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初めての地球

無事地球へ降りたブレイズとインペリアルは空宇港(くうこう)を出る。

外は少し暑く太陽が燦々と光っており、快晴の空が広がっていた。


「これが本物の重力…本物の空…!

それに暑いっ!」


「インペリアル、早く行くze!地球観光は明日からだ!」


ブレイズは少し急かすが、初めての地球に興奮中のインペリアルは全て聞き流した。


「なにあの水が噴き出してるやつ!火山ならぬ水山!?コロニーにあんなの無い!」


「馬鹿言え、あれは噴水だze?水が貴重な宇宙ではあんな無駄遣いなんか出来ないからコロニーにはないんだよ。」


やはり全て聞き流したインペリアルは荷物をブレイズに全て押し付けて噴水の方へと走って行った。

水飛沫や水音のおかげで、暑いと言っているインペリアルには丁度良い涼しさらしい。

10分程度はいても問題無いと思ったのでそのまま遊ばせてやった。


「そろそろ行くze!昼飯食べに行くぞ!」


「はーい!」


満足したのか満面の笑みを浮かべて歩いてくる。

水浸しって程ではないが、服が湿っている。


「着替えるか?」


「別にこれくらいすぐに乾くっしょ。暑いし。」


預けられていた薄いカーディガンをブレイズはインペリアルに荷物ごと渡す。


「この街を観光するのは今のうちだze?明日はまた移動だ。」


行きたい場所に行った後は新居を探さなければならない。

長居して金を無駄遣いする訳にはいかないので明日にはここを出て近い場所から順に観光名所を回る。ゴールはとりあえずハワイの予定だ。


「明日どこ行くの!?飛行機乗ってハワイ!?」


「スタートからいきなりゴールにはいかねぇze。海に行きたいのは分かるが他にも行きたいところは山程あるんだからな!」


インペリアルはコロニーにいた頃とは印象がガラッと変わった。

前はもう少し大人しい感じだったが、今はもう駄々をこねる子供だ。

地球に来たらそんなに変わるものなのだろうか?


そんなことを考えながら街中を進む。

彼方此方から漂うガーリック系の匂い。

人と車が大勢行き来する賑やかな街中。


「肉が、食べたい…。」


「いつも通りの食い意地はってんねー。

でもステーキ、夜にホテルで食べれるんでしょ?

ならあのお店のホットドッグ食べたい!」


結局肉料理じゃないか。

ガーリック系の匂いはやはり食欲を掻き立てる。


「じゃあ、ホットドッグとドリンクを頼もう。」


13時半頃だったので、あまり待たずに注文ができた。

インペリアルが噴水ではしゃいでいなければ並ぶことになっていたかもしれない。

難なくホットドッグとドリンクを頼んで、会計を済ませて受け取る。

インペリアルは柑橘系の果実炭酸水とホットドッグ、ブレイズはハチミツレモンソーダとホットドッグとチリドッグ。

インペリアルから「いろいろ見てまわりたい」との要望があった為、食べ歩きすることにした。


「ホットドッグってぺろっと食べれちゃうのが良いよね!それにコロニーで売ってるのとは段違いに美味しい!」


「まぁ、コロニーのは大体合成肉だからな。

それにしても、肉汁すげぇze…。」


嘘だろって程に溢れている。

どこにこんな量の肉汁が詰まっているのか不思議に思うほどにだ。

指が少しベタベタになったが、とても美味しく一瞬で消えていった。


「次に行くところだが、インペリアル。」


………。


「インペリアル?」


「あっ、これ2つください!」


なんか屋台で買ってやがった。

どんだけ食い意地張ってんだよ…しかも美味そうなものを…。


「金銭は無駄にできないってるのに…あいつはいつもこう…!」


2人でいる時は、おかしなほどに本性を見せるインペリアル。

親の前でも友達の前でも猫かぶってるあいつ。


「…あれもしかして、俺って人として見られてない?なんか悲しくなってきた。」


世話の焼ける飼い主?人?(インペリアル)についていく動物?ペット?(俺)みたいな…。

それはそれで心底辛い。

しめじめしながらそんなことを考えていると、屋台で買ってきた食べ物を持ったインペリアルが戻ってきた。


「ブレイズ〜。よくわっかんないけど悲しそうだからこれあげる。クレープってやつ。しかも紅茶アイス入り。」


なんて気が利くやつなんだ。

お礼を言って受け取る。

こう見えてかなりの紅茶好きだ。

といっても宇宙では紅茶なんて贅沢なものだったのだが。


「家買ったら茶葉でも育てたいな…。

美味しい紅茶を淹れたい…。」


「ほんと紅茶好きだよね。

一体どこで好きになったの?」


少し考える。

そういえば、どこで好きになったのだったか。

どこかで飲んだ紅茶がとても美味しかったのは覚えている。


「よく覚えてない。」


「私が見てきた中で紅茶飲んでるとこ見たことないけど?ほとんどコーヒーとか、紅茶クッキー食べてたのは知ってる。」


紅茶クッキーは紅茶よりよく売っている。

紅茶が飲めない代わりによく食べていた。

普通のクッキーより甘さが控えめで風味がよく分かるので、紅茶の風味が知りたい人にはおすすめだと思っている。


「そうだな。コーヒーといってもただのコーヒーに似せた合成飲料だけど。クッキーは淹れ終わった後の残った茶葉で作れるから需要が比較的高いんだよ。

本物が飲めるなら飲みたいし淹れたい。

それに、地球に来たからもっと紅茶のことが知れる。」


茶畑で茶葉を栽培して、自分好みの紅茶を淹れるんだ。

出来ればそれで生計を立てて、上手くいったら両親に贈ってあげよう。

他にもお茶というものも飲んでみたい。

茶葉からはいろんなものができるからいろんなもの作って飲んで食べて…。

インペリアルは1人の世界に潜り込んでいるブレイズに少々呆れながら、ふとスマホを取り出して予定を確認する。


「展望台行って、併設されているホテルに行く…。ここから展望台までは…乗り物に乗って1時間程度ね。

ブレイズ、行くよ!」


「ん……あ、あぁ。」


ちなみにインペリアルが買ってきた食べ物。

先端はパリッと、中央辺りはしっとりとした生地のクレープ。

包んであるものは、ブレイズが紅茶アイスとホイップクリームとグレープフルーツとキウイの入ったもの。インペリアルはチョコアイスとホイップクリームといちごとバナナの入ったもの。

ちなみにインペリアルは買う時に、バニラアイスとメロンが入ったクレープと迷っていた。


「どっちも買おうと思ったけど、多分すっごいブレイズ怒るだろうからやめといた。

キレるとやばそうだから。」

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