第06話 ご近所さんは魔法少女だろうか?
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3人目のヒロイン、登場です。
失恋に傷ついた心を抱えたまま、重い足取りで帰宅する……その途中。
「あっ、陸人さんだ!」
不意に聞こえた明るい声と、こちらに向かって駆けてくる足音に顔を上げると。
「こんばんは、陸人さん! ……今、お家に帰ってるところですか?」
顔を上げ切る前に視界に入る、愛らしいピッグテールの女の子。
「みはりちゃん?」
「はいっ!」
星宮みはりちゃん。
結構な付き合いがある小さなご近所さんの、柔らかな笑顔があった。
※ ※ ※
「みはりちゃんも下校中?」
「はい。今日は雛里ちゃんが用事で、だから一人で帰ってたんですけど、その、陸人さんの姿が見えたから……」
「そっかそっか。わざわざありがとう」
みはりちゃんとはご近所さんなだけに、帰る方向も同じ。
自然と横並びになって、一緒に帰り始める。
「偶然とはいえ、会えてよかったかもだ。今日は朝に挨拶できなかったからね」
「あ! あのっ今日は日直で、いつもより早く学校に行かなきゃいけなかったんで……」
歩調を彼女に合わせ、さっきまで落ち込んでいた顔を引き締める。
さすがに年下、それも小学生の女の子を前に、情けないところは見せられない。
「あの、陸人さん」
「何だい、みはりちゃん」
「……落ち込んでます、よね?」
「………」
即バレだった。
みはりちゃん、妙に察しがいいところがある。
「あ、その! ごめんなさい! 遠くに見かけた時に、落ち込んでるように見えて、その!」
「ああ、ああ、いいよ。こっちこそごめん。うん、ちょっと落ち込むような事があったんだよ。ちょっとだけね」
ワタワタし始めたみはりちゃんを宥めつつ、心の中で叱責する。
まだまだ未熟、精進精進。
「……すぅ、はぁー」
少しだけ立ち止まり、ゆっくりと息を吸って、吐く。
気持ちを、意識して切り替える。
「陸人さん?」
「……うん。もう大丈夫だよ、みはりちゃん。いつまでも落ち込んでいられないからな!」
「そう、ですか……」
「?」
努めて元気に振舞ってみせると、逆にみはりちゃんが気落ちしてしまった。
だがそれも、すぐにパッと花咲くような笑顔に変わって。
「それならよかったです!」
それはそれは天使のように光って見える、見る人すべてが元気をもらえる素敵な笑顔だった。
「ありがとう、みはりちゃん」
「わっ、えへへ……」
心配してくれた彼女の頭をわしゃわしゃ撫でると、みはりちゃんは照れた様子でくすぐったそうに身をよじっていた。
星宮さんちとのご近所付き合いが始まってから、早4年。
みはりちゃんとの交流も当然同じ期間になる。
日々すくすくと育つ彼女を見守るのも、もはや日課のようなもの。
特にみはりちゃんはご近所みんなに愛されていて、いつも温かな気持ちのお裾分けをいただいているこの町のアイドルだ。
「あ、あの、あんまり構われると、その……ぽひゃぇっ」
「あっ」
ぽっぽ~~~~!!
「あぅ~」
「ごめんごめん。大丈夫?」
「らいじょうぶれふゅ~」
照れMAXでけむりを噴き出しふにゃってしまうみはりちゃん。
星空とSLが大好きな彼女らしい、見事な汽笛が今日も鳴る。
そんな、かわいい機関車少女が回復するまで待ってから、俺達はまた歩き出す。
「えへへ……」
ついつい構いたくなるいいリアクションをする彼女とは、特に親しくさせてもらっていた。
懐かれている、そう言い切っていいほどに。
(星宮みはり。深梁と書いてみはりと読む、ちょっと難しい名前の女の子)
大学がある隣町との境に建てられた、私立小学校に通う5年生。
真面目でいい子で頑張り屋さんで、俺が知る限り一等素敵な優等生だ。
そして、そこらの大人顔負けのオシャレさんでもある。
私服姿をよく見かけるが、どれもこれもが彼女に似合う格好で、しかもそれは自分で選んで着こなしているっていうんだから大したもの。
俺も母の仕事の影響で多少は知識を持ってるが、到底敵う気がしない。
「今日は……お?」
制服姿でも髪留めやらで個性を出す彼女だが、今日はそれ以上に目立つ物を装備していた。
「その猫のぬいぐるみ、すごいね」
「っ!」
何気なくそれに指をさす。
本日のみはりちゃんオシャレワンポイントは、彼女が肩から掛けている鞄から覗く、大きめの黒猫のぬいぐるみだった。
鞄からにゅっと前足から上を出してる姿は、本物の猫みたいでとても可愛い。
「こういうのも許されるって、さすがは私立って感じがするな」
「あ、えとっ、その! あはは……はい、ソウデスネー」
感心する俺に対して、どういうワケだがみはりちゃんは、ぎこちない笑顔を浮かべていた。
身じろぎして鞄を掛け直した彼女からは、なんとなくその猫を見られたくない意思が察せられた。
多分、俺が想像しているよりも大事な何かが、そこにあるんだと感じた。
こういう時は深く触れずに、スルーして……。
「……ところで、話は変わるんだが」
「え、あ、はい! なんですか?」
「みはりちゃんって、魔法少女アニメとか見る?」
「ヒュッ」
あれ?
