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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

むかしばなし。キャン玉袋う

作者: ヒロモト

昔々ある所におじいさんとおばあさんがいました。

おじいさんは山へ芝刈りへ。

おばあさんが川で洗濯をしていると大きな大きなキャンタマ袋が流れてきた。

おばあさんがキャンタマを持ち帰り、おじいさんとキャンタマを切ると中からそれはもう……人外が出てきおった。

身体中が大量のキャンタマで覆われており、陰毛は既にボーボーじゃった。

子どものいないおじいさんとおばあさんは人外を「玉袋う」と名付け育てることにした。


数年後。


「お父さん。お母さん。子不足の世を救うため旅に出てまいります」


この時代。男達のキャンタマを死滅させる疫病が流行っておった。

キャンタマの機能を失った男たちに子どもなど作れるわけもなく、高齢化が進む。

大人になった玉袋うはキャンタマの数も数百に増え、歩くのも不自由だったのでキャンタマを紐で腰に縛り付けておった。


「私のキャンタマを世の役に立たせたいのです」


「……玉袋う」


おじいさんとおばあさんは全身キャンタマ陰毛人間の玉袋うが村で迫害されていたのを知っていたので玉袋うがしんぱいでならなかった。


「私が人を助けたいと思ったのはお父さんとお母さんが優しかったからです。誇って下さい」


「玉袋うや!」


泣いて止める二人を振り切り、玉袋は全国の玉無し男にキャンタマを配る旅に出た。





たーまぶくろう♪たーまぶくろう♪おこしにつーけたーたまぶくろー♪ひーとーつーわたしにくーださいーなー♪




玉袋うの旅は十年以上続いた。

キャンタマを全て失った玉袋うはすっかり普通の人間の姿になっていた。

旅から帰ると父と母は寝たきりになっており、玉袋うは薪売りとなり、一生懸命働き、一生懸命介護もした。

風の噂で玉袋うにキャンタマを分けて貰った男が子供を作ったと聞くのが嬉しかった。


「ぎぃやぁぁ!」


平和な日々は続かなかった。

鬼が村を襲いに来た。


「玉袋うはどこじゃ!?せっかく男のキャンタマを死滅させる疫病を流行らせたのに玉袋うのせいで台無しじゃ!」


鬼たちは玉袋うの家にこんぼうを持って殴り込んできた。

もう駄目か。せめて父と母だけでもと玉袋うが願ったその時だった。


「そこまでだ!鬼ども!」


「誰だ!」


精悍な顔立ちの逞しい若者たちが鬼たちをあっという間にやっつけた。


「……どなたでしょう?」


男たちは皆、玉袋うの前に膝まづいた。


「はじめまして。お会いできて光栄です。あなたの息子でございます」


「え?」


「私は◯◯村の◯◯の息子でございます」


「私は◯◯屋の◯◯の息子です」


◯◯の、◯◯の、◯◯の……


玉袋うがキャンタマを分けた懐かしい男達の名前だ。

玉袋うは泣き崩れた。

自分のキャンタマが種を巻き立派に実った。


「探しましたよ。玉袋う様」


豪華な服を着た見るからに身分の高い男が現れた。

玉袋うより一回り年下に見える。

玉袋うは思わず大声になった。


「おお!君は!」


少しの間。一緒に旅をした貧乏な少年だった。

玉袋うにキャンタマを譲り受け、町で別れた。


「……立派になったなぁ」


「商いで成功しました」


「そうかそうか。この中に君の子供もいるのか?」


「いいえ」


「なんだ。せっかくキャンタマを分けたのに子作りしていないのか?」


「はい。今だに童貞です。想い人がいまして。初めては大切にしておりました」


「なんだなんだ。その想い人は見る目がないな。こんな立派な男に想われているのに。もったいない!今すぐ迎えに行け!無理矢理でも嫁にしてしまえ!お前のようないい男。拒む女はおらぬ!」


「ですからその想い人を迎えに参りました」


「……ん?」




(玉袋う兄ちゃん)


(少年よ。お前だけに私の秘密を教えてやろう)


(なぁに?)


(私は玉はたくさんあるが竿は無い。そして穴はある。分かるか?)


(えっ!?じゃあキャンタマが全部無くなったら……)




玉袋うの両親は都で医者の治療を受けると見る見る元気になった。

玉袋うの祝言にも杖無しで参加した。


町人達は真っ白な花嫁衣装を着た玉袋うに息を呑んだ。


(……なんちゅう美しい女じゃあ)


(……あんな美しい女見たことがない)


元相棒の少年と結婚した玉袋うはいつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。



めでたしめでたし。








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