活字嫌いだった息子が、なろう発のアニメを観て読書を始めた話
私には子供が二人おります。
上の子は私と同じで、小さい頃から本をよく読んでおりました。
それに対して、下の子は昔から字を読むことが嫌いで、学校のテストでは問題文を読まないことによる間違いを繰り返し、先生からは『問題文をよく読みましょう!』と紙面上で注意されることもしばしば。
そんな活字嫌いの彼ですが、漫画は読みます。
我が家にはなろう小説の書籍版やコミカライズ版も多数あり、アニメの続きを漫画で読んでいる彼に「小説なら、もっと先まで読めるよ」と読書を促したこともあったのですが、「俺は、小説は読まない!」と頑なでした。
◇
年が明け、新しいアニメの放送が続々と始まりました。
今期はなろう発の作品が多く、彼がいつものように動画配信サイトで様々なアニメをチェックしている中に、そのアニメもありました。
この作品を知っているか?と尋ねられたので、名前だけは知っていると答えました。
私も上の子もなろうでは読んだことのないジャンルの作品だったため内容は全く知らず、彼が観てもよい作品なのか少々不安があったことは事実です。
後ろからこっそり様子をうかがっていましたが、可愛らしいキャラクターにほんわかとしたお話で、そのまま視聴することを黙認することに。
そのアニメの二話を見終えたところで、彼がぽつりと呟きます。
「なろうで、原作を読んでみようかな……」
(!?)
私は興奮をおさえつつ、冷静に返します。
「いいんじゃない? アニメ版と原作版の違いを比較するのも面白いよ」と。
その日から、彼の『小説を読もう!生活』が始まりました。
三百話弱ある原作を毎日コツコツと読み始め、私に感想を話してくれます。
読めない漢字や難しい表現は、私に尋ねてきたり自分で調べるようになり、語彙力が上がってきたように感じます。
普段ゲームや動画視聴をしていた時間を費やし二百話を読み終えたところで、彼が言いました。
「本屋に付き合ってくれない?」
原作小説を買いに行きたいから、私についてきて欲しいと言うのです。
お小遣いとお年玉を握りしめ、彼はド~ンと既刊九巻を大人買いしました。
文庫本なので小学生でも購入できるお値段だったのは幸いで、彼も「このサイズなら、学校に持っていける」と満足そうです。
大事な本が置けるように、勉強机の整理整頓まで始めたことには家族全員が驚きました。
◇
最近、私も書籍版の原作を読み始めました。
しかし、私のほうが読むのが速いため、彼が読み終わり許可が下りたものしか貸してもらえませんが(笑)
きっかけは何であれ、彼が読書に興味を持ってくれたことは、親としては嬉しい限りです。
これからも、誰かの読書のきっかけになってくれる作品が多く誕生することを、願ってやみません。