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第22話 再来! エルフの街

ユウは強くなるためにエルフの街で魔法を教えてもらうことになったのだが……

俺と新人騎士は若干の不安を抱えながら、エルフの村アイルファの門の前にいる。

もちろん女装姿のままだ。

ここへ来るのは何日ぶりだろうか。


ここに来るまで、普段感じないほどの人の視線を感じた。

みんな俺の事を見ているのではないかと思い、怖くなってくる。

俺の隣でガクガク震えている新人騎士もそうだ。

焦点が全くあっていない。


メランに乗り、ここまで来たわけだが、どうも乗り気になれない。

ここへ来ると、あの時のトラウマが蘇ってくるからだ。


これも強くなるためだ。

こんなところで、ウジウジしていれば何も始まらない。

俺は気合いを入れるため、自分の頬をパンパンっと叩いた。


「よし、行くか」

「ユウ様、ユウ様」


気合いをいれた俺にメランが話しかけてくる。


「何だ?」

「女の子の姿、とてもお似合いですよ」


そう言って、メランはくすくすと笑った。

メランにまでからかわれる始末だ。


「さっさと行くぞ!」


俺は、メランに釘を刺すように言った。

当の本人は、全く分かっていないような顔をしていたが。


門の前にいる女エルフに、通してもらうため、俺は話しかける。

姿こそ女性にしか見えないが、声は男性の物なので、バレてはいけないと思い、裏声で話す。


「す、すいませーん。 この街に入りたいんですけどぉ、私達入ってもいいですかぁ?」


俺の言い方を聞いて、メランが後ろでプルプル震えて笑っている。

新人騎士も、何が面白いのか、声を殺してまで笑っていた

どうして、俺ばっかりがこんな目に合わなくちゃいけないんだ。


二人の女エルフは、顔を合わせていたが納得したのか、中に入ることを許可してくれた。

今度は奴隷としてではなく、きちんとした人間として入ることが出来たことにホッとする。


「魔法を教えてもらえって言われたけど、誰に教えてもらえばいいんだ?」


俺は、頭を抱えて唸る。

わざわざこの街に来たのは、魔法を教えてもらうためだ。

勿論、白ベルやシスター様に教えてもらう案も出ていたが、やはり現地の人に教えてもらった方がいいということに落ち着いた。


奴隷にされたときはゆっくり見れなかった街を歩いていると、一つの気になる看板を見つけた。

その看板には、『エルフの魔法研究所』と書かれているようだ。


「いかにもって感じを出してるな」

「ああ、おそらくここで魔法を教えてもらえるのだろう。 そうと決まれば、中に入るぞ」


新人騎士が急に仕切りだす。

どうした急に。


コンコンっ


俺が扉をノックをすると、すぐに返事が返ってきた。


「はいはい。 どなたですか?」


返ってきたのは、女の人の声。

そりゃそうか。 この街では男はみんな奴隷にされているからな。


ガチャリと扉が開き、中から見た目が四、五十代の老エルフが出てくる。


「あら、これはまた可愛らしいお客さんね」


可愛いと言われ、俺は思わずたじろいだ。

生まれてこのかた、自我を持った時に可愛いなんて言われたことはない。

そんな俺を、この老エルフは可愛いといったのか?