単に話を変えようとしただけだったんだが。
「え、と、えと……見ない、デス、ネ……?」
みはりちゃん、さっき以上に顔を青ざめてる?
「えと、その、陸人さんは……お好き、なんですか? その、まほうしょうじょ」
それでも健気に話を続けようとしてくれているので、ひとまず経過観察しつつ会話を継続する。
「大好きだよ。小さい頃から色々見ててさ」
「そう……なんですね」
みはりちゃん小さな小さなガッツポーズ。
「陸人さん、は、それをどうして今……?」
「実は今、魔法少女について大学で調べてるんだ。不思議ノ市の伝承と絡めて」
「へっ、へー? そうなんですね?」
再び目が泳ぎ始めるみはりちゃん。
明らかな動揺、よく見たら頬に冷や汗もひとつ。
「……魔法少女は、実在する」
「っ!?」
「って仮定を下敷きにして、あれやこれやと調べたり資料を作ったりしてるんだ」
「ひ、ふぇ、へ、そう、そーなんだぁー」
どうしてそんな反応なのかはさっぱりだけど、百面相するみはりちゃんはかわいかった。
だからそのまま会話を続けようとして――。
「だから、もしもみはりちゃんが魔法少女について何か知ってたら、ぜひ教えて」
「知りませんっ!!」
「!?」
――思わぬタイミングで、力強く否定された。
「あっ」
それは、口に出したみはりちゃん自身が驚くレベルの声で。
「あ、えと、えと! ごめんなさい研究頑張ってくださ~~~~い!!」
ぴゅーーーー!!
「あ……」
っという間に、駆け出したみはりちゃんの姿が見えなくなる。
一番の得意科目が体育らしい、見事な逃げ足だった。
「まさか、な」
一瞬。
ほんの一瞬だけ脳裏をよぎった考えを、頭を振って追い払う。
(二度ある事は三度ある、とは言うが……さすがにそれはデキすぎてるもんな)
ご近所さんは魔法少女である、なんて。
妹(妹じゃない)、同期に続いて立て続けに魔法少女と遭遇する、なんて。
よもやよもやもいいところだ。
「ああ……」
そうこうしてたら、家の近くまで帰り着いてしまった。
なんとなく、家の中でリリーが待っている気配を感じる。
(リリー。魔法の国からやってきて、俺たち家族を洗脳し、妹になりすましていたお姫様)
………。
……字面だけ考えると相当ヤバいなこれ。
「でも、でもだ」
出すべき答えは、もう俺の中にある。
「……行こう!」
足取り強く、家の門へと向かう。
御伽守陸人史上、一世一代の決断の時は、今だ!
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陸人の元を離れ、大急ぎで家へと帰った星宮深梁は、家族への挨拶もそこそこに自室に閉じこもる。
「はぁ、はぁ、はぁ……はぁ~~」
荒れた息を整えながらへたり込み、鞄を雑に放り捨てる。
「ふぎゅるっ!」
床に転がった鞄から、痛みに呻く声がした。
「ちょっとちょっとー。もうちょっと丁寧に扱ってよね、みはり~」
「あ、ごめんねジョバンニ」
謝るみはりの視線の先、もぞもぞと鞄から出てきたのは、マスコットめいた黒猫のぬいぐるみ。
それは彼女の前で身を震わせると、小さな光と共に成猫サイズのリアルな姿に変化する。
その首に、星空のように青く輝く石を嵌め込んだ首輪をつけた……金の瞳の黒猫に。
「バレた? バレちゃったかなぁ?」
「どうだろうねぇ~。ボクとしては、星守のお役目さえ全うできたら問題ないけどー」
「変だとは思われちゃってるよね? あうう……変な子だと思われちゃったらどうしよう!」
「んー……ゼ~ッタイニ、ダイジョウブダヨ!」
「全然安心できないよぅ!」
心配するみはりをよそに、ジョバンニと呼ばれた黒猫はベッドに飛び乗り、香箱座りでリラックスし始める。
「ううう……バレてませんように、バレてませんように~~!」
「……はぁ、やれやれ」
こうなると長いんだよねぇ、なんて考えながら。
窓から見える、夜になりかけの星の少ない夕空を見やり。
「この星空を守れるのは、ボクが見込んだキミだけ。“星守”みはりだけなんだからね?」
自身が身に着けている物と同質の、青く輝く石をギュッと握って一身に祈りを捧げる、賢い割に大好きな人の事になるととたんに頼り甲斐がなくなる相棒を見て、再びため息を吐くのだった。
現在登場済のヒロイン3名!
ロリ(JC)! ロリ(JDの振りをしたJS)! ロリ(JS)!
ジャンル的に王道を行くとこうなるのもシカタナイネ!! モウオシマイダァ……。
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