チート巫女 日向
3-2です。
「日向……いま、何したコン?
日向が見ただけで不浄が燃えた気がしたコン」
「瞳術と火術の複合技だよ。
今までの火術は私の身体を起点に発動してたんだけど、瞳術と組み合わせると私が視界に収めた場所を起点に発動する事が出来るみたいなんだよね。
だから、今のは不浄の身体を起点に火術を使った結果かな」
「……とんでもない技コンね。
ひょっとしてこの場にいる不浄全部に同時に術をかけれたりするコンか?」
コンの言葉に私は少し考え、大きく跳躍する。
加護により大きく強化された身体能力は商店街の建物を簡単に飛び越えてしまう。
ある程度見渡させる高さに上がったところで、ついてきた護国を掴んで上に乗る。
「ここからなら全体を見渡せるからいけそうだね。
まぁ、今回はトレーニングみたいなもんだから……複合:瞳幻」
見えている不浄全部に幻術を仕掛ける。
幻術にかかった不浄達は一斉に商店街の中心に集まって何もない空間を攻撃し始めた。
数の多さのせいでお互いの振り回した攻撃が当たったりもしているが、全く気にせずにあるポイントをひたすらに攻撃している。
「今度は何をしたコン?」
「あの地点に幻影の私の姿を出しておいたんだよ。
それを見て一生懸命に攻撃しているけど、実際には何もないからね。
で、一箇所に集めた上で……」
私は7本に増えた尻尾を前方に向けて力を溜めていく。
以前に使った時とは比べものにならないほどの力が湧き上がってくる。
「複合:幻火……マキシマム・シュート!!」
幻術によって三本に増えた熱線が不浄達に降り注ぐ。
この内の二本は幻術によって増やしたものだが、幻術を起点に火術を上乗せしているのでしっかりと威力のある攻撃となっている。
更に三本の熱線が地面に降り注いだ直後に大爆発が起きる。
その爆発は一箇所に集まっていた不浄を全て吹き飛ばして浄化するには十分な威力であった。
こうしてあっさりと不浄の浄化に成功したと思われたのだが……
「ユルセヌ……ユルセヌ……」
地の底から響くような声が聞こえてくる。、
見ると、浄化されて姿が消える直前の不浄達を掴んで自分に取り込んでいるものがいた。
「ワレハスベテヲユルセヌ……スベテヲハカイスル」
そう言いながら不浄をとりこむたびに力は強く、体は大きくなっていく。
そして、全ての不浄を取り込んだソレ。
身体の大きさは商店街に立ち並ぶ店よりも大きくなっていた。
「大ボスがいるなんて聞いてないんだけど」
「でも、出ちゃったもんは仕方ないコン。
あれをやっつけるコン」