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白衣が似合うお姉さん!

十、


 気が付いたらいつかと似た状況に陥っていた。目の前に大蛇がいるのだ。いや、現実逃避はやめておこう・・・。その竜は俺を見ている。もし、もしもだ・・・この竜がお腹を減らしてた場合は餌となるのは間違いなく俺となるに違いない。ここにはパンもないのだ。


 じーっ。


 ああ、この山には竜もいたのかぁ。すっげぇ、危険だったんだなぁ。何で誰も気がつかなかったんだ?あ、なるほどぉ、考えられることは一つ。会ってきた人間をその場で刺身かなんかにして食べてしまったに違いない。だから誰も竜がいることに気が付いていないのかぁ。


「・・・・この世に未練はない!!だが、最後に葵と加奈が気づいていない俺の大切な本をどうにかしたい!」


 あれは二人にはちょっと刺激が強すぎる本だと俺は思う!!いや、事実俺にも刺激が強すぎるのだが・・・・。いや、まぁ、竜を見れたのはとてもうれしい。竜は新緑の体をもてあましているのか尻尾を振り振りしている。その目はつぶらで・・・・動物の好きな俺にはたまらなく可愛いと思ってしまった。ああ、見ていて癒されるなぁ。鱗も結構かっこいいというか・・・・ぜひとも触ってみたい。


「触っていいか?」


 竜はその穏やかだった眼を鋭く細め俺を見た。これは間違いなく否定の行動に違いない。


「いや、傷つけるつもりはないんだ。結構手入れの行き届いたうろこがどんな感触をしているか不思議に思っただけだから・・・」


 竜に喧嘩を売ったらどうなるかは加奈のときによぉくわかった。てか、さっきまで死んでたらしいし・・・そういえば、上に乗っていた木がなくなっていることに気が付いた。


「・・・もしかして、お前がどかしてくれたのか?」


 竜はその長い体を俺に近づけてきた。だが、いつでも俺を単なる肉にできる用意はしているようだ。竜はそうだというような目をして俺を見ている。


「そうか、ありがとな。」


 もうそろそろ、夕焼けが沈もうとしている。とりあえず今日は帰ったほうがよさそうだ。竜が道を知っているかはなぞだが・・・・俺は尋ねることにした。


「人里に降りる道を知っているか?」


 竜は口をあけて俺を捕まえた。いや、これってもしかして食われるか?なんか俺悪いこといったのか?

 どうやら何かを俺に求めているようだ・・・・。なんとなくだが分かる。そして、竜はくわえていた俺を近くにあった木に思いっきりぶつけたのであった。あたったところは頭で俺の意識は先程戻ったばかりなのに再びどこかかなたに飛び去ってしまったのである。ああ、俺って何回こんなことに陥っているのだろうか?




「お前さん、そんなに死にたいのか?」


「いや、今回は間違いなく殺されただろう。別に俺は無駄死にがしたいわけじゃないよじいさん。」


「まぁ、とりあえずはどうしたんじゃ?今度は地獄のトラパンのお姉さんのスリーサイズでも聞きに来たのか?こっちは大体わかるぞ?」


「・・・・威張られても困るがな・・・なぁ、こ前教えてくれたあの呪文はいったいなんだ?」


「・・・・さぁ?わしはぜんぜん分からんぞ?」


「・・・へ、まぁいいや。『我が名において命ずる、真の姿を見せよ。』・・・これでよしと。」


「輝も大変じゃのう。ハーレムでも作る気か?」


「・・・・そんな気はない。あばよ爺さん。」



 辺りはすでに暗くて完璧に遭難だ。どうやらさっきぶつけられた木に背中を預けているようだ。


「・・・うぅ・・」


 頭が痛い。手で触ってみると・・・・イチゴジャムがついてしまいました・・・。いや、俺の血だけどね。


「すいません、ちょっと強く木にあてすぎました。てへっ!」


 そういって俺の前に姿を見せたのは白衣を着て眼鏡をかけている清楚な女性だった。いやぁ、傷の痛みを一瞬だけ忘れてしまったね。


「あなたは・・・?」


「輝君を木にぶつけた犯人でぇす。」


 暗がりながらも彼女の顔が見えるのはまだかすかに太陽が沈んでいないからかもしれない。ああ、今日の晩御飯はなぁんにもないなぁ。こんなことになるなら何か持ってくればよかった。いや、そんなことよりこの女性に聞きたいことがある。


「あの、名前は何ですか?」


「名前ですか?輝君がつけてくれるんでしょ?」


 やっぱりだ。竜から人間みたいになったら名前がないんだ。いや、たぶんもとから名前なんてないのかもしれないなぁ。さて、なんて名前を付けようか?腹が減ってまったく頭がまわらねぇ。


「・・・・碧さんでどうですか?」


「ああ、いいですねぇ。輝君、これからよろしくお願いしますね。」


・・・・ははは、これで三匹目?か。ついているのかいないのか・・・・・どっちだろうねぇ。誰か教えてほしいよ。


「碧さん、どこか寝るところありませんか?できれば屋根つきの小屋とか見たことありません?」


「ああ、それならいい物件を知ってますよ。ついてきてください。」


 頭からの出血は止まったようだ。よかったぁ。まぁ、今はこの人に付いていくことにしよう。いや、危ない大人についていくのは危険だが・・・・・



「さぁ、ここですよ。」


 碧さんが案内してくれた場所は洞穴みたいな場所であった。文句を言っている場合ではないので今日はここで夜を明かさなければならない。今日はもう、やる事がないので寝ることにしよう。羊でも数えていれば早く夢の世界にいけるはずだ。


「輝君、もう寝るの?」


「ええ、今日はいろいろあって疲れましたからね。」


「じゃ、私もねよっと。」


 碧さんは俺の隣に寝転がった。床はちょうど乾いている石であったのでぬれていない。いや、まぁ、一緒に寝てくれるのは正直ありがたい。こんな暗闇の中で一人で寝たくないのだ!!別にやましい気持ちはこれっぽっちもないぞこの野郎!!


「いやぁ、久々に会った人間が輝君みたいな人でよかったよかった。それに食べちゃいたいくら可愛いからねぇ。」


 俺はその台詞を聞いて背筋が寒くなった。やっぱり一人で寝たほうがいいのかもしれない。


 さぁて、とうとう三人目。の登場です。基本的にはあと一人?(いや、一匹か?)出したいと思っています。まだまだがんばっていきたいと思います。

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