「ここって、看板の通り、魔法の研究所であってるんですよね?」

「ええ、ここはエルフの魔法研究所よ」

「俺た――私達にも、扱えるような魔法はありますか?」


危ない危ない。

危うく『俺』って言いそうになった。


「うーん…… 魔法と一言で言っても、それなりの数があるのよね。 こんなところで話すのも何だから、中に入って話をしましょ」


老エルフは、中に入るよう促す。

俺達も断る理由はなく、中に入ることにした。

中は研究所だというのに、ほとんど物が置いていなかった。


「まあまあ、まずはお茶でもどうぞ」


老エルフは、俺達にお茶を持ってきてくれた。

この老エルフは、俺達が男だと知ったらどんな反応をするのだろうか。

あんな扱いを受けた後だから、そんなことはしたくないが。


「で、あなた達に使える魔法って話だったわね? そうねえ、まずは基本の三属性の魔法を使えなければ何もできないから、それから考えましょ」


三属性の魔法? この世界には、多くの属性の魔法があるのか。

新人騎士も、あまり知らなかったらしく、ポカンとした顔をしている。


「訳が分からないって顔してるわね。 いいわ、ついてきなさい」


老エルフは、少し微笑みながら言った。

そのまま、老エルフは研究所の地下室に案内する。

地下こそが、本格的な研究所のようになっており、杖や水晶がそこらへんにゴロゴロしていた。


老エルフは、俺と新人騎士に魔法の使い方を教えてくれた。

ちなみに、メランは黒龍であるため、魔法も普通に使えるのだとか。

全く、羨ましい限りだ。


「まずは基本の三属性、火、水、地の魔法を教えるわね。 この魔法は覚えれば、日常的にも使えることができるから、覚えておいて損はないはずよ」


そう言いながら、老エルフは魔法の詠唱を始めた。


「水の精霊よ、今一度顕現し我に水の力を与え給え」


詠唱した老エルフの手のひらに、野球ボール大の水の玉が浮かんだ。

カルディアに何度か魔法を見せてもらってはいたが、こうやって具体的に見せられるとよく分かる。


三属性の魔法は詠唱の後、魔法をどう使いたいのか、どうしたいのかを思えば簡単に使えるらしい。

ただ、使える魔法はその人の魔力量に比例ようだ。


俺も気になったので、試しに火の魔法を使ってみることにした。

メランが火を吹いているのを見ていて、便利だなと思ったからな。


「火の精霊よ、今一度顕現し我に火の力を与え給え」


詠唱をしつつ、俺は手のひらを前に出しつつ、炎弾を打っているところをイメージする。

俺の手のひらがほんのり温かくなる。

そして、俺の手のひらから火の玉が飛び出す。

飛び出した火の玉は、壁に当たって消えた。

初めて使った魔法が成功して、俺は老エルフと喜び合った。


「初めてにしては、凄いじゃない! あなた才能あるわよ?」


褒めてもらい、嬉しくなる。

その拍子に、俺が被っていたかつらがずれ落ちそうになる。

とっさに押さえたため、何とかバレずに済んだ。


「こんな簡単に魔法が使えるなら、もうワンランク上の光魔法と闇魔法も教えちゃうわ!」


老エルフは、かなり興奮しているようだ。

俺達が魔法を覚えているとき、メランは腕を組んでうんうんと首を振っている。

一方、今だ名前も知らない新人騎士は三属性の魔法にすら苦戦しているようだ。

使える俺が教えてあげようとすると、


「辞めろ! お前になんか教えられてたまるか!」


新人騎士がそう叫ぶ。

俺に教えられるのが、そんなに嫌なのか?


「そ、そうか……」


怒る新人騎士から離れ、老エルフに新しい魔法を教えてもらうことにした。

何かあったのだろうか。


「光の魔法と闇の魔法は、主に補助魔法ね。 光の魔法は対象を癒し守護する。 闇の魔法は対象を呪い害を与えるものよ」


老エルフはそう言うが、使いようによっては人を助けるのに使えるかもしれない。

詠唱は、三属性の魔法と似たようなもので、この二つの魔法の上位魔法である聖魔法と邪魔法があるが、並大抵の人には扱うことができないらしい。


「光の精霊よ、今一度顕現し我に光の力を与え給え!」


俺がそう叫ぶと、地下室全体がまばゆい光に包まれた。

その光を見た老エルフは、驚愕した。


「まさか、ここまで魔法の適性があるなんて! あなた凄いじゃない!」


めちゃめちゃ褒められた。

そんな俺に比べ、新人騎士の方は俺が使っている光の魔法はおろか、まだ三属性の魔法も上手く使えていない。

この調子で、この先やっていけるのだろうか。

俺は必死な顔で魔法を使おうとしている新人騎士を見て、俺は不安になった。

メランの方も、心配そうな顔をしている。


この世界には七つの魔法が存在する。

火・水・地・光・闇・聖・邪の七種類だ。

先ほども老エルフが言った通り、聖と邪の魔法は腕利きの魔法使いでも扱うのが難しいと言われている。

そう言われれば、使ってみたくなるのが男だ。

だが、老エルフが教えてくれないので、使えずじまいだ。


「さ、今日はもう遅いし、ここでお開きにしましょうか」


老エルフはそう言った。

外は、日が沈んでいるのか薄暗くなっていた。


「そうだわ! 三人とも、ここに泊るといいわ!」


老エルフはそう言った。

姿は女だが、中身は男の俺達(メランを除く)に。

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