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名人と20人の棋士

掲載日:2026/07/08

 むかしむかしある所に暗黒金持ちがいました。暗黒金持ちはデスゲームとかドバイ案件的なグロいヤツは嫌いでしたがそれでも暗黒金持ちらしい事をしてみたいと常々思っていました。


 ある日、暗黒金持ちは思い付きます。無駄に金があるので将棋の名人と町一レベルのアマチュア棋士20人を拉致……集めました。


 暗黒金持ちは彼らの前にドンッと二億円を見せつけるように提示しました。

「特殊ルールで名人が20人抜きしたら名人に二億円、名人が負けたら名人から取った駒を一つ1000万で買おう


 ルールは一つ、名人は一つの対局が終わった時、取られている駒を次以降の対局で使えない。


 つまり、名人の駒は回復しないで消耗していく訳だ


 名人には黒木の駒を、お前らアマチュア棋士共には白木の駒をくれてやる。

黒木の駒は1000万だ」


「帰っていいですか」

と名人。

「別にいいけど、スポンサー辞めるよ。あとここは絶海の孤島だから泳いで帰ってね」


 やべーなこのジジイ。名人とアマチュア棋士達の心は一つになり、渋々クソ企画を始めることになりました。


特殊20連戦仮 第一局目

 一件名人が不利なこのルールには盲点がある。名人が駒を取られても相手がその駒を持ち駒として使用し、それを取り返せば取られた駒はまた使える。


 ここまでは、机上の空論。だがアマチュア棋士が1000万を手放すだろうか? 否!


 逆説的にこの一局目に限れば名人が圧倒的に有利。持ち駒使用のしばりをしている格下を狩る蹂躙劇。


第一局目、名人、無傷の完全勝利!


「バカだろせめて何でもいいから一つでも取れよ」

「で、次は誰が行く?」

「俺だ。あの名人の事は研究しまくったをコマの一つでももぎ取ってくる。


それにさ。このままぐだぐだで体力を回復される方がヤバいだろ?」

 将棋は体力を使う疲労する。パーフェクトゲームなどしようものなら特に。アマチュア達の中から老年の棋士が名人の前に進み出た。


「お願いします」

第二局目 開始

名人 初手王将


(あれ? こんなの俺のデータには無いぞ)

 名人歩をずらして 更に王将、王将、王将。


(何を考えている!? はっ!)

暗黒金持ちは宣言した負けた時に取った駒一つ1000万、王将だけ取っても1000万にしかならない。


 名人、クソ度胸で仕掛ける心理戦。王将が次々と駒を取っていく、いわば棒銀ならぬ棒王の如く。

意図が崩れ、陣形が崩れて 名人二度目の無傷の完全勝利名人。


第三局目 次の刺客は長髪の青年


 名人が仕掛けるのは神域の釣り、取れそうで取れ無い駒。


(あー……これは勝てんわ)

 青年、打ち方を変える。自爆、自らの駒を差し出すが如く、殺していく 変則打ち

(死ね死ね死ね死ねみんな死ね)


 名人ここに来てリズムが狂う

「ありがとうございました」

 歩2つ、金1つ喪失。



第四〜十九局目

 名人は駒を喪失しながらも勝ち続けついに20人目 持ち駒は王将のみ


 いよいよ最後の挑戦者は最後の挑戦者は!


 第ニ局目の老棋士「…という夢を見たんだよ。王手」

「え?」

「え?」

「「「え?」」」


 夢オチ。名人 第二局目で王を取られて敗北。


「おいジジイ何してんだ」

「俺らは戦ってすらいないんだ」

「やすいブラフに乗りやがって」


 騒ぐアマチュア棋士達。暗黒金持ちが気を取り直し賞金の配分を始めた。


「ではルールに則り名人が黒木の駒19駒で一億9000万。アマチュア棋士達には1000万分配は控室用意したからそこでやってくれ」


「ざっと時給1億9000万か。悪いプロでも金は欲しいんだ」

 指2本を立てて名人は悠々とヘリで去っていった。お前のプライド1億9000万円。


控室

「何してくれてんだお前」

「渡せ、1000万。お前以外で分ける」

「嫌だコレワシの」

「将棋盤出せ駒も将棋で決着だ」


 控室にて始まる将棋大会。監視カメラ越しに見てゲラゲラ笑う暗黒金持ち。


数日後……。

「アイツらいつまで居座って将棋大会するつもりだ」

 暗黒金持ちは流石に泥沼勝負に飽きてきました。

「おい、暗黒金持ち。飯まだか」

 アマチュア棋士の一人が催促したので答えた。

「まだだ12時までには執事が用意する」


 めでたし……めでたしかこれ?


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