ここでの遊び
そういえば今日は祝日でしたね。
と言うわけで追加でもう1話あげます。
「大して傷付いたりしないくせに……また何か悪い事企んでるの?」
「心外だなぁ……僕がプレゼントした衣装を使ってくれてるみたいだから見学だよ。
てっきり、大暴れしたからビビってお蔵入りにするんじゃないかと思ってたよ」
「お生憎……里のみんなの協力もあって何とか実用化出来るようになったからね。
使えるものはありがたく使わせてもらうよ」
「ふーん……」
戯は何かを伺うように私の顔を覗き込んだ。
やがて何かを察したようにニヤリと笑う。
「いや〜お姉さんがこんなに成長してくれて嬉しいなぁ。
前も話した通り、僕は運命がどう転ぼうが構いやしない。
でもね……やっぱり好みってのはあるんだよ。
今のお姉さんは僕の好みのど真ん中!」
「こんなに好みって言われて嬉しくないことってあるのね」
「まぁまぁ……そう言わずに。
そういえば真守は?
元気にしてるかな」
戯はキョロキョロと辺りを見回す。
「ここにはいないわ……私の暴走の事も知ってるみたいだし、覗き見して探せばいいんじゃない?」
「それがさぁ……全く何処にいるか分からないんだよね。
最初は死んだのかと思って焦っちゃったよ。
でも、お姉さんの様子を見ている限りでは、そうじゃないみたいだからね」
頭の中で焦る戯と言うものを想像してみたが、全く想像出来ない。
この少女には喜と楽以外の感情が抜け落ちていると言われた方がしっくりくるだろう。
「あんたが焦るところなんて全く想像出来ないんだけど。
私たちが死んだところで大して気にしないんじゃないの?」
「やだな〜大好きなお姉さん達が死んだら僕だって流石に悲しくなるよ。
泣いて泣いて泣いて……泣き終わったらここでの遊びはお終いにしなくちゃいけないからね」
「そんな事だと……ここでの遊び?」
普通に考えれば別の場所に行って、同じように揶揄える人物を探すという意味だろう。
だが、この時の私は妙にその言葉が気になってしまった。
「あ、ここでその言葉に引っかかるの?
……いい勘してるじゃん。
ま、教えないから色々と考えてみたらいいんじゃない?
じゃあ、今日はこの辺りで帰るね」
「あ、まち……」
待ちなさい、この言葉を言い終える前に戯の姿は消えていた。
辺りをキョロキョロと見渡すが、戯の姿は何処にも見当たらない。
「日向、何を探しているコン?」
「我も手伝おうか?」
「貴方達……いや、何でもないよ」
心配そうにコンとリルが話しかけてきた事で、この2人は戯の術によって会話から弾かれていたことに気付く……いや、戯の姿すら確認していないのだろう。
何処までも謎の少女……敵対した場合、私たちに勝ち目はあるのだろうか?