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嬉しさと恐怖の入り混じった朝

十一、


 俺の顔に何かがあたっている。それはなんだかやわらかくて暖かい。ああ、いつまでもこのままでいたい・・・・って、いってててて!


「・・・・・。」


 目を開けるとそれは碧さんの胸であった。いやぁ、機能は気がつかなかったが意外にでかいねぇ。俺の体を抱きしめるようにして眠っている。いや、実際頭が痛いのは碧さんが俺の頭に噛み付いているからだ。


 がじがじ・・・


 なおも俺の頭に噛み付いている碧さん。顔が碧さんの胸にあるので声を出すことができない。このままでは本当に食われてしまうかもしれない。


「・・・ん?まずぅ。」


 そういって碧さんは俺の頭をかじるのをやめた。確かに俺の頭をかじってもおいしくないだろう。俺としては今、おいしい体験をしているんだけどね。


「んんっ・・・・朝か。輝君、起きて下さい。朝ですよ。」


 もうちょっとこうしていた。


「・・・・おきないと頭噛み千切るかも・・・・」


「はい、碧さん、おはようございます。」


 さっきまで実際にしていたので彼女の言っていることがうそに聞こえなかった。今、起きなかったら間違いなく彼女の朝食になった可能性もあったかもしれない。


「それじゃあ、輝君の家に行きましょうか?道路までの道なら私が案内します。」


「ええ、お願いしますね。」


「はい、お願いされます。」


 彼女は近くに置いていた眼鏡を装着して俺の前に立って歩き出した。いやぁ、その腰まである長い髪の後姿はなんだか見ているとばちがあたりそうだなぁ。


「・・・あいたぁ・・・」


 俺は案の定、近くにあった石につまづいて転んでしまった。いかんいかん、何を考えているんだ!!


「大丈夫ですか?ここらは石が多いので気をつけてくださいね?」


「・・・はい、今後は気をつけることにします。」


 俺は今度は下を見て歩くことにした。失敗したらその教訓をもとに今後の行動に気をつけなければならない。綺麗なお姉さんの後姿をぼけっとみている場合ではないのだ。仮にも遭難している状況だし・・・・


「輝君、後ろにくっついて歩かないでくれるかなぁ。歩きづらいんだけど・・・・」


「あ、すいません・・・・」


 俺としたことが集中しすぎてかなりの速さで碧さんの背中にくっつきながら歩いていたようだ。なぜ気が付かなかったんだ?普通は気が付くだろうに・・・・でも、やっぱりやわらかかったなぁ。家にいる二人にはほとんど触れた事がないからわからないし・・・。


「って、何を考えているんだぁ!!」


「?どうかしましたか。」


「い、いえなにも・・・」


 あ、あぶなかったぁ。心の雄叫びがついつい口から出てしまった。やれやれ・・・


「さ、ここからが道路ですよ。」


 碧さんの指差すところには昨日、俺が置いてきた自転車が主人の帰宅を待っていてくれた。よかった、変な大人に連れ去られなくて・・・。


「自転車があるのなら、二人乗りができますね。ちょうど荷台もありますよ。」


 そういうと、俺より先に荷台に飛び乗り、俺が乗るのを待っている。できれば二人乗りなんて危ない真似はしたくないのだがしょうがない。


「さ、しっかりつかまっててくださいよ?」


「はい、輝君。」


 ああ、背中にあたる感触が気持ちいいなぁ。・・・さて、そろそろ行きますかね?俺はペダルを思いっきりこぎだして山道を降り始めた。



 そして、家が見えてきたのだが・・・・ちょっと困ったことになっているらしい。いや、なぜそう言われるかというと・・・家の前でおばさんと葵、そして、加奈が腕組みで待っているのだ。怒っているのは間違いないだろう。ここは反省しているような顔をするしかない。


「・・・心配かけてすみません。」


 彼女たちの目に俺の姿が捉えられた瞬間、俺は自転車から降りて頭を下げた。


「・・・ほぉ、朝帰りで女を連れて帰ってくるのがおまえの反省した姿かい?」


 おばさんの言うとおりである。こればっかりは説明のしようがない。こまったものだ。


「さて、輝の話を聞かせてもらおうか?その女のことについても私たちが納得するまでじっくりとね・・・・」


 俺はおばさんと葵、そして加奈に連行されたのであった。

 約、90パーセントの事を(朝の事は言っていない。)喋り終わり俺は三人の顔を眺めている。おばさんには一応、彼女が竜であることを話しておいた。ついでに他の二人が竜であることも素直に打ち明けた。


「・・・・なるほど、輝は机の裏にある本以外にも私に隠し事をしていたのか?」


「いや、何で知っているんですか?」


「まぁ、葵と加奈が人間ではないのは知っていたし・・・・お前さんの横にいる姉ちゃんも人間ではないのはわかった。で、お前はどうしたいんだい?」


 俺はこのときにようやく、おばさんがもしかしたら爺さんから何か教えられているのかもしれないと思った。これぞ、探偵への第一歩・・・・かな?


「爺さんから何か聞いてませんか?俺の事や竜のことを・・・・」


「ああ、おまえの爺さんからはいろいろと頼まれている。だが、それをお前に教えることはできない。」


「・・・・なぜですか!!」


 ついつい俺は聞き返してしまった。だって気になるだろう。


「理由ならある、お前がまだまだ子供だからさ。さて、今回はここで終わりだ。また今度な。」


「・・・・はい、ところで碧さんはここにいていいんですか?」


「ああ。好きにしな。」


おばさんは別に碧さんがこの家にいてもいいらしい。その事には別に文句を言わなかった。しかし・・・・さすがに俺の部屋に四人はきついかもしれないなぁ。どうしたもんだろうか?


「ああ、輝はあとで新しい部屋に案内してやるよ。」


 あとでおばさんに案内された部屋は二階の物置部屋であった。





 さぁて、ちょっと話が進んだと思っている今日、この頃です。まぁ、実際のところはあんまり進展してませんがね。ま、これからもがんばっていきたいと思っていますので、できましたら応援よろしくお願いします。

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