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貴方と共にあれるなら。

「ねぇ、白い結婚でもとっても綺麗だと思うのだけれど、どうせなら虹色の結婚の方が楽しそうではないかしら?」


晴れた薔薇園での婚約者同士の顔合わせのひとまくのことである。

誰だよ姫の教育係!付き人たちの心はその時確かに一つだった。


先程のゆるふわ発言をしたウィステリア•アダムス•リンドバーグはリンドバーグ王国の味噌っかす姫である。ここは魔術が息づく国。全てはマナと魔力によって形成される魔術国家である。


件のウィステリア姫は4人いる王位継承者の4番目。

国王の直系は王太子、姉姫、ウィスの3人。

3人なのになんで4番目かって?ウィスの魔力がちみっとだからなのですよ。

ここは魔術大国、魔力が物をいう国。直系なのに下位貴族並みと言われているウィスは立つ瀬がなかったが、麗しい王妃と厳ついイケオジ国王から大変プリティな遺伝子を引き継いだウィスは大変愛らしい姫様だった。夏の明け方、夜から朝に変わる隙間のような美しい薄紫色の細い髪、夕暮れの湖を切り取ったような夕焼け色の瞳。そこそこ育った華奢な身体。ウィスが笑うとみんなが笑顔になるので、いつもニコニコしていたもので、とても家族からもお城の人々からも愛されていた。


昨日、隣国の第二王子に一つ上の姉姫様がお嫁に言ってしまいウィスはたいへんだった。お祝いしたい気持ちと姉様に会えなくなる気持ちと笑顔でお見送りしたい気持ちがそこそこ育ったお胸を占拠しグルグル回る。普段良い子にしてるウィスが大泣きするものだから兄王子も姉姫も大変困惑していた。

ちなみに姉姫がドヤ顔で兄王子にマウントとっていたのはここだけの極秘事項である。


姉姫がお隣の国に輿入れしたことで、次は自分か…とおセンチ遊ばされていた。


「ねぇ、アリッサ?政治的に私が輿入れするならどの殿方になるのかしら?」

ウィステリアのドレスをせっせと陰干ししている侍女のアネッサの腰にへばりつきながら寂しンボモードのウィスは頭をぐりぐりしながら聞いてみた。


「姫様が政治的に…いやぁ…ないのではないですかね?」

「そうね…私には利用価値もないものね…、魔力もない、魔法も使えない、奇獣もいない…ナイナイ…姉様もいなくなっちゃった…兄様はお役目があるものおいそがしいわ…」 


めんどくさい姫だな


アリッサも家族もウィスを愛してる。なんならお城で働く人々も大好きだ。


だがしかし、彼女には自己肯定感が育たなかった。たまにすごくめんどくさくなる


主に王族と高威魔力を持つ貴族が自然に放出する魔法元素によって国の中ではどんな人間でも生活魔法が使える。つまり貴族が体を張って支えているのだ。

ウィスは愛されている姫だが、心無い言葉をかけられないわけではない。1000の愛された言葉よりも1の傷つけるための言葉の方がウィステリアの心を損なうことがある。気遣いの言葉でだって傷つくのが乙女心だ。


主な原因は白皙美貌の幼なじみ。

きっかけは王位継承権3位の父王の弟。王弟殿下アルベルトが連れてきた1人の子供だ。


マティアス•リンクス

死別したアルベルトの妻の妹の子供。数奇なことに、アルベルトが遠征した先の村で妻によく似た魔力紋を見つけ、追いかけて行った先にいた子供。

聞けば事故に遭い家族離散し近くの孤児院で暮らしているという。こんな遠くまでわかるくらいの魔力紋、判別機に掛けなくてもわかる高威魔力保持者に喜び勇んで小脇に抱えて連れてきたのがマティアスだった。


王城に連れてこられたマティアスは可哀想なくらい震えていた。物心ついた時から暮らした孤児院から引っ剥がされ、ついた先はピカピカの王城。真っ赤なベルベットの椅子に金色の取っ手。コックリとしたマホガニー製の机と高そうな衣の高貴な人々。

どこを触っても汚しそうで、汚したら怒られるんじゃないかと思って。


全く世界が違う中、美しい明け方の薄紫色がマティアスの目を焼いた。

幼いウィステリアはこの震える可愛い子を力付けようと手を差し出していった。


「まあ!叔父様がびっくりさせてごめんなさいね??突然連れてこられて動転してるかと思うのだけれど、今日から貴方もここに住むって聞いているわ?」


「私はウィステリア1番年下なので弟ができたみたいで嬉しいわ!仲良くできるととってもとっても嬉しいわ!」


ウィステリアとマティアスの1番輝かしい思い出はここかもしれない。


見切り発車おーらい

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