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murasame

作者: 灯登里有軌

 ここ数日は晴れていて、昨日のあたりは雲が少しでているなと思ったぐらいだった。そんな爽快な空は今日にいたっては太陽の光が雲の奥からなんとか存在していることをアピールして程度の光が地上にようやく届けるぐらいに留まっていた。どうも夜の間にだいぶ雲が移動してきたようだ。


 (はじめ)は天気予報を好んでは見ない。


 一つはなんとなく未来が決められているようで嫌いだということ、二つ目は天気を予測したいなら毎日自分で空や雲みることが健康的な理由のように感じでいたからだ。極端ではないものの誰かの意思のようなものが感じることや侵入してくるようなことはなるべくなら避けていたいのだ。


 自分が見たもの、触れたものしか信じないとか、誰彼構わず見聞きしたものをとりあえず否定から入るような独善的な考えの仕方を持ち合わせるのとは違う。なるべく、自分が自分で経験できるものなら自分で経験しようという程度のものだ。


 純粋さを盾にして独善と正しさの違いも理解できない十代から精々二十代前半まで通じるような卑怯なやり方は取りたくないのだ。そういう人種には嫌悪すらある。


 ひとりごちて「しばらくすれば、一雨きそうだな」と、どこかにしまったライターを体中のポケットを軽くはたきながら探る。ようやく見つけた安物のライターの回転式やすりを親指をこすりつけるように回し、フリントが“ちゃっ”という音ともに軽い火花を散らすとガスに点火した。


 基はこの音が好きだった。あえて電子式は使わない、マッチも似たような音が鳴るので好んで使うが、今日は燐の味を楽しむためには、いささかタバコの本数がかさみすぎていた。


 そっとタバコに火を寄せ先端が赤く灯るの見届けてから、煙と共に吸っていた息をタバコを口から放したと同時に吐き出した。そこに自分のストレスも一緒に吐き出してしまえるように思っていた。

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