小学生でも厨二病
「姉ちゃん、お帰り!!」
ゲートを通って帰ってくると、日向がキラキラした目で出迎えてきた。
そういえばこっちの説明が残っていたのか。
面倒事の連続に頭が痛くなりそうだが、だからといって逃げ出すわけにもいかないだろう。
「それじゃ説明するけど……頭がおかしくなったとか思わないでよ?」
「目の前であり得ない光景見せられてるから信じるさ。
それで姉ちゃんは何やってるの!?」
「じゃあ、説明するけど……」
そうして、TSした事は隠しつつ、狐の巫女となって戦っている事。
真守も同じように狼の巫女となって戦っていることを説明する。
「それで変身した姿がこれってわけ。
だから耳も尻尾も本物だよ」
「へぇ〜尻尾はモコモコしてて触り心地良さそう」
そう言いながら日向は尻尾に手を伸ばしてきた。
お尻を触られる訳でもなし、尻尾くらいならいいだろうと放置したのだが……
「ひゃあああああ!?」
日向が尻尾に触れた瞬間、身体中に電気が走ったような感覚に襲わらて思わず声が出てしまう。
「ね、姉ちゃん!?」
私の嬌声に日向は思わず手を引っ込めた。
「ご、ごめんごめん……尻尾は敏感だからあんまり触らないで欲しいかなって。
というか、一回変身解くね」
そう言って私はキツネの変身を解除する。
元の部屋着に戻った私を、日向は興味深そうに見ていた。
「こうやって目の前で変わっているの見ると本当に不思議な気分になるな。
変身ヒーローみたいに他の形態に変身とかないの?」
「え……あるにはあるけど……そっちは私が暴走しちゃう可能性があるから試しにとか出来ないよ。
制限時間もあるし」
私は試しにやってみてと言われても出来ない……そのような意味合いで答えたのだが、この言葉を聞いた日向はより一層目を輝かせ始めた。
「せ、制限時間付きで暴走の危険性がある超強力フォームって事か!?
か、かっけーーーーー!!」
どうやら、これらのフレーズは小学生ながら厨二病に罹っているらしい弟には羨望の対象となるようだった。
気持ちは分からないでもないが、急に眼帯したり、包帯を巻き始めたりしないように注意深く診ていく必要があるだろう。
チェーンは……私服のセンスによってはアリかもしれないので、今度は姉と一緒に洋服買いに行こうな……弟よ。
「まぁ、纏めると私達が戦っている間は時間が止まって人知れず終わってたんだけど、何故か日向は時間停止の事象に耐性持っちゃったみたいなの。
だから、今後こういう事があったら私達が解決するまで余計な事はしないように。
私と真守ですぐに終わらせるからね」
「わ、分かったよ」
私の真剣さに圧されて、日向は先程の浮かれ気分を消して頷くのであった。
個人的な好みですが、ビルドのハザードフォームとか堪らんです。