気を取り直して学校に向かう。だが、歩き出してすぐにチャイムが聞こえてくる。ああ、今日はちこくだぁ。
「しゃ、しゃれにならないよ!!転校早々、遅刻だなんて・・・」
まだだ、まだ諦めてはいけないぃ。先生が教室に入る前に滑り込めば何とかなるに違いない!!ラッキーなことに俺たちの担任は碧さんだ!!この人天然みたいなところがあるからきっと足が遅いに違いない・・・って、はやぁ!!
「さぁて、今日の遅刻は三人ね?」
「みんな、負けるんじゃないぞ!!」
俺は遅れ気味となっているかなの手を掴み全速力で走り出した。ああ、朝から全力のダッシュなんてこの先の授業が思いやられるぜ。だが、俺と手をつないで走っていた加奈は碧さんより早くに校門にはいることに成功した。
「な、なんとかまにあったぁ。」
「そ、そうね・・・・」
この学校では遅刻してきたものは掃除をしないといけないらしい、今日の遅刻者は三人。碧さんと、葵、穂乃香ちゃんである。(碧さんは先生の中で最後だったらしい。)
だいたい、後はこのメンバーで行きたいと思います。基本としては・・・まぁ、これからは大体あのおばさんがかかわってきますのでよろしくお願いしますね?いや、おばさんの活躍ではなく、輝の活躍ですよ?